偽のデュー警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫 91-1)

  • 早川書房
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150747015

感想・レビュー・書評

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  • デュー警部のこともクリッペン博士のことも知らなかったけど、とても楽しめた。
    ウォルターはクリッペンと同じ立場でありながらデュー警部として事件を解くことに。
    ウォルターが慣れない事情聴取をするたびに相手からデュー警部大丈夫か?と思われてるのに、彼はうまくやってると思ってるところがおもしろかった。

    ミステリとしてもしっかりと伏線が貼られていて見事。

    また、様々な登場人物たちの目線で話は進むのだが、切り替わりがテンポよく飽きずに読める。また登場人物たちも個性豊か。ウォルターの新しい自分を見つけてから生々し始める姿や、アルマの心の移り変わりもリアル。

    またリディアが生きてるとは全く思わなかったのでら最後は驚いた。リディアの元へ戻ったウォルターはどんな気持ちだったんだろう?夫の新たな一面を見て見直したリディアだけど、アルマが言うように、その瞬間はどんなに立派に見えてドキドキしても、時間が経てば退屈に思えてくるのだ。ウォルターがまた殻に閉じこもる日がこないよう願う。

  • 豪華客船での殺人ですが、物語が喜劇的というか若干のコメディー感があります。
    数ページのみですが、冒頭にチャップリンが登場します。
    訳者あとがきに書いてありましたが、各章の題にチャップリン映画の原題名がついています。
    これはお洒落でユーモアだと感じました。
    本書の魅力の1つは登場人物達です。
    ヒロインのアルマは男性経験はないのに恋愛小説ばかり読んでいる夢想家です。
    現代にもこういう人はいそうで、なかなか強烈なキャラクターです。
    豪華客船は物語の半ばまでこないと出てこないので、全体的な流れは遅く感じるかもしれませんが、偽のデュー警部となったウォルターが事件を捜査しはじめてからは段々と面白く読ませる展開になっていきます。
    最後には驚きもあって面白く読める作品です。

  • ひゃ~、この本、とても面白かった!
    読んだことない人はみんな、読んだ方が良いと思う!

    図書館で取り寄せてもらったんだけどね、
    まぁ、この文庫のぼろくなってることと言ったら!
    皆さんがせっせと読んだ証ね…と
    なんだか嬉しくなってしまった!

    お花屋さんに勤める、恋愛小説を読むのが大好きな
    と言うか絵空事を指針にして生きている
    夢見る夢子さんこと、アルマちゃん(28歳)は、
    はじめて行った歯医者さんで、歯科医に一目ぼれ!

    一方その歯科医バラノーフは腕も良く医院も繁盛しているが、
    女優の妻には頭が上がらない。

    その気の強い妻リディアは、
    「自分がいま一つ活躍できないのは場所が悪い」と言う事で
    イギリスにあるもの何もかもすてて、
    昔の知り合いチャーリー・チャップリン(!)を頼り
    アメリカに渡ることに。

    バラノーフは自分の歯科医院を
    患者もろとも勝手に売り払われ、
    その他もろもろでもう我慢も限界、

    アルマも愛するバラノーフと離れるのが辛い、
    邪魔をする女(リディア)を亡き者にすれば…と

    リディアがアメリカ行きの為乗り込む豪華客船の中で、
    完全犯罪で殺す計画をたてる…

    この三人のキャラクターの面白さはもちろん、
    その他出てくる人出てくる人みな個性的で、
    名前と中身がすぐに一致して、
    急に出てきても「あれ?これ誰だっけ?」と
    ほとんどならなかった。

    最初しか出てこないけれど、アルマの勤める
    お花屋さんの店長さん(ミセス・マックスウェル)
    もなんだか面白い人だった。
    (真珠の修理の話なんか最高)

    ずーっと読んでいて
    「でもなぁ…、そうなの?(違うといいのに)
    でもだとしたらどうやって?」と
    思ってたことがやっぱり違って、ホッ、
    嬉しかったねー。

    それにモーリタニア号、ルシタニア号と言えば、
    ほれ、あの、ね、あの面白い本、あれのさ、って、
    これを言うとネタバレになるから駄目なんだ!
    ヒェ~危な~い!

    この人がこうなると良いなあと思ってた通りに
    大体なるけれど、一ひねり二ひねりあって
    「フフフ、成程ね」と楽しい!

    デュー警部と言うのは実在の人物で
    なんでもクリッペン博士と言う殺人犯を
    船の上で逮捕したことで有名で、
    イギリスでは知らない人はいないような人みたい、
    だから、詳しく知っている人は余計面白いだろうね。

  • P.ラブゼイの著書は『最後の刑事』から入りました。
    図書館で借りて、面白いんじゃねと。
    文庫本で『デュー警部』は読みましたが、普通に傑作だった
    ようなそんな出来の良さでした。秀逸ですよ。

  • 面白かった。
    豪華客船で起こるミステリを期待して読み始めた。が、全体の3分の1は乗船する前の話。
    いつ船が出てくるんだ、と思いつつも主要登場人物たちの群像劇がテンポよく進むので、退屈はしなかった。
    序盤のアルマはいわゆる”痛い女”って感じで笑えるし、偽デューが聞き込み相手の軽い一言にギクッとする場面では、何が起きたか知っている読者はニヤッとできる。
    残念だったのは、ウォルターのキャラクターがいまひとつ固まっていないように思えたことと、マージョリーの口調が大富豪のわりにハスッパだったこと。後者はわざとかもしれないけど。
    ウォルターの読心術が出来るという設定がほとんど使われないのはもったいなかった。
    30年前の本だから言葉遣いが古めかしいんだけど、それが妙に味がある。「〜でしてね」って言い回しは訳者さんのクセかな。

  • 古き良き客船の旅。お話部分は、やっぱり昔っぽいけど。昔の豪華客船、乗ってみたい。


  • 「愛ですって?私はよく首を傾げるんですよ、愛って何なのだろうかってね」
    「マジックのようなものじゃないかしら。人を圧倒する力。それが愛なのでは?」


    面白かった。設定勝ちだと思う。確かにリディアを殺した描写なんて一切出てきていなかったな…。その説も考えたが、彼女を生かしておく理由などがわからず、深くは考察しなかった。
    リヴィーは素晴らしいキャラクタだと思ったら、まさかの犯人。前の船の犯人が小柄だというは描写があったので、そうかなと思ったが。
    船の沈没とかチャップリンとか実はとても重要だったのが良かった。

    作中好きになれなかったのはぶっちぎりでアルマ。嫌な女だ笑

  • やや古いランキングには名前が挙がっていることが多い本作
    期待が大きかっただけにちょっと残念なところもあった
    プロットは非常に面白い
    いわば倒叙形式からのひねりで、「犯人=探偵」が実現されている(←ネタバレではない)
    犯人役があれよあれよという間に探偵役を務めることになってしまうプロットはすばらしい
    しかし肝心の殺人事件の解決のほうは、お粗末で、「うーん」と唸ってしまう
    これでトリックだとか動機だとかに少しでも新味があれば
    あまりにもふつうの事件というか……そこでガックリしてしまった
    画竜点睛を欠く、とはこのことかなあ

  • 1983年 ゴールド・ダガー賞

  • チャップリンの現役時代、イギリスからNYに向かう豪華客船内で起こった殺人事件を、自身が殺人計画を持って乗り込んだ偽のデュー警部が探る、コメディタッチの本格ミステリー。

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