おそらくは夢を (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-40)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150756901

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  • チャンドラーの最初の長編「大いなる眠り」の続編として描かれ、主人公はもちろんフィリップ・マーロウ。この作品を読むなら、必ず「大いなる眠り」の後で。ネタバレ有り、「大いなる眠り」からの引用もしばしば現れる。

    「大いなる眠り」事件から数カ月後。マーロウはスターンウッド家の執事ノリスから連絡を受け、再びその邸宅を訪れた。将軍は既に亡く、その娘ヴィヴィアン・リーガンが当主になっていた。妹のカーメンはサナトリウムに預けられていたが、失踪したという。ノリスの依頼を受け、マーロウはカーメンの行方を調べ始めた。

    パーカーはチャンドラーの衣鉢を継ぐハードボイルド作家として、チャンドラーの遺作「プードル・スプリングス物語」を完成させた。その完成度に不満があったのか、再びマーロウの登場する作品を独自のプロットで描いたのが本作。

    フィリップ・マーロウの何処に惹かれるかと言えば、行動から滲み出る、内に秘めた意志の強さと優しさ。そして依頼人に対して、真実に対して、誠実さを貫くところ。この作品はそれを踏まえつつ、マーロウのタフさに重点を置いた描き方をしていて、それはパーカーが愛するマーロウ像なのかもしれない。

  • 男同士のやりとりはマーロウのハードボイルド。でも女子(?)がらみではスペンサーのハードボイルド、という印象。やっぱりギリギリのところで踏みとどまらないと、マーロウが安っぽくなってしまうかな。ハードボイルドには痩せ我慢が大切なのさ。あとがきにもあったけど、敵が大きすぎたこと、そしてその敵がマーロウひとりを相手にもたもたしすぎるところが、何となくB級映画風だったところが今ひとつ。でもこれもまた古き良き時代のハードボイルド風で良いのかも。これはこれで楽しく読めました。

  • パーカーの手による、チャンドラーの補完作品の第二作。こちらは遺稿を書き補ったのではなく完全新作として書かれた『大いなる眠り』の続編。ちなみに私が読んだのはハードカバーの、『夢を見るかもしれない』の方。<BR>
    ファンとしてはあまり認めたくないのだけれども、正直、『大いなる眠り』よりもこちらの方が面白い。チャンドラーのマーロウでないからという理由で読まず嫌いの人も多いと思うが、楽しめる。<BR>
    やっぱりマーロウはしわしわの紙束をポケットから引っ張り出しながら、ロスを彷徨うのが似合う。

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