通り魔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-2)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150707521

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  • 翻訳者の田中小実昌は、今から85年前の1925年4月29日に東京で生まれて10年前の2000年に74歳で亡くなった小説家・エッセイスト、そしてミステリー翻訳家。

    一応、直木三十五賞作家でもありますが、そんなことなどまったく知らなくて、または、その存在すら全然知らなくとも、早川書房のポケミスや文庫を中心に、本書のエド・マクベインをはじめとして『死体置場は花ざかり』のカーター・ブラウンや『死の第三ラウンド』のウィリアム・アイリッシュ、そして『銃弾の日』のミッキー・スピレインや『猫は夜中に散歩する』のA・A・フェア、それに『血の収穫』のダシール・ハメットや『湖中の女』のレイモンド・チャンドラー、さらに『憂愁の町』のロス・マクドナルドや『霧の壁』のフレドリック・ブラウンなどなど、おそらく100冊近い主にハードボイルドの翻訳本がありますから、その内の一冊でも手に取ったことがある人は、きっといらっしゃるはずだと思います。

    私は、幸か不幸か、リチャード・マシスンの『地球最後の男・・人類SOS』というハヤカワ・ノヴェルズの一冊をSFとして読んだ小4の時が田中小実昌との最初の出会いだったのですが、まさかこれが、13年後の2007年にウィル・スミス主演で『アイ・アム・レジェンド』として3度目の映画化がなされるとは夢にも思っていませんでした。

    それから、中学生になってポケミスから早川・創元文庫をはじめミステリーの魔境、いや桃源郷に入り込んで、気がつけば彼には随分とその翻訳にお世話になったことを自覚しているとき、同時に映画関連の本も手当たり次第に読むうちに、映画に関するエッセイ『ぼくのシネマ・グラフィティ』や『コミマサ・シネマ・ツアー』にも出会い、両方で田中小実昌という名前を発見して驚き、そして、高校生になってから『ポロポロ』や『アメン父』や『イザベラね』などという、今までの小説観を吹き飛ばされるほどの軽いノリ、もしくは身辺雑記・私小説ふうの記述の奥にある深遠な思惟小説と、まさに正面衝突して、また衝撃を受けるのでした。

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