わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫 イ 1-6)

  • 早川書房
3.88
  • (1352)
  • (1662)
  • (1158)
  • (239)
  • (80)
本棚登録 : 17065
感想 : 1808
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200519

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 核心に触れそうで、触れない。
    最初の方は、なかなか物語の真意が掴めず、ただ
    ページを捲るだけしかできなかったが、クライマックスになるにつれ、ある人物が出てきてからより重厚な映画を観ている感覚になりました。
    ヘールシャムがつくられた意味は、そこで行われていた、展示会に選ばれる作品たちにどういった
    思いがあったのか、私には少し難しい印象がありました。特に物語の倫理観ですね。この倫理観を
    嫌う人もいるだろうし、文学にはこういった世界観もいいだろうと思う人も、賛否両論あると思います。臓器を提供するために造られたクローン人間という、残酷な運命を待つ人たちの物語です。

  • 読んだのは何年か前に文庫本で一気読み。
    内容は正直なところ細部まで覚えていない。
    題材が重くてエグいが文章の美しさとストーリー構成によって誤魔化されている感じ。自分や家族の長生きのために他人を死なせることが許される社会なんて怖すぎる。読みながら自分だったらどうするか?を考えた。逃げる一択だった。どのような目的で生まれたかを問わず、すべての生命体に生命を維持する権利が宿る事を忘れてはならない。もしもこの物語が某国内でのルポだったら、もしもこの作品がこれほど美しい描写で描かれていなければ、もしもこの世界観が現実にある出来事だと知らしめる要素が少しでもあれば、多くの読者に読まれていなかっただろう。映像化もなかっただろう。彼らが臓器を提供させられる際の苦悶の描写やメスを握る側の苦悩など、多くの残忍なリアリティを排除しないと読まれない現実をカズオ氏が知り尽くしているからこその、この作品だったのだろうか。気軽におすすめとは言えない鬱作品だと思う。

  • 私にはあまり合わなかった。淡々と整いすぎた文章なのか、海外文学の雰囲気なのか。
    前半は読むのに本当に時間がかかった。考えさせられるテーマが書かれているが、お話に入り込めなくてあまり感情は動かなかった。

  • よく出来た物語だかあまり面白く感じなかった。
    和訳だからか読みにくいし、説明や話が長い。

  • なんとか読了。

  • 臓器提供というテーマは知っていたので、シリアスな医療モノと自己解釈して読み始めたらまるで違う。ふつうの若者の日常を淡々と語ってゆく。起伏もない日常をかたってゆくので、所々読み飛ばし。途中で気づいたのは、家族の話題が全くないこと。まあ、臓器提供としてこの世に生まれたこども達なので、家族はいないし、家族という概念がないのだろう。将来の夢は叶うことのない夢であって、残されるものは何を願い、思って日々をおくるのだろうか。

  • 「提供」という言葉が出現するのは、物語のかなり最初の段階。
    読み始めてすぐ、映画「アイランド」を思い出してしまった。
    「提供」「介護人」「ヘールシャム」「マダム」「外の世界」。
    はっきりと説明がないまま、クローンを匂わせる単語は出てくるので、なんとなく先が読めてしまう。
    どこかであっと驚く展開があるのかと思いきや、いつも想像通りなので消化不良。
    色んな所が中途半端で、マダムの正体やエミリ先生との再会にしろ、クローンの親を探す旅にしろ、先を期待させつつ、中途半端な形で終わってしまう。
    クローン人間自体、現実の世界にほんとにあるのかないのか知らないけど、彼らが、自分達がクローンである事にそれほど疑問や抵抗がないのが、理解出来ない。
    ヘールシャムを出て、外の世界に馴染むにはきっと時間や苦労が伴うのに、それも一切描かれていない。
    主人公の目線で語られるのに、その主人公が可愛げないし、物語の設定自体になんとなく入り込めず、最後まで心惹きつけられることなく、読了。
    映画化されていて、予告編をみた限り映画の方がずっと面白そうだった。

  • 正直最後まで読むのたいへんやった…。
    おもしろいのはおもしろいけど、事前に聞いてたネタバレ無しで読んでほしいとかむせび泣きながら読んだとかの口コミと逸脱してる感じ、、、。
    時速20キロでずーっと物語がつづいていく感じ。
    少しつかれた。カタルシスは得られない。

  • やりたいことはいずれできると思ってきましたが、それは間違いで、すぐにも行動を起こさないと、機会は完全に失われるかもしれない、ということです。

  • 人はなにがなんでも生き続けなければならないのか?

著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

カズオ・イシグロの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×