- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200021
感想・レビュー・書評
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戦時下で、おばあちゃんのもとに預けられた双子の「ぼくら」が、日々の事実だけを書き記した日記。純粋な子どもたちが、過酷な現実を生き延びるため、日々、勉強に勤しみ、肉体や精神の訓練も行う。淡々と語られる生々しく陰惨な表現と相まって、感情のないAIロボットのように変化していく双子の姿が恐ろしく感じる。また、地名や人名などの固有名詞はいっさいなく、童話のような世界観を帯びた不思議な物語である。ラストは、「えっ、どういうこと?」とつい声が出てしまった。三部作ということなので、続編もぜひ読んでみたい。
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戦時の重い話だが、淡々と書かれているので悲壮感が漂っていない。
双子のぼくたちに圧倒的魅力を感じるのは、生命力に満ちているからか。題に、悪童とあるが悪童とは思わなかった。人のせいに、周りのせいにしない、恐れず、賢く、逞しい。とにかく双子がかっこよく憧れた。
最後の双子の選択にはどんな想いがあるのか知りたい。三部作とのこと。続きを読もう。 -
戦争の激化で疎開した双子の少年が、独特の生きる術によって生きぬいていく。感情が一切描かれず他者からの過酷な仕打ちも、気遣いも淡々と処理されていく。双子が不気味で、読んでいて楽しくないのに引き込まれてしまう。
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物語は戦時下、双子の少年が疎開させられる場面から始まる。
少年らの手記の中に切り取られる人間の姿が、余りに欲望の赴くままで、その醜さは滑稽でもあり恐怖でもある。
母を想い涙してた少年達が、生存競争に強かに勝つための人間に変わっていく様は切ない… -
重いテーマを重く描く、
悲しい出来事をセンチメンタルに描く。
そういう当たり前の描き方ではなく
悲惨な出来事を感情の動きを廃して
淡々と行動のみを子供の視点から
子供が書いた日記という体裁で
描かれている。
一つ一つの出来事は相当に衝撃的で
悲惨な出来事なのに、
ある種サラッと行動のみが書かれていて
受け止め方に困る。 -
訳者の素晴らしい訳ですごく読みやすい。巻末の訳者による解説もわかりやすい。
1日5ページ程の少年の日記という体裁をとっている。文体は優しいが、内容は苛酷で様々な事柄が淡々と書かれている。
特徴的なのは、名前及び地名が一度も書かれてない。主人公達の心理描写も一切無く、事実のみ(小説中の虚構であるが)を描いている点である。
主人公達が何を考えているかは、言動から推測するしかないが、そこに作者の描写力が見られるのだろう。 -
サイコパスって感じの本、ぶっ壊れてる。
面白くてすぐ読み終わった。
不思議な感じ、一回読んでみてもいいと思う。
過激な描写もあるし、怖いところも多い。ラストは、え!!って感じ。 -
双子の男の子が、戦争中の国で逞しく生きていくお話。他人からの悪口に傷つかないよう、お互いに罵詈雑言を浴びせあったり、目が見えない、耳が聞こえないふりをしたり…。2人のトレーニング風景にくすっとしつつ、戦時下の不穏な空気が漂って不気味だった。
三部作らしいので続きがどうなるか楽しみ。 -
中途半端なところで終わるなと思っていたら、何と3部作だった。続きが楽しみです。
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ひたすら人間らしさのない冷酷な、感情のない事実を書き連ねているのだけど、なぜかそこに引き込まれてしまう
現実性と非現実性を持ち合わせている作品