うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫 ウ 1-2)

  • 早川書房
3.65
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本棚登録 : 1228
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200144

作品紹介・あらすじ

小さなバラ色の雲が空から降りて来て、シナモン・シュガーの香りで二人を包みこむ…ボーイ・ミーツ・ガールのときめき。夢多き青年コランと、美しくも繊細な少女クロエに与えられた幸福。だがそれも束の間だった。結婚したばかりのクロエは、肺の中で睡蓮が生長する奇病に取り憑かれていたのだ-パリの片隅ではかない青春の日々を送る若者たちの姿を優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、「現代でもっとも悲痛な恋愛小説」。

感想・レビュー・書評

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  • 肺に睡蓮の花が咲く奇病になっちゃった女の子に恋した男の子の世にも切ないファンタスティック恋物語。最初に見たのは映画で、映像の可愛らしさがとても好きでした。原作はこれと、新潮文庫から出てた「日々の泡」も読んだのだけれど、やっぱり「うたかたの日々」というタイトルのほうが好き。日本では「クロエ」というタイトルで映画化もされましたが、二次作品としては岡崎京子の漫画が一番原作イメージに忠実かなあ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「岡崎京子の漫画が一番原作イメージに忠実かなあ。 」
      私も同感!
      「岡崎京子の漫画が一番原作イメージに忠実かなあ。 」
      私も同感!
      2014/06/26
    • yamaitsuさん
      ですよね!
      ですよね!
      2014/06/26
  • ◆この世で美しいものは、〈きれいな女の子との恋愛〉とJazz。ほんとうに大切なものは、それだけ。
    ◆Boy meets Girlが語られる前半は〈薔薇色の綿菓子〉、スウィートなlyricのよう。しかしヒロインが結婚と同時に病を得たことで、世界は容易く溶解していく。病・戦争・労働が容赦なく人間性を奪う。宗教も哲学も持たざる者には機能せず、人々を幸せにすることはない。失望・喪失・虚無。ヴィアンはそれらに質量と体積を与え、人を破裂させる。若き迷い子たちの様々な破滅を、耽美的にセンチメンタルに視覚化する。作品は前半の甘やかなlyricからうってかわり、孤独の光るpoemに変質する。
    ◆悲恋小説という先入観から入ったけれど、ロストジェネレーションを諧謔をもって描いた即興演奏だと感じた。
    ◆サルトル『嘔吐』1938。第二次世界大戦1939〜1945。『うたかたの日々』1946。実存主義と戦争の影響をかなり感じる。
    けれど若者が希望を持ちにくい現代(いま)でも、この閉塞感は有効であるように読んだ。それがとても哀しかった。
    ◆『それから』『青い鳥』『恐るべき子どもたち』『壁ーS・カルマ氏の犯罪』などの作品を連想。

  • シュールで幻想的。「ピアノカクテル」「心臓抜き」「嘔吐の形の指輪」など。すぐ人が死ぬし死に方も異常だし、よく考えたら主要人物たちだけが比較的まともなようにも見える。 なんで睡蓮なんだろうなあと花言葉を調べたら「心の純潔」とか「滅亡」みたいな意味があるらしい。なんとなくしっくり来た気がする。美しい。

  • 1947年の作品ですが、全く古さを感じさせません。
    シュールで音楽的でイマジネーションあふれるラヴストーリー。
    読み始めからラストシーンまで胸が切なくしめつけられます
    2003年には岡崎京子さんが漫画化しています。こちらも超オススメです。

    「まちなかギャラリーアートステーション」おすすめの一冊
    http://ai-arts.com/index.html

  • 美しいですね
    基本的には純粋に恋をする男女3体3の物語です。
    文が幻想的で浮遊して掴めないような印象がありました。
    それでも熱い恋の話には違いありません
    良き本でした。始まりから終わりにかけて寂しくなってきますが

  • コランとクロエの恋の話。人は簡単に死んだり、部屋の大きさが変わったり。そして、クロエの肺には睡蓮が生長するというように物語世界が不思議に彩られている。本当に不思議で滑稽な物語。
    とらえどころがないとも言える。主人公の名前の響きが好きです。

  • ボリス・ヴィアンの名前は以前から知っていたが、読むのは初めて。期待を持って読んだのだが、残念ながらとうとう最後まで作品世界に入り込むことができなかった。例えば、クロエが病に倒れた後、2人の医者が登場するが、そのやりとりが全くかみ合っていないと思うのだ。それは、その後の本屋との、そして古道具屋とのやりとりでも同様だ。そうしたナンセンスさをこそ楽しむものなのだろうが、どうもピンとこない。多用される比喩もまた、何を言いたいのかわからない。訳文の日本語に品がない上に、個々の言葉にもまた躍動感が感じられないのだ。

  • とても不思議な小説だった。不思議なことが普通なことのように描かれていて最初は戸惑ったが、読んでいるうちに世界に入り込んでいけた。
    肺に睡蓮の花が咲く病気におかされた妻の病状を和らげるために、花を部屋中に置く主人公。花を買うために憂鬱な仕事をする。
    不思議な世界の中にも現実的な世界ときちんとリンクしている感情があり、とても面白かった。

  • 純粋なのに、残酷でぐろい。なのに気にならない、それどころか、その描写がスパイスになっててよい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      読み直そうと思っていたら、岡崎京子のマンガを見つけて感動した。そしてら光文社古典新訳文庫に野崎歓の訳が入ったので、そちらを読むコトにしました...
      読み直そうと思っていたら、岡崎京子のマンガを見つけて感動した。そしてら光文社古典新訳文庫に野崎歓の訳が入ったので、そちらを読むコトにしました(実は積読中)。きっとカッコの付け方が、より今風になっているだろうと、勝手に期待しています。。。
      2012/06/25
  • 僕のかわいい子猫ちゃん なんてすんなり言ってしまうのはヴィアンとオザケンだけでしょう。

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著者プロフィール

(Boris Vian) 1920年、パリ郊外に生まれる。エンジニア、小説家、詩人、劇作家、翻訳家、作詞・作曲家、ジャズ・トランペッター、歌手、俳優、ジャズ評論家など、さまざまな分野で特異な才能を発揮した稀代のマルチ・アーチスト。第二次大戦直後、「実存主義的穴倉酒場」の流行とともに一躍パリの知的・文化的中心地となったサン=ジェルマン=デ=プレにおいて、「戦後」を体現する「華やかな同時代人」として人々の注目を集め、「サン=ジェルマン=デ=プレのプリンス」 とも称される。1946年に翻訳作品を装って発表した小説『墓に唾をかけろ』が「良俗を害する」として告発され、それ以後、正当な作家としての評価を得られぬまま、1959年6月23日、心臓発作により39歳でこの世を去る。生前に親交のあったサルトルやボーヴォワール、コクトー、クノーといった作家たちの支持もあり、死後数年してようやくその著作が再評価されはじめ、1960年代後半には若者たちの間で爆発的なヴィアン・ブームが起こる。

「2005年 『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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