夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

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制作 : Kazuo Ishiguro  土屋 政雄 
  • 早川書房 (2011年2月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200632

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ■老歌手 ※往年の名歌手。老夫婦のそれぞれが愛し合っているにもかかわらず再起に賭けて別れる。
    ■降っても晴れても ※親友夫婦の間をとりもつ滑稽でダメなぼく。
    ■モールバンヒルズ ※夫婦のズレを目撃する、ミュージシャン志望の若者。
    ■夜想曲 ※整形手術を受けたサックス奏者と、隣室で知り合ったセレブが、トロフィーをめぐりドタバタ劇。
    ■チェリスト ※駆け出しのチェリストは、楽器を弾かない大家からレッスンを受ける。

    音楽と(人生の)夕暮れ、という副題が美しいほどにぴったり。
    最初から「書き下ろし短編集」として編まれた5題。
    重、軽、 重、軽、重、という構成もよい。

    ユーモアとペーソスをまぶされた、夫婦の黄昏れ。
    才能と継続。諦念。郷愁。転機。芸術と世俗。シビアでもコミカルでもある人生というもの。
    「愛し合っているのに……」「愛し合っているからこそ……」という男女の機微。
    これらはすべて年を重ねたからこそ味わえる滋味だ。
    長く生きれば必然として滓や澱のように溜まるものがある。
    ドタバタコメディでもある「降っても晴れても」や「夜想曲」の背後にも、それらはもちろん。
    解説で中島京子さん曰く「可笑しいんだか、悲しいんだか」。まさにこれ。

  • Nocturnes(2009年、英)。
    音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。

    「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になってしまうところが笑えるのだが。「イシグロ史上最も冴えない語り手(解説者談)」は、「最も心優しき語り手」でもあると思う。素っ頓狂な友人チャーリー(そもそもこいつが全ての元凶だ)とのやり取りも絶妙で、ベストコンビ賞を贈りたい。それにしてもチャーリー、最終試験のあと泥酔して何をやったんだろう?

  • すごくよかった。
    わたしは基本的に、短編、どこか不思議な話、で?って感じの話、が苦手なんだけど、この作品はそのすべてにあてはまるのに、すごく楽しめた。
    どの短編も、ユーモアがあって。こんなに笑えるとは思わなかった。(とくにメグ・ライアンのチェスと、トロフィーのワニがすごくおかしかったー)。
    だけど、すごくせつなくて。

    ヨーロッパの観光地や田舎町など、舞台となる場所の空気感みたいなものが伝わってくるような、その場所に連れていかれるような感じがして、雰囲気がすごく好きだった。

    才能とか運命みたいなことも考えさせられた。

    あと、村上春樹に似ているなーと思った。(いや、村上春樹が、というべきなのかわからないけど)。

  • 夕暮は光と闇の変わり目、明と暗の入り混じった時間と空間。
    音楽と夕暮・・・男と女、夫婦、才能、過去と現在
    別れの予感・決意、栄光と衰退、希望と現実

    音楽をバックに
    「降っても晴れても」「夜想曲」は語り手自らが夕暮にあり
    「老歌手」「チェリスト」は語り手の目を通して
    「モールバンヒルズ」は語り手自らと語り手の目を通して
    夕暮の世界が描かれている。

    静かな味わい

  • とてもロマンチックな内容でした。
    夕暮れと音楽がテーマになっていますが、人情もののように感じました。
    消化不良気味はきっと読み手の想像力を誘うんだろうなあ。
    旅に出たくなり、次に読む時は、ジャズやクラシックを聴きながら読みたいです。
    見知らぬ土地へ放浪する音楽家たちの、優しい物語です。

  • 読書感想文を書いておこうと思ったキッカケが、カズオ・イシグロの“私を離さないで (Never Let Me Go )” だった。
    日のなごり、わたしが孤児だったころ、と読んだが、どれも深い哀しみというかモノノアハレというか..........

    この短編集も同じように、心の底に積もり溜まっていく感情が描き出されているようだ...................が、なんだかカタログを見ているように味気ない。

    Crooner: ヴェネチア、サンマルコ広場で、共産圏出身の楽師が憧れのアメリカ人老歌手に出会う。再起を期する老歌手は愛妻との旅行中

    Come Rain or Come Shine: 万年英会話教師の中年男が、成功している友人夫妻をロンドンに尋ねる。ところが夫妻の間柄はガタガタ...

    Malvern Hills: 売れないミュージシャンは実家でカフェをやっている姉夫妻のところに居候中

    Nocturne:  全く芽のでない中年サックス奏者が、人生変えるために整形手術を受ける。Croonerに出てきた老歌手の妻が登場する。

    Cellist: 舞台は再びサンマルコ広場(と思われる)7年前に広場でみかけた駆け出しのチェリストの一夏での変容

    翻訳は 私を離さないでと同じく、土屋政雄氏。
    翻訳本であることを感じさせない。
    肝心の音楽を読み手の自分が知らないのが問題なのかもしれない。

  • 良訳の書を探していたところ、この本を挙げている方がいらしたため手に取る。
    が、ところどころしっくりしない表現やおかしな文が見られた。

    この作者・役者の作品は初見。
    どちらも自分には合っていないように感じた。
    他の方のレビューでは、登場人物に対して好意的な意見が多いが、個人的には「身勝手な人」達ばかりに感じ、誰一人として魅力的なキャラに思えなかった。
    物語自体は五編とも、いわゆるオープンエンド。
    内容が楽しめたなら結末がはっきりしなくても気にならない方だが、最後までモヤモヤしたまま。
    根本的に相性が悪かっただけと結論づける。

  • カズオ・イシグロによる音楽にまつわる5つの短編。
    「老歌手」往年の名歌手とその妻に出会った、若きギタリストの不思議な交流。
    「降っても晴れても」学生時代の音楽愛好仲間と結婚した親友に再会し、うまくいかない夫婦関係とうまくいかない主人公の人生を嘆くような、コメディ
    「モールバンヒルズ」イギリスの田舎町でくすぶるギタリストと、彼が手伝う料理屋を訪れた正反対の性格を持つ音楽家夫婦の物語
    「夜想曲」タイトルの割りにすごいポップ。ひょんなことからスターと同じ病院に泊まり、一夜の冒険をすることになったサックス奏者の嘆きべくポップな物語
    「チェリスト」プロの道を歩き出した若きチェリストと、彼に指導を行うようになったアメリカ人女性の、不思議な師弟関係を描いた物語

    舞台はイタリアだったりアメリカだったりイギリスだったり。出てくる音楽家たちの楽器もギター、サックス、チェロなど。立場も成功者から夢見る若者、愛好者など様々。

    音楽って美術同様に成功する人が極端に少ないからか、なにかどの話も切ない。わずかなポップさに救われるんだけど、それもいつか終わる。音楽を聞いているみたいな読書でした。

  • 愛の夕暮れは、音楽のように響く。

    副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」とあるが、確かに、なんとなく、夕暮れの物語である。全体に漂うのは、寂しさ。どの短編にも愛の危機にある人々が出てくる。何か哀しみの予感がする。人生は甘いものばかりで出来ていない。カズオ・イシグロを読むと、いつもそう思う。

  • 是非、ジム・ジャームッシュ監督による映像化キボンヌ!な短編5つ。

    日常が醸成する(多かれ少なかれの)狂気。これを伝え、あるいは理解させることに特化した言語が音楽だとしたら。
    そんなテーマのもとに綴られる、どこか寂しい人たちの優しいストーリー。

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夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)の作品紹介

ベネチアのサンマルコ広場で演奏するギタリストが垣間見た、アメリカの大物シンガーとその妻の絆とは-ほろにがい出会いと別れを描いた「老歌手」をはじめ、うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルの特別階でセレブリティと過ごした数夜を回想する「夜想曲」など、音楽をテーマにした五篇を収録。人生の夕暮れに直面して心揺らす人々の姿を、切なくユーモラスに描きだしたブッカー賞作家初の短篇集。

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