罪なき血 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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制作 : 青木 久恵 
  • 早川書房 (1988年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150766030

罪なき血 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ジェイムズ作品で数少ないノンシリーズの作品。今のところ、これが私にとって彼女の№1作品だ。

    離れ離れになっていた実の両親を探り当てたらなんと父親は少女暴行罪で獄中死、母親は少女殺害の罪で服役中だった。そして母親はもうすぐ出所するという。主人公の女性は彼女に逢いに行くことを決意する。
    そしてまた殺された少女の父親もその母親の出所を待っていた。彼女に復讐するために・・・とどう転んでも悲劇にしかならない重い設定。だからこの本を読んで爽快感というのは得られないことをまず云っておく。
    そしてストーリーはもうこのゼロ時間に向かって進んでいく。変にトラブルが生じるとか、予想外の事態に巻き込まれるとか、そういったことは一切なく、当事者は“その日”が来るのを淡々と待つのだ。

    しかしこれが読ませる。ジェイムズの時にくどいまでの人物描写の精緻さは定評があるが、この2人の相反する立場の人々の心の移ろいを実に丹念に描いていく。
    特に復讐者である少女の父親が、普通考え付くような積年の恨み辛みを晴らさんべく、ギラギラしたような人物ではなく、どこにでもいそうな小心者として描かれているのが、実に身近に迫っていいのだ。娘の復讐にやぶさかではないが、では殺される前に自分が身を呈してそのとき娘を守れたのか?という思い惑うところまで描いているのがジェイムズらしい。

    そして最後に明かされる事件の真実で最後に物語は一転する。
    単純に善悪で割り切れないところにこの小説の醍醐味はあり、読後深く考えさせられる。で、こういう小説だとジェイムズ特有の重厚な心理描写が実に活きてくる。物語の構造がシンプルなだけにそこに至る道程で関係者が孕む心の移り行きが非常にコクのある内容で語られる。
    決して読後爽やかになる話ではないが、ジェイムズの特質がもっとも現れた作品としてぜひとも読んで欲しい作品だ。

  • こちらも、丸谷才一さんのミステリ指南本(?)で
    「あ、読みたい!」となって、パッと読みだした、
    の、だ、が…

    主人公フィリッパは私生児で、
    本当の両親を知りたいと捜しはじめる。

    しかし見つかったのは殺人犯の母親、であった…。

    ……、むー…、ぬー…
    ともかくフィリッパの言動に賛同しかねるの。

    義理の両親、実の母親、ボーイフレンド、
    殺された女の子の父親…
    出てくる人出てくる人仲良くなれない感じの人たちで、

    やっと出てきた友達になれそうな人は、
    その母親と大学へ行く前の2か月の休みの間だけ、
    一緒に住むことにし、みつけた部屋の、
    一階の八百屋の二代目の方!(やっと、会えた)

    フィリッパも義理の両親も
    ひねくれて、理屈っぽくて、あてつけがましくて…

    最後まで意地で読み通したけれど、
    なんだか疲れちゃった!

    終盤、ドアのあれとかもムリクリな感じだし、
    その他おかしな点も多々あったけど、
    ま、でも、許してあげよ。(怒る程のこともないみたい)

    ラストもさらに不快になりあっけにとられたけど、

    作者の方が「ね、嫌な話でしょう!」と
    囁いて来たら、「なるほどね」と言ってしまいそう。
    (そういう本が、書きたかったの?)

    P・D・ジェイムズさんの本は、三冊目。
    そのうちの一冊はまあまあ面白くて、
    あとの二冊はひっくり返るほどつまらないって
    ふり幅が激しすぎるぜ。

    でもこの方、随分沢山書いておられるのよね…。

    あ!(何?)
    日本で言う、あの人、みたいな感じ?!(誰よ?)

    がっくり来たので、
    絶対面白いと「わかっている」本を読んで魂を慰め中。

    なんだ、丸谷式指南本も盲信しちゃあいけないんだね。

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