第三の男 (ハヤカワepi文庫)

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制作 : Graham Greene  小津 次郎 
  • 早川書房 (2001年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200014

第三の男 (ハヤカワepi文庫)の感想・レビュー・書評

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  • The Third Man(1950年、英)。
    名作映画の原作。最初から映画化を前提として書き上げられた。映画は、ラストシーンの名演出と、ツィター奏者アントン・カラス作曲のテーマ曲で有名。

    友人のハリー・ライムに招かれて、第二次大戦直後のウィーンにやってきたマーティンズは、到着の数日前にハリーが交通事故で死んでしまったことを知る。さらに、ハリーが凶悪な闇商人として警察にマークされていたという話も聞く。友人の無実を信じる彼は、事の真相を探るべく調査を開始する…

    第二次大戦と冷戦の狭間の荒廃した都市を舞台に、当時実際にあった出来事を巧みに取り入れた物語。サイコパスじみたハリーの人物造形が、時代の申し子という感じで良い。これでラストが映画と同じだったら、★5つだったかも…。

  • グレアム・グリーン『第三の男』は、第二次世界大戦直後のウィーンを舞台に、人間の暗黒面を見つめる物語。この『第三の男』は、単なる事件の真相を暴いてゆくだけの謎解き物語の範疇には収まらない。

    この物語の中でのウィーンの地下深くを走る大下水路の描写は、同時に人間のことを普遍的に言い表していると言えるだろう。荒廃した街が人々の心まで荒廃させ、その人々の心の奥底にはさらに、奥深い暗闇が張りめぐらされていることを描写しているように思えるからだ。

    その描写は、「きっと、この物語に登場するウィーンにうごめくいかがわしい人物たちに限らず、今日の現代社会を生きるわたしたちも、またそうであるかもしれない」と、思わず省みてしまうほどである。

    この物語の作者グレアム・グリーン自身、カトリック教徒の作家であり、「であるからこそ、人間心理の暗黒面を見ようとする」(本書解説p199)作家でもある。

    この大下水路の場面の描写は、グレアム・グリーンの目が人間の抱える闇の奥底にまで入りこみ、わたしたちの心の奥底まで見透かされているようで、わたしたちはゾクゾクとした恐ろしさに似たものすら抱いてしまうのだ。

  • 映画は見ていないので何とも言えませんがこちらはあっさりとした話の展開に思えました。
    戦争であちこち破壊されて4カ国に管理されたウィーンの街の重苦しさや歴史の重厚さと言ったものが感じられなくて少し寂しく思えました。

    英国から友人に招かれてウィーンに来た男が到着した日にその友人の葬儀があり、そこで出会った警官に友人の犯罪者としての面を教えられ、それを払拭するために独自で調べ出す…と言ったミステリですが時々挟まれる警官である語り主の『私』が読む上でちょっと邪魔に感じてしまいました。

  • 3.5

  • 「ハリーは生きた人間でした。単にあなたの英雄や、あたしの愛人だけではなかったのです。彼はハリーでした。彼は闇商人でした。彼は悪事を働きました。それがどうだというのです?彼はあたしたちの知っている人間でした」ーと女。
    「ぼくを信用するな、ハリー」ー友人の潔白を証明すべく奔走し、真実を知り、友人の身体に弾丸を撃ちこんだ男。
    この対照が印象的だった。

  • 人間の暗部を見事に描き切った名作、とのことだったが、印象に残るのはむしろ男と男の友人の間の友情。胸が痛くなる。…よく知らなかったけど、有名な映画の原作だそうで。映画の方も観てみたい。

  • サスペンスでありながらも、背景に隠された戦後間もないウィーンの暗い情勢がありありと浮き彫りにされている。
    マーティンズは、ライムは、アンナはそれぞれ何を考えたのか。登場人物の誰の視点から見るかによって、結末を迎える時の気持ちが変わる。
    色褪せない名作。映画も見たい。

  • 映画原作。とはいえ、成立過程を見ると、まず映画の企画ありきで書かれたもの。
    いつものように映画の方は観ていないが、小説はエンタテイメント性を重視した仕上がりになっている。
    筋立てとしては、戦後の混乱したウィーンを舞台にしたサスペンス。ちょっとしたラブロマンス、謎解き、緊迫感のあるアクションシーンと、楽しめる要素をてんこ盛りにして散漫な印象にならずに纏まっているのが凄い。

  • キャロル・リードの往年の名画の原作。小説を映画化したものの場合、往々にして原作の趣きを損なってしまいがちなのだが、この作品に限っては、映画の方がいいかも知れない。リードの演出、ロバート・クラスカーのカメラワーク、オーソン・ウエルズのハリー、アントン・カラスの音楽といずれをとっても他には換えがたい風格だ。一方、原作のほうは映画に比べると、やや未整理な部分も目立つ。それにしても、第2次大戦直後、4カ国によって分割統治されていたウィーンを物語の舞台に選んだのは絶妙のアイディア。G・グリーンの作家的直感は見事だ。

  • 一気に読んだ。技術も良いが文学上の偉大な作家を論ずるファンとの交流会のところが意地悪くて笑える。

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