侵入 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-24 競馬シリーズ)

  • 早川書房
3.50
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本棚登録 : 90
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150707248

作品紹介・あらすじ

周囲の反対を押し切って、先祖代代敵対するアラデック家の息子と結婚した妹ホリイ。ところが、何者かの扇動による中傷記事によって二人が営む厩舎が窮地に追い込まれてしまった。憎悪に満ちた記事を陰で操る黒幕は誰か?チャンピオン騎手のキット・フィールディングは、妹夫婦の唯一の味方として背後関係を調べ始めるが、やがて彼の身にも魔手がのび始めた。徒手空拳の騎手がマスコミ界を相手に奔走するシリーズ第24弾。

感想・レビュー・書評

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  • キット・フィールディングを主人公とする連作の一冊目。
    双子の妹に振りかかった苦難を固い意志で取り除いていくキット。
    まだ若く、競馬騎手としても頂点にさしかかる頃で、エネルギッシュで存在感のある主人公のため、爽快感が強い作品。

  • 競馬シリーズ24作目。

    普段、解説は軽く読み流していて
    誰が書いているのかなんて気にしたことがないのだが、
    大河ドラマのロケのために乗馬訓練をしたとあっては、
    誰なのかと読み返した。
    俳優児玉清。
    アタック25の司会者でもあり、ミステリー好き、いや本好きとして有名な方だ。
    川中島決戦の本番で落馬し、
    馬や乗馬、騎手を描くディック・フランシスの偉大さがわかったということだった。

    今回の主人公キットは障害競馬の騎手。
    「ロミオとジュリエット」のジュリエットの双子の兄だ。
    その妹夫婦が新聞に中傷記事が載ったせいで、
    厩舎の経営が経済的危機に陥る。
    盗聴器とか、ビデオ撮影とか、スタンガンとか新しいものがいろいろ出て来た。

    馬を引き上げに来た馬主との対決や新聞社との争い、
    もちろんレースそのものといろいろ見せ場はあったが、
    個人的ヤマ場は、キットがナイフで脅されていた時に、
    馬主の王女のロールスロイスが通りかかり、
    開けられた後部ドアに転がりこんだところ。
    キットのことがお気に入りとはいえ、
    躊躇なくただの騎手のキットの危機を救う王女がかっこよすぎる。

    王女の姪と買い物に出かけて、
    お互いへの贈り物を別々に買って、
    好みが同じだとわかった場面がかわいらしかった。

  • ディック・フランシスの競馬シリーズ。
    このシリーズの主人公は皆、タフで、ストイックで、
    正義漢に溢れてかっこいいんだけど、
    既刊の中で一番好きな主人公が、キット・フィールディング。
    他に「連闘」でも再登場。

  • 互いに何世紀もにわたって対立し、時には殺し合ったふたつの家が背景にある。まるで「ロミオとジュリエット」そのままに、両家の男女が憎しみを超えて愛し合うようになり、やがて結婚する。主人公は、「ロミオ」でも「ジュリエット」でもなく、ジュリエットの兄で騎手である。

    かなり成功した騎手だ。名誉も名声も手に入れている。なんといっても王女の持ち馬に乗っているのだ。このあたりは、自身も「女王陛下の騎手」であった作者の経験が生かされているのだろう。なにせ、主人公であるキットは、あのシッド・ハレーをのぞけば唯一、2作に登場した人物なのだから。お気に入りのはずである。

    成功した騎手であるということは、失うものもたくさんある。そういえば、先日再読した「度胸」も、いわば人為的な風評被害に騎手たちが襲われる話であった。今作も、当面の相手がマスコミであり、無責任な記事により危機に突き落とされるという点は似ている。ただし、被害を受けるのは主人公の妹夫婦だ。

    だから、この物語は、妹夫婦の危機を救うために、悪意に満ちたマスコミと戦う物語なのである。まさに、白馬の騎士として主人公は戦う。ただし、最初に書いた家の対立と、マスコミの悪意の理由が物語を複雑にし、一種独特の陰影をこの物語に与えている。途中から、主人公にとって誰が敵なのかを見失いそうになるのである。

    長い時間積みかなさった負の感情や、何人かいる悪役たちの憎らしさを和らげてくれるのは、王女との温かい交流と、ヒロインとの恋愛である。思想の馬主のように描かれている王女の素敵さは、この作品にとても優しい色合いを与えてくれる。でも個人的なことで言えば、それ以上に好きなのはヒロインとの恋愛物語の側面である。

    ヒロインは、さっそうとしたキャリア・ウーマンとして登場する。ふたりがプレゼントを交換するシーンが、僕は大好きだ。そして、最後の1行も。心が通じ合うということに対して、すっきりとわかりやすく、でも感動的に描き出していると思う。やや、強引な設定があるにしてもね。

    そういうわけで、実にお気に入りの1冊。今回、初めて文庫本で読んだのだけど、(当たり前だが)単行本にはない解説エッセイがあって、それもまた楽しめたのであった。

  • 24
    ふたつの厩舎の間のロミオとジュリエット。
    チャンピオンジョッキィ・キットは妹夫婦の苦境に立ち上がる。
    「周囲の反対を押し切って、先祖代代敵対するアラデック家の息子と結婚した妹ホリイ。ところが、何者かの扇動による中傷記事によって二人が営む厩舎が窮地に追い込まれてしまった。憎悪に満ちた記事を陰で操る黒幕は誰か?チャンピオン騎手のキット・フィールディングは、妹夫婦の唯一の味方として背後関係を調べ始めるが、やがて彼の身にも魔手がのび始めた。徒手空拳の騎手がマスコミ界を相手に奔走するシリーズ第24弾。」書評より

  • キット・フィールディング?

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