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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
恐ろしい話だと思った。
同時に、誰にでもありえる話だと思った。
ただ、個人的には「転落」という言葉がしっくりこない。
「しぶとい」の方がしっくりくる。
「犬」というモティーフが何度も出てくるように。
犬畜生として生きるのは転落なのかな?
私にはそう思えない。
ただの根源的な生命力を感じた。
なので転落とは思えない。
それに彼らはあまりに人間的すぎる。
頑固でより自分を正しいと思い「相手」を変えたいと思いすぎる。
主人公の変化は終盤の終盤に明かされ、そこで終わる。
なのでただの人間そのもの、畜生のお話です。
だから面白かった。
当たり前な感想だけれど、人間を描いた作品だと思う。 変わりたくない人間が変わりゆく状況によって徐々に変わる様には悲哀を感じる。運命なんて大それたものじゃなくても、人間は周囲の変化に影響を受け、翻弄されるわけだ。 深く味わうこともできるだろうけど、浅く読んでも十分面白い。 時を経て読み返したいと思える。 翻訳については、好みが分かれる気がする。 鴻巣氏があとがきに記すように... 続きを読む »
途中、苦しい、と思う。
そして、苦しくても最後まで読み続けなければ、読み続けたい、と強く思う。
救いがないというのでは、ない。
むしろ読了した私の中に残るのは、微かだが確かな希望だ。
主人公デヴィッドが当初感じていたような希望とは違うはずのものだが。 この小説に終始引きずり込まれた自分は、幸せだ。
<女学生に手を出したラウリー教授。世間からの非難を逃れ、娘の暮らす田舎へと足を踏み入れるが・・・>
J・M・クッツェー
もうひとつのブッカー賞受賞作。
女学生に手を出した大学教授の転落劇を、打ちのめすような迫力で描いています。
クッツェーは徹底して主人公を痛めつける。
池澤夏樹いわく、クッツェーは登場人物から様々なものを<奪う作家>だ、と。
フォークナーからはアメリカ南部の暴力の匂いがする。
そしてクッツェーからは南アフリカの暴力の匂いがする。
大学教授が転落していくストーリー。
転落部分である「セクハラ事件」の部分は、単なる導入にすぎず
その後、娘が住んでいる南アフリカへ行って、更なる事件に巻き込まれ
る…という話。
随分と読むのに時間がかかってしまいました。
どの人物にも殆ど共感が出来ないままだったからかなぁ。
テーマが沢山あって、どれもそれなりに重く、転落以降のページの進みが遅かったです。
南アと西欧の軋轢、セクハラとレイプ、動物愛護と処分…
絶望的の時に、それをどう受け入れ自分の中で処理していくか。
主人公と娘の対称性が印象的でした。
【最初のページ】 52歳という歳、まして妻と別れた男にしては、セックスの面はかなり上手く処理してきたつもりだ。 【感想】 南アフリカ版、「人間失格」。一瞬の欲情に勝てなかった古文学の教授が、娘の暮らす南アフリカの片田舎に追われ、そこで更なる恥辱を味わっていく。どん底まで落ちてもさらに底がありそうなリアリズムの中で、地面スレスレに飛んでる紙飛行機のような希望をかすかに感じる文体です。 ... 続きを読む »
本書は割とリアルな大学教授の転落の人生を描いたものだ。 だけど、これはただのセクハラ転落だけの物語ではない。これが実に強烈で刺激的。 人間とは何なのか、人にとって栄辱とはどういうものなのかがテーマだ。 帯には、「中年男がたどる悔恨と審判の日々」とあったんだけど、私はデヴィッドはには悔恨の情などこれっぽっちも感じなかった。そもそも悪いことだと思ってはいないもの。それにデヴィッドは中年という... 続きを読む »
大学教授が転落して行くストーリー。物事の善悪って、罪に対する審判って、突き詰めるとヨクワカラナイ。それを見事な構成と展開で描き切った作品。クッツェーは天才です!
クッツェーを読むのは初めて。壮年にしてますます「盛ん」な大学教授が、懇意にしていた娼婦に嫌われ、教え子に手を出して職を追われ、田舎暮らしをする娘のもとに身を寄せれば、娘は黒人への隷従を余儀なくされているという、まぁそんな話。行きずりの女に、田舎の大して魅力的でもない獣医に、教え子の妹に、そして自身の娘に対してすら抱く、主人公の狂気にも似た、しかし、男の性(さが)として抗えないセックスへの欲望が印象的。この四半世紀の最高傑作という評価もあるそうだが、正直今一つだったなぁ。フローベルやラングランドへの言及も、今一場にそぐわない感じ。
軟派な中年白人親父は変わっていく。「ひとの栄辱とはなにか。魂のよりどころはどこにあるのか(そもそも魂はあるのか?)。」どこか馬鹿にし、受け入れようとせず、距離を置いて接していたひとがいる。いつの間にか壁が低くなり、言いたい事を言って喧嘩もして、抱擁も交わす。価値観の違う人を丸ごと理解するのは難しいけど、どこかで折り合いをつけて日々を過ごすほかない。
うーん、これはー、これはー、キツイ。きつい本だがすごい。可愛い女子大生と合意の上かと思ったら、ところがどっこいセクハラで訴えられる大学教授がその後もっと酷い事件に巻き込まれる・・・。救いはあるのかないのか、自分でどうにかするしかないのか。南アフリカ社会に生きる白人(アフリカーナー)という世界。これぞ現代海外文学を読む醍醐味。それにしても父娘の会話がなんというインテリジェント。
翻訳のテンポがよく、つらい内容の物語も、 なんだか日本語の美しさに救われそうだ。これは英語で書かれていてもこういう印象を持つような文章なんだろうか? 巻末の解説は野崎歓氏も、翻訳を褒めている。
(再読中)
最高。
ただ頑固な生き方を通すと
こうなっちゃうのかな~、と。
でもオレも丸くはならないぜ!!
http://ffapparelkiroku.blog71.fc2.com/blog-entry-31.html
じじい教師が女生徒に手を出したらパワハラ・セクハラで訴えられてしまった恥辱
しかも謝罪より先に自分のプライドを守ろうとしてしまう、まさに恥の上塗り
結果、学校を追放されて、娘の暮らす田舎に転がり込んでいくのだけど
彼はそこでさらなる恥辱にまみれていくことになる
94年にアパルトヘイトが撤廃されたとはいえ
それによって「血のつながり」や「文化的差異」まで無くしてしまえるわけもなく
結果として、それまで「進歩的」とされてきたタイプの人々が居場所を失ってしまったのだと思う
そうやって社会的に宙に浮いてしまった人々はいやおうなくふたつの選択を強いられていく
すなわち、恥辱を受け入れるか否かだ
(アパルトヘイト撤廃は91年じゃなくて94年でした…
訂正させていただきました)
話のつくりが対称的できれいだと思う。
主人公は物語前半で触れられる自らの行動と同じ方法で(言ってみれば)復讐されて
被害者の父親と同じ立場に陥ったはずなのにその点に関する言及が奇妙なまでに避けられている。
この辺が"他者"の話になるんだと思う。かなり印象的な本です
あのですね、これをですね、
帰省の折の、新幹線で読もうと買ったのです。
ブッカー賞作家ですし、勧められましたし。
ですが、これは大晦日に読むには、
相当に適さない本でした。
もっともっと、晴れがましさから縁遠い時に、
読むべき本であると気付いたのは、読み終わった後。
絶望とかすかな再生であるがゆえに、
本当に絶望しているときに読むべきだと感じて、
再度読むことは、なぜか避けております。
2009年3月4日購入
最近、予定調和的?な本ばかり読んでいたせいか
読み終わった後は毒にあてられた気分である。
読み始めは小憎らしいインテリ中年だった主人公が
愛という名の無力を学んでいくのを読むのは
まことに嫌な気分であった。
最初は大したことない話だなと思っていたが
途中から様子が一変する。
そこからの味のない、
しかし目をそらすこともできない話が始まる。
赤ちゃん教育で冒頭に紹介されていたので買ったが
これを読みながら子育ての本を書くとは…
そのせいでちょっと違う内容を期待していたので
評価は4だがたぶん5に値する内容だとは思う。
それと岩井克人が
私有財産制とは非常に崩れやすい制度だ、といって
アフリカの話を出していたがなるほどと納得。
ラウリー教授がいとしい!
「抒情だ。わたしには感情表現が欠けている。
愛を巧くあつかいすぎるのだ。燃えあがっているときでさえ歌えない。
わかりますか。そのことを悔いに思う。」
あまりにもかなしい
昔からよく思うのは、感受性が強すぎるのも人づきあいがうますぎるのも物分かりがよぎるのも、どれも障害となる。
メラニーになりたかった。
ポストアパルトヘイト時代の南アに於ける、白人と黒人、男と女、農村と都市、人間と動物、富者と貧者、ハイカルチャーとサブカルチャーといった二項対立とその混沌とした逆転に次ぐ逆転が、失脚する主人公の流転とその娘の苦難という形でショッキングかつ鮮やかに描かれていて、一気に読んだ。
ブッカー賞を初め
国内外の数々の文学賞を
受賞している『恥辱』です
南アフリカと言う地にあって
今まで
いかに西欧的環境に守られていたか
という現実を
徹底的に突きつけられる出来事に
更なる 恥辱をもって塗れます
転落していく教授の話。犬や処女性などのシンボル的な言葉・意味が登場人物の関係の中でぐるぐると廻り廻る。
隷従と愛と性欲。インパクトのある心理描写だった。
訳文もかなり魅力的。嵐が丘と同じ訳者さんなんだな、ファンになりそう。

セクハラと職権乱用で失職した52歳の元大学教授のラウリーが、田舎で農園を営むレズビアンの娘ルーシーや犬たちとの関わりを通して、自分を見つめ直すお話。
ずっしり重たいけれど良い小説。
序...





