- Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200489
感想・レビュー・書評
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人類初の殺人として聖書に書かれるカインとアベルの物語が基礎にあるというので、兄のキャルが成長途中から不穏な存在として配されていた。
けれど弟のアロンだけが愛され、自身は誰からも疎まれるため、計算高さを磨き、悪を気取るようになっても、キャルは父も弟も召使のリーも家族として愛し続けた。
その思いは悪一筋だった母キャシーにすら向けられる。
父とも理解し合い、キャシーにも見様によっては救いが訪れ、大団円に終わるかと思いきや、キャルがよかれと思ってしたことが裏目に出、噴出した彼の悪徳の情がアロンの柔らかな心を射抜いてしまう。
文学としての重みがありながら娯楽要素にも富む良作。同著者の作品では一番読みやすい。
聖書の素養があれば、より深く物語に入っていけたのかもしれない。なくても、存分に楽しめたけれど。
本巻より前の巻で詳述される聖書の用語「ティムシェル」が一番大切な場面で使われるので、その時に書かれた解釈をもっときちんと読んでおけばよかったと後悔。
図書館に返しちゃったから、読み返せず。さらっと読んでよく覚えていなかった……。難しかったし。 -
一生大切にしたい本。
何か辛いことや悲しいことがあった時、そうじゃなくても定期的にこの本を読むと思う。
1〜4巻、ページを捲る手がなかなか止められなかった。読み終わるのがとても寂しかった。 -
映画で一度見てはいたが、原作を読んで、より心に残る一冊となった。
兄弟の葛藤、大人になると言うこと、自己意思による生き方、とても共鳴させられた
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“いくら弱くても、穢れていても、弟を殺しても、人間には偉大な選択の権利が与えられています。人間は自分の進む道を選び、そこを戦い抜いて、勝利できるのですから。”
ティムシェル-汝能ふ、という言葉がこの光と影、選択と許しの物語を貫いていく。
最後、文庫本全4巻にわたるこの大長編を読み上げ本を閉じたとき、私を包んだのは深い祈りの気持ちでした。 -
マイバイブル
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聖書の「カインとアベル」を下敷きにした物語の完結編です。
ティムシェル。
人は自分の生きる道を自分で選びとり、困難を打ちのめし、勝利を自分の手で得ることができる。
かつて罪を犯した人間も、血筋の良くない人間も。
これはものすごい自己責任を伴うことで、自由とは苦難の連続なのかもしれないけれど、その困難に立ち向かっていく力があるのも人間なのかな…って思いました。
何度も読んでみたくなる本でした。 -
神はあなたに予言もしていないし、命令もしていない。あなたは自分で、その運命に立ち向かって良い。自分の道を選んで良い。
「ティムシェル」が僕の大切な言葉になった。 -
とっても感動しました!キャルに幸せな人生を歩んで欲しい。
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原罪を背後に厳然と据えながら、人間の美しさ、醜さを徹底的な冷徹さで描いていく。
あなたは罪を治めなければならない。
彼はその原罪を許されたのだろうか。