影なき男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150773038

感想・レビュー・書評

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  • またもややってしまった…。この睡魔をどうにかしてくれ!
    前半は特に眠気もなく、快調だったのだが、後半の4日間はもうほとんど脳が寝ていた。従って物語が流れるままを追う、何ともつまらない読書になってしまった。
    さて本書はハメットには珍しくフーダニットをメインとした謎解きのミステリであり、探偵もニックのノラの明るい夫婦が務める軽妙な仕上りになっている。
    所謂ハメットらしさが一番希薄なのだが、あのハメットがこんなのも書いていたのを知るには絶好の一作ではなかろうか。

  • 古典ミステリ。ハードボイルドな文体の一人称で淡々と進むので興奮はしないが、ユーモア溢れる主人公と愛らしい妻、好奇心溢れる変人の男の子等キャラが立っており、彼らの交わす会話がイキイキとかつ緊張感を保っているので楽しく読める。個人的にはある食わせ者の夫人がヒステリー起こして倒れる場面に時代を感じた。今は絶対出来ないね。
    より詳しいレビューはこちら。
    http://bonbyakuan.blogspot.jp/2014/02/blog-post_9751.html

  • まとめ買い第4弾。
    レイモンドチャンドラーさんに影響を与えた作家さんだというので購入。
    とても面白かった。

    ニックは元私立探偵。ひょんなことからひと財産築いて悠々自適の生活を送っていた。
    ある時、知り合いの変人発明家の秘書が殺される事件が起きる。その後様々な人物がニックに接近し、彼は否応なく事件に巻き込まれていくが…みたいな話。

    この話ではいろいろな人がいろいろな嘘をついてるから、誰が本当のことを言っているのかわからくなって疑心暗鬼になる感じが面白かった。これが推理小説の醍醐味なのかもしれない。
    特に嘘をつきまくるミミにはなんというか圧倒させられた。嘘を暴かれてもさらに嘘を重ね、それが暴かれてもまた新しい嘘をつき、それがえんえんと続いていく。嘘だとわかるのに、こちらが根負けして信じてしまいたくなっちゃう感じが面白かった。
    主人公は「ミミの言葉を信じかけても」「人前では信じないことにしている」らしい。

    ハメットさんは、いわゆるハードボイルドものの始祖みたいに言われている人らしい。確かに、元私立探偵のニックの言動や主観がほとんど描かれない文体は、明らかにチャンドラーさんにも影響を与えているように思う。そのままチャンドラーさんの小説に出てきそうな場面も多くあった気がするし。「情けない人生です。なんでこんなことにかかずりあっているのか、自分でもよくわかりません。」って刑事がぼやくところとか。

     ただチャンドラーさんよりはずっといわゆる推理小説に近かったと思う。チャンドラーさんはそれほど謎解きを重視してないように思えるけど、この小説は最終章で主人公が妻に向けて語る形で種明かしがされていた。丁寧だ。
     解説によると、この小説はハメットさんの最後の探偵ものになる予定だったけど、結局最後の小説になったらしい。最終章を読んでると、なげやりというか不思議なあきらめのような雰囲気が漂っていたように感じたから、なんとく「なるほど」と思った。

  • ダシール・ハメットの6作目、そして最後の作品。

    今までとは違う作品。
    今までの主人公の男性は友もなく、家族もなく、
    時には金もなく、仕事もない。
    しかし、今回の作品の主人公の男性は、
    元探偵だが、妻があり、金もある。
    妻の金らしいが。
    そして、
    気の利いた会話を交わす夫婦は
    マット・スカダーとエレインを思い起こさせる。

    探偵時代に仕事をした男の娘にバーで呼び止められる。
    男が行方不明で探してほしいと。
    もう探偵はしていないと断ったが、
    男の秘書が殺され、事件に巻き込まれることに。

    普通に面白かった、
    でも今までに比べると普通かな。
    しょっちゅうお酒を飲んで、夜遅くでかけて、
    朝寝坊をするお金持ちのライフスタイルが
    読んでいてちょっと楽しかった。
    それと、
    資産の話に東京電力の株の話が出てきたのには驚いた。

  • 探偵というのは一生「探偵」という生き物なんだなぁ。そしてそこに集まる人々も変わった人が多いのかもしれない。最後まで怪しい人達の中で犯人を特定できなかったのに、分かってみたら確かにその人だ!とうなずける。犯人がわかったからこそまた読み直したくなる作品。お酒の飲み方も肝が据わっててすごかった。

  • 2008/11/22購入

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著者プロフィール

1894 年アメリカ生まれ。1961 年没。親はポーランド系の移民で農家。フィラデルフィアとボルチモアで育つ。貧しかったので13 歳ぐらいから職を転々としたあと、とくに有名なピンカートン探偵社につとめ後年の推理作家の基盤を作った。両大戦への軍役、1920 年代の「ブラックマスク」への寄稿から始まる人気作家への道、共産主義に共鳴したことによる服役、後年は過度の飲酒や病気等で創作活動が途絶える。推理小説の世界にハードボイルドスタイルを確立した先駆者にして代表的な作家。『血の収穫』『マルタの鷹』他多数。

「2015年 『チューリップ ダシール・ハメット中短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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