傾いたローソク (ハヤカワ・ミステリ文庫 3-6)

  • 早川書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150702069

感想・レビュー・書評

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  • 物語のすべりだしは、まったくいつものペリイ・メイスンである。ありふれた交通事故から始まった話が、あれよあれよという間に大きくなっていく感じは、いつもながら楽しい。

    しかし、実際に殺人事件が起きてみると、本質的にはアガサ・クリスティ的な本格ミステリになる。法廷シーンは例によって検察側とのスリリングな対決が続くけど、実際には名探偵が謎解きをしている雰囲気に近い。起きた出来事を時間軸に並べていく作業がメインになるからだろう。

    個人的には、法廷外のシーンのほうが面白く、それは僕には珍しいことだ。魅力的な秘書であるデラと、弁護士メイスンのやりとりが、いつもよりも少し踏み込んでる印象があるからかもしれない。被告人ではなく、デラを守るために戦うというメイスンのたんかも、考えてみれば驚きである。

    推理小説としては読みやすく、あまりこのシリーズに慣れていなくても安心して読めそうだ。ファンとしては、二兎を追ってしまったかな、という物足りなさを少しだけ感じた。魅力あるシーンはいくつもあるけれど。

  • 本格推理なんていうあおり文句がついていて、ペリイ・メイスンシリーズなのに?と思っていたら、けっこう、本格推理でした。古さはやっぱりあります。おもしろいのは、堅苦しいジャクソン弁護士のキャラ。愚痴っぽさがペリイのかっこよさをひきたてます。

  • ガードナーの数ある作品中でも本格ミステリ要素が強い作品です。
    メイスンに相手の不注意で毛皮会社のトラックに追突した乗用車の男が賠償金の取立てを依頼してきます。
    メイスンは依頼を受けますが、毛皮会社の態度に不審を抱きます。
    毛皮会社を装い石油権利を買い漁る悪辣な石油投機師に立ち向ったメイスンはまたも殺人事件に遭遇してしまいます。
    ヨットの上で起こった殺人です。
    最後の法廷場面では傾いたローソク、潮の満ち干、死体の位置、血の足跡等が時間的要素と複雑に絡み合った謎解きがあります。
    メイスンのこの謎解きには心躍らされます。

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