ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

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制作 : 黒原敏行 
  • 早川書房 (2010年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200601

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)の感想・レビュー・書評

  • 傑作だとは思わない。もの凄く心が動かされたわけではない。核戦争後の荒れ果てた世界で、ひたすら南を目指す父子の物語。淡々した描写と父子の詩的な会話が続き、どこに連れてかれるのだろうと不安を感じながら読み進めるも、結局、最期まで何かが解明されるわけではない。ただ印象は非常に強く、夢にまでみてしまった。読後感を述べるのが難しい本は久しぶりである。

  • 荒廃した世界。灰色の世界で夜は暗く寒い。殺人者や略奪者が多く、誰も信用できない。そんな世界を父と子の二人が南へ歩いていく。
    他人を信用しない、慎重な父と、純粋で他人を助けたいと思う子ども。
    どちらの行動、思考にも一理あって考えさせられた。
    ラストが好き。

  • 父と子がカートに荷物を積んで荒廃した世界(「The Walking Dead」みたいな、でもゾンビはでてこないけどね)を生き抜く。
    本を読んでから、映画化になっているのを知ってYouTubeで映画の予告を見た 映像化になってもなかなか良さげな感じ DVDが出てるので機会があれば見てみたい 
    小池昌代さんの解説がすんばらしかった 解説だけ何度も読み返した 読み応えのある解説はうれしいな ☆4.5

  • 過酷な状況の中で人間の持つ「善さ」を体現する子供。ムイシュキン公爵のような無垢な存在。こんな子供は普通にいないが、なぜか実在感が高く、自分の子供とかわらなく感じる。
    なぜラストに、父親が死んだとたんに、救う人間がでてくるのか、しばらく子供が苦悩してから出てきた方が、リアリティもあるし、救う人たちのありがたみもわかるはずなのに。

  • 現代アメリカ文学のロードナラティブ。
    SFとロードの融合は去年見た映画のマッドマックスを彷彿とさせられた。
    この一冊に出会えてよかった。
    作者についてもっと知りたいと思えた。

  • 何らかの大災害によって滅びた後の世界を、父と息子が道に沿って歩いて旅をする話。死者の残していった食料や衣服、死んだ木々や灰の混じった水といった、死んだものたちを親子は糧にして「火を運ぶ」。鳥のように直線距離で進むのではなく、道の上をさまよいながら。
    乾いた文体、カギカッコの付かない詩的な会話文、読点がほぼ排除された地の文、滅びた世界に関する詳細な描写によって、生きることが絶望であるような残酷な世界観にどっぷり浸ることができた。
    私はちょうど「マッドマックス 怒りのデスロード」を見たばかりなので、この本の読後感はその映画を見たときと同じような感覚だった。
    聖書や何らかの比喩には疎いのでそのあたりのメッセージ性は私には分からなかったが、少年の善性に心が潤され、滅びた世界の絶望感も心地が良かった。

  • 廃墟を親子で彷徨い、父親が死に、また子どもが彷徨うという話である。映画化されたとあるが、日本で上映されたであろうか?

  • 二人のセリフは多くを語っていないが、それでこそ文字通りの意味ではなく深みに潜む本心や疑問を考えさせられる。場面設定も多くのことが捨象されている。なぜ世界は荒廃しているのか、母はどうしているのか、向かう先に何があるのか、なぜ二人は生き残っているのか。あらゆることを捨象することで二人の関係性がより浮かび上がり、二人を取り巻く世界が無限に広がる途方もなさを感じさせる。自分は無限に絶望を感じたが。

  • 終末を迎えようとしている世界で、父親と子供が南を目指して進んでいく。ほとんど絶望しかなく、あたたかいのは親子愛だけ。ラストは涙が止まらなかった。それがどういう涙なのかは読んでみてください。いつかくるであろう終末に備えなくてはと思った。今の地球がこうならない保証はない。

  • 近未来世紀末的な希望のない世界、、、での希望

  • 終末後の世界をただひたすらさまよう、父と息子の親子二人の話。
    その日を生きれるかどうかもわからない日々を送る様子が語られる。親子の会話で成り立っている物語といえる。不思議な話。最後はよかったのか救われたのかよくわからないまま結末となる。

  • 父の視点。息子の視点。2つの視点で感情移入をしながら読んだ。物語が終わった時に感じたのは、一言で言い表すことができない温かなものが、父から子へと間違いなく伝えられたという確信だった。そんなすばらしい場面に立ち会った気にさせられる物語。

  • sfでもなく、細部まで語らずのスタイルがいい。

  • 映画化によって話題になっていた2010年に、シンガポールの日本人向け本屋で購入。しかし、途中であまりにも読むのがつらくなって、読み終わったのは2014年・・・と言う感じで随分時間がかかった(あきらかにかかりすぎ)。

    本書の舞台となるのは、おそらく核戦争により人類のほとんどが死滅してしまった後の北米大陸。主人公の男性は息子とともに、「火を届ける」という漠然とした言葉とともに、南の海岸へと向かう。すでに荒廃しきったこの世界では、飲み物や食べ物をめぐって他の人間との争いがあり、人食も行われている。そういった「枯れ切った」世界を主人公と息子はひたすら歩き続ける。

    日本のゲームやファンタジーとともに育った僕は「読み進めれば、この世界がこうなってしまった」理由がわかるのでは、と期待をするのだが、その期待はエンディングまで満たされずに終わる。世界がなぜこうなったかという「大きな物語」にはいっさい触れられず、父親は病死をし、息子は道行く家族に拾われ旅を続ける・・・というのが本書の結末だ。

    カテゴリとしては本書をSFに分類したが、これはかなり強引なカテゴリわけで、実際には「文学」とするのが正しいと思う。宗教的なテーマや訳文越しであっても伝わってくる美しい文章は、読者をまるでその世界で主人公と一緒に旅をしているような気分にさせてくれる。

    一方でSFやミステリのようなカタルシスとは最後まで無縁の作品でもある。映画版は見ていないのだが、精神的に元気なときでないと、とてもではないが見る気にはなれない。そういう意味で読み手を強く選ぶ作品であると思う。

  • 以前、「天地明察」の冲方丁さんがTV番組で紹介していた1冊。SFだと思ってましたが、これは何になるんでしょうか?

     何らかの原因により、消失し灰で覆われた世界を息子と二人、「火」を運びながら何かを求めて旅をします。
    ここで言う「火」とは、心とか魂とか、そう言う感じのもの。太陽も霞んでいる世界は、暗くどこにあるか分からない未来。もうどこにも無いかもしれない希望を探して、息子を守りながら、ひたすら歩き続ける。

    上手く表現出来ませんが、この暗いストーリーがなのに、なぜ惹きこまれるのか・・・不思議です。

    2007年ピュリッツァー賞を受賞した、ベストセラーだそうです。知らなかった。

    暗い絶望の中で、自分を貶める事無く、諦めない。

    このレビューを書く事で、この本の良さが整理出来た気がします。

  • 絶望の世界ですが、最後の最後に希望はやはりそこにあるんだなと感じさせてくれた本でした。暗い話なので、読み進めるのは結構大変でしたが。。。

  • 世界の終わりを描いた小説ということだけ知っていたので、てっきりエンターテイメント小説かと思いきや、これは紛れもない純文学だった。
    何らかの原因で文明が崩壊した世界を旅する親子の物語。秩序もなにもかもが崩壊した過酷な世界で生きるために淡々と旅を続けるんだけど、少年の純粋で無垢な心があまりにも痛々しい。しかし、物語のラストではもしかしたら、この少年の純粋さがこの荒廃した世界を救うのではないか?と少し感じさせることができた。
    少し重たい物語だけど、文学作品としてとても優れたものだと思った。

  • 映画「悪の法則」を見て、さらにこの作品でピュリッツアー賞受賞しているということで読んでみた。
    「悪の法則」もそうだったけど、理由なんか必要無し、淡々と語られ始める究極のハードボイルド

    歩き続ける父と息子。
    生きていく希望もほとんどなく、息子だけが支えになっている父。
    息子がいなければ、自殺しているかもしれないし、略奪者になっているかもしれない。
    場面は究極だけど、自分にとっての子どもってのも、そういう所があると思う。
    最後がわずかだけど希望へとつながるストーリーになっている点だけが救い。

  • 舞台となるのは、あらゆる文明的なものが崩壊し、全ての外的な規範が失われた世界。
    読者は、そんな世界を生き抜く父子の、長く苛酷な旅に同行することになります。
    それは、次のような問いに答えるための旅です。つまり、「私達は、どうやって人間の良心の存在を信じられるのか。」

    彼らの旅が終わるとき、あなたは自分なりの答えを見つけるはずです。

  • 燃え尽きた世界。灰に覆われた世界。南を、海岸を目指す少年と父親。善いもの。火を運んでいる。頭に入れたものはずっとそこに残る。

  • 父と息子の愛、父から息子へ受け継がれていくものの話。
    焼け跡以外何も無い終末世界だからこそ父と息子の関係の描写が研ぎ澄まされる。
    尋常じゃない過酷な終末世界描写の中にあってすらほのぼのとしてしまう息子の可愛さに父の愛情の深さがわかる。
    物語は一歩一歩旅を進める親子と同じように進みが遅い。傾斜のゆるい螺旋階段の様にループしながらちょっとずつ上に上がって行く。
    何らかの災いで一瞬にして破滅してしまった世界という舞台の作りこみが凄いところにSFとしての面白さがある。「核戦争後」ではないところが、よくある世界観にならず興味を引き付けて読み進めさせる推進力にもなっている。

  • 読んでいる間中、痛みで身が引き裂かれる思いだった。文明が崩壊した後のアメリカ、動植物は死に絶え人々は互いの肉を貪り食う世界。灰色の景色を父子は互いを支えとしながら、極限状態の道程を歩んでいく。読点を排した文体は息苦しさを掻き立てられ、括弧のない会話文はか細い吐息が音色を立てている様だ。人間が人間でいられない世界の中でも、人間であり続られる事を本作は示している…が、家族の遺品として読むには余りにも辛過ぎる内容だった。それでもラストには欠片の程の希望を感じることが出来たし、たぶん今はそれぐらいで丁度良いから。

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