- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150707545
感想・レビュー・書評
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読んだのは間違いないけど記憶が。。。
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87分署シリーズも4作目。まだまだあるけど。今回はわれらがスティーヴ・キャレラ刑事と愛妻テディが活躍するので楽しい。ただし物語自体は平板で犯人探しも行き当たりばったりだし、これまでよりもミステリ的な興味は薄い。本線の連続殺人事件よりも脇役である詐欺師事件のほうがいろいろとおかしみがある。カラスの親指だねまさに。そんな起伏に欠けるストーリー展開が終盤の追跡劇でがぜん盛り上がるのだからびっくり。口がきけないというテディのハンディはあまりに大きい。人づてに伝言して警察に電話してもらってもすれ違いの連続。なにも知らないキャレラ。もちろん最後はうまく収まるとは思っていても、早く早くと読み手の焦燥感がつのってゆく。なかなかうまい。
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マクベイン『87分署シリーズ』の第四作目、犯人を追い詰める手に汗握る描写と登場するキャラクターの行動を情感たっぷりに描いた筆致は、本作で完成形を見せます。
詐欺事件と殺人事件が交錯するアイソラの街で独身女性の水死体が次々と発見され、いずれも拇指と人差指のあいだにはハートの刺青が施されていました。
ハートの中には『MAC』の文字に、『NAC』の文字。これが意味するものとは…。
本筋の殺人事件とは関係がありそうで、伏線のように織り込まれている詐欺事件の描写が、物語を読み進めていくうえでの箸休めのような役割を果たしています。
また、何度も犯人と接触していながら、成り行き上、そこで犯人と断定することは不可能であったと読者に開示してしまう辺りは、作者の潔さを感じました。
特筆すべきは、三作目において『死んだ』とされたクレア・タウンゼントが、本作では生前の元気な姿を見せてくれているのです。
本作の見所はなんと言っても、物語のラスト。スティーブの妻、テディ・キャレラの大活躍に尽きるでしょう。
彼女が勇気を振り絞って犯人の跡を追うラストは、圧巻の描写です。
バート・クリングが、自分に腹を立てる恋人を見て『クレアは怒るとすごく可愛い』と思うシーン。
思わず、『分かる!』と声を上げて言いたくなるような場面が、読了後の今も心に残っています。 -
1957年発表
原題:The Con Man -
ブラウンかっけえ
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87分署シリーズ4