- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200199
作品紹介・あらすじ
現実にあった、『冷血』を上回る残虐な連続殺人事件と刑事の絶望的な戦いを描く中篇「手彫りの柩」。表題作「カメレオンのための音楽」など、悪魔と神、現実と神秘のあわいに生きる人間を簡潔にして絶妙の筆致で描く珠玉の短篇群。マリリン・モンローについての最高のスケッチといわれる「うつくしい子供」など人の不思議さを追及した会話によるポートレート集。三部からなる、巨匠カポーティ、最後の傑作を野坂昭如の翻訳で贈る。
感想・レビュー・書評
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「小説の技法」まで読もうとされるのですから、皆さん、読書家なんだろうなぁと思います。ならば、お勧めです。
私は、カポーティ大好きなんですが、この作品は特別にいい。
繊細な作品集の後に、ルポ「冷血」を書き、その後、作る側からみると、超化けしたのが、この「カメレオンのための音楽」です。
新潮文庫さんの訳が良かったんですが、今、ないようなので、こちら、お勧めしておきます。掌編・短編から中編が収められています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マキヒロチ「いつかティファニーで朝食を」7巻に触発されて。うつくしい子ども、カメレオンのための音楽、モハーベ砂漠、のみ読了。マリリン・モンローとカポーティの軽妙な会話で構成される「うつくしい子ども」は、マリリンの魅力的な一断面を切り取ってくれる。「カメレオンのための音楽」はマルティニーク島の老貴族が、音楽を好むカメレオンの話を語ってくれつつ、主人公の、かつてマルティニーク島で撲殺された友人のことへと話がおよぶ。「モハーベ砂漠」は、夫を愛しつつも、ベッドはともにできず、自分も愛人を持ち、彼にもお膳立てした火遊びを仕向ける女性の視点から、夫が問わず語りする昔話、かつてモハーベ砂漠のどまんなかに放り捨てられた盲目の老人のストーリーに釘付けとなる。「それに何よりも、あいつに惚れとりましてな、惚れた女にこんな風にされたって、嫌いにゃなれないもんですって」。あと、フレッド・アステアの「バイ・マイセルフ」がきいてみたくなる。妻が愛人に別れを宣告するシーンでながれていた。
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うーーーーん、面白いのかよく分からない。
『窓辺のランプ』が好き。 -
様々なカラーの短編〜中編や、エッセーをまとめた作品。
小説の中では、私は「窓辺のランプ」が一番好き。
たった7ページながら、強い印象が残った。
「手彫りの柩」は「冷血」と比べてしまうと、冗長で技巧的に思う。
無理に盛り上げようとしている感がある。
評価の高いマリリン・モンローについて書いた「うつくしい子供」は確かに秀逸。
生き生きとしたモンローに触れられ、カポーティだけでなくモンローも大好きな私にとっては一石二鳥だった。
また、最後のカポーティがカポーティと対談するという形式を取ったエッセーも非常に興味深い。
三島由紀夫についても触れられていて、三島由紀夫も大好きな私にとっては…以下同文(笑)。
読み始めた時には読みにくく感じた野坂昭如の訳も、慣れるとさほど不自然に思わなかった。
カバーの絵も似合っていて好き。 -
カポーティ晩年の作品。短編から、『冷血』のようなノンフィクション・ノベルのようなものまで。『冷血』では姿を隠していたカポーティが今作では対話相手として物語に登場。『叶えられた祈り』の系譜も感じるマリリン・モンローが出てくる作品など。以前読んだちくま文庫の『カポーティ短編集』とのかぶりがある。2013/302
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手彫りの柩でやっと良作か!と思いきや、オチ弱すぎた。うーん、どれも狂気が作品のどこかに混じってて、読了感は決して良くない。晩年の作品だから仕方ないか。
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カポーティ好きとしては、彼の作品はどれも珠玉に感じられてしまいます。この作品集は後期のもので円熟してきた感じがする人にはします。翻訳を野坂昭如さんがされています。
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2009/
2009/
社交界を追放されて落ち込んだカポーティだが、アンディ・ウォーホルらと親しく付きあい、その中で生活を立て直そうと決意する。それは1979年ごろのことである。その中から生まれたエッセイや小品を集めたものがこの一冊である。