悪童日記 (ハヤカワepi文庫 ク 2-1)

  • 早川書房
4.13
  • (930)
  • (667)
  • (533)
  • (45)
  • (11)
本棚登録 : 7126
感想 : 778
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200021

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦時下で、おばあちゃんのもとに預けられた双子の「ぼくら」が、日々の事実だけを書き記した日記。純粋な子どもたちが、過酷な現実を生き延びるため、日々、勉強に勤しみ、肉体や精神の訓練も行う。淡々と語られる生々しく陰惨な表現と相まって、感情のないAIロボットのように変化していく双子の姿が恐ろしく感じる。また、地名や人名などの固有名詞はいっさいなく、童話のような世界観を帯びた不思議な物語である。ラストは、「えっ、どういうこと?」とつい声が出てしまった。三部作ということなので、続編もぜひ読んでみたい。

  • 戦時の重い話だが、淡々と書かれているので悲壮感が漂っていない。
    双子のぼくたちに圧倒的魅力を感じるのは、生命力に満ちているからか。題に、悪童とあるが悪童とは思わなかった。人のせいに、周りのせいにしない、恐れず、賢く、逞しい。とにかく双子がかっこよく憧れた。
    最後の双子の選択にはどんな想いがあるのか知りたい。三部作とのこと。続きを読もう。

  • 戦争の激化で疎開した双子の少年が、独特の生きる術によって生きぬいていく。感情が一切描かれず他者からの過酷な仕打ちも、気遣いも淡々と処理されていく。双子が不気味で、読んでいて楽しくないのに引き込まれてしまう。

  • 物語は戦時下、双子の少年が疎開させられる場面から始まる。
    少年らの手記の中に切り取られる人間の姿が、余りに欲望の赴くままで、その醜さは滑稽でもあり恐怖でもある。

    母を想い涙してた少年達が、生存競争に強かに勝つための人間に変わっていく様は切ない…

  • 重いテーマを重く描く、
    悲しい出来事をセンチメンタルに描く。

    そういう当たり前の描き方ではなく
    悲惨な出来事を感情の動きを廃して
    淡々と行動のみを子供の視点から
    子供が書いた日記という体裁で
    描かれている。

    一つ一つの出来事は相当に衝撃的で
    悲惨な出来事なのに、
    ある種サラッと行動のみが書かれていて
    受け止め方に困る。

  • 訳者の素晴らしい訳ですごく読みやすい。巻末の訳者による解説もわかりやすい。
    1日5ページ程の少年の日記という体裁をとっている。文体は優しいが、内容は苛酷で様々な事柄が淡々と書かれている。

    特徴的なのは、名前及び地名が一度も書かれてない。主人公達の心理描写も一切無く、事実のみ(小説中の虚構であるが)を描いている点である。
    主人公達が何を考えているかは、言動から推測するしかないが、そこに作者の描写力が見られるのだろう。

  • サイコパスって感じの本、ぶっ壊れてる。
    面白くてすぐ読み終わった。
    不思議な感じ、一回読んでみてもいいと思う。
    過激な描写もあるし、怖いところも多い。ラストは、え!!って感じ。

  • 双子の男の子が、戦争中の国で逞しく生きていくお話。他人からの悪口に傷つかないよう、お互いに罵詈雑言を浴びせあったり、目が見えない、耳が聞こえないふりをしたり…。2人のトレーニング風景にくすっとしつつ、戦時下の不穏な空気が漂って不気味だった。
    三部作らしいので続きがどうなるか楽しみ。

  • 中途半端なところで終わるなと思っていたら、何と3部作だった。続きが楽しみです。

  • ひたすら人間らしさのない冷酷な、感情のない事実を書き連ねているのだけど、なぜかそこに引き込まれてしまう
    現実性と非現実性を持ち合わせている作品

著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

アゴタ・クリストフの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジュンパ ラヒリ
ポール・オースタ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×