ナイチンゲールの屍衣 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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制作 : 隈田 たけ子 
  • 早川書房 (1991年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150766054

ナイチンゲールの屍衣 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 残念ながら私にはイマイチ。
    他の作品に比べてなぜか読みづらく、ペースが上がらず中弛み。濃密な人間ドラマが持ち味の作家だが、その人間関係が描かれる前に事件が立て続けに起きたせいなのか、いつもよりダルグリッシュが青臭かったからなのか、はたまた微妙な部下のせいなのか…。
    好きな作家なので、後期の作品を中心に読もうと思う。

  • 何回も読み返したくなる名言がある。ただの謎解きじゃない。

  • 女の園、しかも働く女の園ときては、
    ダルグリッシュ警視の本領発揮だろう。
    いや、著者P.D.ジェイムズの本領発揮と言うべきか。
    冒頭の看護婦養成所の視学官の描写は、
    めまいがするほど素晴らしい。
    それと、婦長とダルグリッシュ警視の最初の会話の場面も。

    二番目の被害者の妊娠が動機だと思い込んでいたので、
    全く謎解きはできていなかった。
    しかも、第三の殺人には驚くばかり。
    そうくるとは思わなかった。

  • CWA賞受賞でジェイムズ初期の代表作。本の厚みも1.5倍くらいになり、今のジェイムズの作風はここから本格的に形成されたと云える作品。

    看護学校で起きた殺人事件をダルグリッシュ警視(実は『不自然な死体』で既に警視に昇格していた)が捜査に乗り出し、解き明かす。今まで名門の屋敷や休暇で訪れた村など、限定された場所ではありつつも、黄金期の本格をそのまま踏襲する実にオーソドックスな舞台設定であったが、本作以降、教会、出版社、原子力発電所など、舞台は色んな職場を舞台に、そこで働く、もしくは関係する人々の隠された軋轢を解き明かすという趣向に変わっていく。このような舞台設定を採用していくことで、それ以前の作品と違ってくるのは、物語が一種、業界内幕物となってくるところだろう。元々ジェイムズは確か病院の事務か経理をしていたという経歴の持ち主で、最初にこの看護学校を舞台に選んだのは自身が詳しい業界だったからというのは想像に難くない(その後調べてみたら、2作目の『ある殺意』で既に精神病院を舞台にしていた)。これはセイヤーズが自分がコピーライターとして勤めていた広告業界を舞台にした作品を書いたのと合致する、と『不自然な死体』に見られるジェイムズのセイヤーズ崇拝に拍車を掛ける理由付けとして書きたいところだが、概ね作家というのは自分の詳しい世界を舞台に作品を書く傾向があるのでこれはこじつけにすぎるというものだろう。

    CWA賞受賞ということで、では何が変わったかというと特にそれほどの劇的な変化は見られず、従来から最たる特徴であったジェイムズの風景描写、人物描写、心理描写が登場人物がそれまでの作品と比べて増していることで、その分増えた結果、このようなページ数の増大に繋がったという傾向が強い。とはいえ、そこに介在する人間の悪意についてはさらに露骨に書かれ、実際その心情を登場人物がぶちまけるシーンもあり、実際に直面するとかなりドン引きだろうと思われる。
    こういう誰もが殺人を犯す動機があるという作品は犯人当て趣向の作品では意外性を伴わない危険性があり、本作もそう。特に動機面についてはごく普通であり、CWA賞受賞作という前知識から期待感を持って読むと、ちょっと肩透かしを食らう感はある。実際私はそうで、それが上の☆評価に繋がっている。やはり『皮膚の下の頭蓋骨』のような、目から鱗が剥がれるような動機などあれば、もっと評価は上がるのだろうけど、初期の作品だからしょうがないか。

    物語の閉じ方は降り積もった悪意が解き放たれる思いがする。知りたくない人もいるだろうから詳しくは書かないが、既にぎくしゃくして、いつ壊れてもおかしくない状態だった関係性を一旦清算し、新たなる出発を予感させる。これはその後、ジェイムズ作品で一貫して取り入れられている結末だ。
    とまあ、『皮膚の下の頭蓋骨』、『罪なき血』と後の傑作を先に読んでしまったがためにその後に読んだダルグリッシュシリーズがこのような評価になってしまうのは残念なところ。原本の刊行順で読めばまた感想も変わったかもしれない。

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