カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫 カ 2-1)

  • 早川書房
3.70
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本棚登録 : 394
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200199

作品紹介・あらすじ

現実にあった、『冷血』を上回る残虐な連続殺人事件と刑事の絶望的な戦いを描く中篇「手彫りの柩」。表題作「カメレオンのための音楽」など、悪魔と神、現実と神秘のあわいに生きる人間を簡潔にして絶妙の筆致で描く珠玉の短篇群。マリリン・モンローについての最高のスケッチといわれる「うつくしい子供」など人の不思議さを追及した会話によるポートレート集。三部からなる、巨匠カポーティ、最後の傑作を野坂昭如の翻訳で贈る。

感想・レビュー・書評

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  • 「小説の技法」まで読もうとされるのですから、皆さん、読書家なんだろうなぁと思います。ならば、お勧めです。
    私は、カポーティ大好きなんですが、この作品は特別にいい。
    繊細な作品集の後に、ルポ「冷血」を書き、その後、作る側からみると、超化けしたのが、この「カメレオンのための音楽」です。
    新潮文庫さんの訳が良かったんですが、今、ないようなので、こちら、お勧めしておきます。掌編・短編から中編が収められています。

  • 日常を切り取ったような雰囲気だけで終わるのが大好き。読み終わったあとにモヤモヤした気分になるけど、それが良い。

    表現が良い。表題作の中の「カメレオンは音楽が好き」って表現から惹き込まれた。

    最初と最後のTC自身のエッセイも面白かった。特に、最後の自分に自分がインタビューする形式でざっくらばんにTCの人生観が見れたの良かった。最初の小説を書くことの楽しさ、しんどさも良い。既に売れてても自分の才能を探し続ける話。

    描写が優れているという意味では「うつくしい子供」が圧倒的だった。だけど、「見知らぬ人へ、こんにちは」「一日の仕事」が好き。人生ってこういうものだよな、こう生きような、ってなる。

    でもとにかく全編良かった。

  • マキヒロチ「いつかティファニーで朝食を」7巻に触発されて。うつくしい子ども、カメレオンのための音楽、モハーベ砂漠、のみ読了。マリリン・モンローとカポーティの軽妙な会話で構成される「うつくしい子ども」は、マリリンの魅力的な一断面を切り取ってくれる。「カメレオンのための音楽」はマルティニーク島の老貴族が、音楽を好むカメレオンの話を語ってくれつつ、主人公の、かつてマルティニーク島で撲殺された友人のことへと話がおよぶ。「モハーベ砂漠」は、夫を愛しつつも、ベッドはともにできず、自分も愛人を持ち、彼にもお膳立てした火遊びを仕向ける女性の視点から、夫が問わず語りする昔話、かつてモハーベ砂漠のどまんなかに放り捨てられた盲目の老人のストーリーに釘付けとなる。「それに何よりも、あいつに惚れとりましてな、惚れた女にこんな風にされたって、嫌いにゃなれないもんですって」。あと、フレッド・アステアの「バイ・マイセルフ」がきいてみたくなる。妻が愛人に別れを宣告するシーンでながれていた。

  • うーーーーん、面白いのかよく分からない。
    『窓辺のランプ』が好き。

  • 様々なカラーの短編〜中編や、エッセーをまとめた作品。
    小説の中では、私は「窓辺のランプ」が一番好き。
    たった7ページながら、強い印象が残った。
    「手彫りの柩」は「冷血」と比べてしまうと、冗長で技巧的に思う。
    無理に盛り上げようとしている感がある。
    評価の高いマリリン・モンローについて書いた「うつくしい子供」は確かに秀逸。
    生き生きとしたモンローに触れられ、カポーティだけでなくモンローも大好きな私にとっては一石二鳥だった。
    また、最後のカポーティがカポーティと対談するという形式を取ったエッセーも非常に興味深い。
    三島由紀夫についても触れられていて、三島由紀夫も大好きな私にとっては…以下同文(笑)。
    読み始めた時には読みにくく感じた野坂昭如の訳も、慣れるとさほど不自然に思わなかった。
    カバーの絵も似合っていて好き。

  • カポーティ晩年の作品。短編から、『冷血』のようなノンフィクション・ノベルのようなものまで。『冷血』では姿を隠していたカポーティが今作では対話相手として物語に登場。『叶えられた祈り』の系譜も感じるマリリン・モンローが出てくる作品など。以前読んだちくま文庫の『カポーティ短編集』とのかぶりがある。2013/302

  • 天才と言われていたカポーティだが、序章における8歳からの文章の訓練や創作に必要なことを幼少時から考え、実行してきたこと、彼の執筆における並々ならぬ努力は衝撃だった。

    個人的に、ひさしぶりに小説を呼んだのですが、やはり素晴らしいなという結論です。家にいても、精神をどこへでも旅さしてくれる。

    そのセンスに脱帽。あの、絶妙なテイストを味わうと唸りたくなる。

    しかし、そのセンスも努力の賜物、人生をかけて人を魅了するセンスを磨き続けてきたのでしょう。

    『夜の曲り角、あるいはシャム双生児はいかにしてセックスするか』はタイトルから秀逸。

  • 手彫りの柩でやっと良作か!と思いきや、オチ弱すぎた。うーん、どれも狂気が作品のどこかに混じってて、読了感は決して良くない。晩年の作品だから仕方ないか。

  • カポーティ好きとしては、彼の作品はどれも珠玉に感じられてしまいます。この作品集は後期のもので円熟してきた感じがする人にはします。翻訳を野坂昭如さんがされています。

  • 2009/
    2009/

    社交界を追放されて落ち込んだカポーティだが、アンディ・ウォーホルらと親しく付きあい、その中で生活を立て直そうと決意する。それは1979年ごろのことである。その中から生まれたエッセイや小品を集めたものがこの一冊である。

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