死の味 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 シ 1-9)

  • 早川書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150766092

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく丁寧に丁寧に書かれていて、主人公と一緒にじっくり事件を追えた…途中までは。
    終盤、章が変わったらもう警察サイドに犯人がわかっているし、犯人視点でもガシガシ書かれるしで、数十ページ読み飛ばした??と置いて行かれた気分。
    あの急展開は一体…?
    クライマックスも、いやーあっちもこっちも無理ではないですかね…?という展開にまた戸惑った。
    結末は好きな方だけど…。

  • (上巻より)

    あれやこれやと楽しめるボリューム感も良い。

    ただ、犯人が意外な人物ではなかったことだけが残念。
    準男爵ではなく、一緒に殺された浮浪者の方が
    動機なのではないのかとずっと思っていたので。

  • 最後に大どんでん返しが!とか、驚きのトリック!とか、そういうのもう良いから、ていう展開。いやむしろ昔は、というか火曜サスペンス劇場とかは、トリックとかじゃなくて人情劇だった気もするし、じゃあ英国版のかというとちょっと違って、いつもの貴族の没落モノ。しかし英国の小説には本当にたくさん多い気がするな。翻訳しやすいだけかな。貴族が出なかったら元ナチスが出るな。
    そんなこんなで地道にコツコツ足で稼ぐ、コツコツ系のRPG好きには堪らない展開、だけど実に泥臭くないというか優雅なのはやっぱり紳士の国というか、警視が主人公というのが一味違うよね。
    そしてあの婆さん。本物の貴族やで。惚れる。

  • 本書はこれまでジェイムズが得意としていた緻密なまでの人物描写、心理描写の粋が素晴らしい形で結集した傑作となっている。

    教会で一夜を過ごした後、急に大臣の職を辞した被害者の1人ベロウン卿。彼の私生活はスキャンダルに満ちており、夫婦のベクトルは御互い違う方向に向いた、決して誉められる物ではない。
    その彼がなぜ浮浪者と一緒に殺されたのか?
    そして被害者のみならず、今回ダルグリッシュの部下となるケイトの抱える闇も重く、単に男社会で孤軍奮闘する女刑事というステレオタイプの人物像になっていない。この厚みある人物造詣が物語をさらに深くする。

    そして今回白眉なのは事件を決定付ける証拠の扱い方だろう。なんとも皮肉というか、綱渡り的というか、いやあ、こういうの、好きだなぁ、本当。

    事件は正にこのベロウン卿に尽きる。彼がある特別なことをしようとしたその瞬間に起きたがために実に不思議な状況として警察の前に差し出されたのだ。これはカトリック社会である英国でしか起きない事件だろうし、また爵位など階級が残る社会構造もこの事件を構成する一因だろう。
    よくもまあ、このような事件を考えた物だと実に感心する、そして結末に感嘆する作品だ。私は本作でダルグリッシュ警視シリーズ第2期の始まりを告げる作品ではなかったかと今になって思う。今のところ、本作がダルグリッシュ警視シリーズで私が最も好きな作品だ。

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