夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

  • 907人登録
  • 3.59評価
    • (41)
    • (105)
    • (110)
    • (16)
    • (4)
  • 108レビュー
制作 : Kazuo Ishiguro  土屋 政雄 
  • 早川書房 (2011年2月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200632

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)の感想・レビュー・書評

  • すごくよかった。
    わたしは基本的に、短編、どこか不思議な話、で?って感じの話、が苦手なんだけど、この作品はそのすべてにあてはまるのに、すごく楽しめた。
    どの短編も、ユーモアがあって。こんなに笑えるとは思わなかった。(とくにメグ・ライアンのチェスと、トロフィーのワニがすごくおかしかったー)。
    だけど、すごくせつなくて。

    ヨーロッパの観光地や田舎町など、舞台となる場所の空気感みたいなものが伝わってくるような、その場所に連れていかれるような感じがして、雰囲気がすごく好きだった。

    才能とか運命みたいなことも考えさせられた。

    あと、村上春樹に似ているなーと思った。(いや、村上春樹が、というべきなのかわからないけど)。

  • 夕暮は光と闇の変わり目、明と暗の入り混じった時間と空間。
    音楽と夕暮・・・男と女、夫婦、才能、過去と現在
    別れの予感・決意、栄光と衰退、希望と現実

    音楽をバックに
    「降っても晴れても」「夜想曲」は語り手自らが夕暮にあり
    「老歌手」「チェリスト」は語り手の目を通して
    「モールバンヒルズ」は語り手自らと語り手の目を通して
    夕暮の世界が描かれている。

    静かな味わい

  • Nocturnes(2009年、英)。
    音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。

    「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になってしまうところが笑えるのだが。「イシグロ史上最も冴えない語り手(解説者談)」は、「最も心優しき語り手」でもあると思う。素っ頓狂な友人チャーリー(そもそもこいつが全ての元凶だ)とのやり取りも絶妙で、ベストコンビ賞を贈りたい。それにしてもチャーリー、最終試験のあと泥酔して何をやったんだろう?

  • 読書感想文を書いておこうと思ったキッカケが、カズオ・イシグロの“私を離さないで (Never Let Me Go )” だった。
    日のなごり、わたしが孤児だったころ、と読んだが、どれも深い哀しみというかモノノアハレというか..........

    この短編集も同じように、心の底に積もり溜まっていく感情が描き出されているようだ...................が、なんだかカタログを見ているように味気ない。

    Crooner: ヴェネチア、サンマルコ広場で、共産圏出身の楽師が憧れのアメリカ人老歌手に出会う。再起を期する老歌手は愛妻との旅行中

    Come Rain or Come Shine: 万年英会話教師の中年男が、成功している友人夫妻をロンドンに尋ねる。ところが夫妻の間柄はガタガタ...

    Malvern Hills: 売れないミュージシャンは実家でカフェをやっている姉夫妻のところに居候中

    Nocturne:  全く芽のでない中年サックス奏者が、人生変えるために整形手術を受ける。Croonerに出てきた老歌手の妻が登場する。

    Cellist: 舞台は再びサンマルコ広場(と思われる)7年前に広場でみかけた駆け出しのチェリストの一夏での変容

    翻訳は 私を離さないでと同じく、土屋政雄氏。
    翻訳本であることを感じさせない。
    肝心の音楽を読み手の自分が知らないのが問題なのかもしれない。

  • 良訳の書を探していたところ、この本を挙げている方がいらしたため手に取る。
    が、ところどころしっくりしない表現やおかしな文が見られた。

    この作者・役者の作品は初見。
    どちらも自分には合っていないように感じた。
    他の方のレビューでは、登場人物に対して好意的な意見が多いが、個人的には「身勝手な人」達ばかりに感じ、誰一人として魅力的なキャラに思えなかった。
    物語自体は五編とも、いわゆるオープンエンド。
    内容が楽しめたなら結末がはっきりしなくても気にならない方だが、最後までモヤモヤしたまま。
    根本的に相性が悪かっただけと結論づける。

  • カズオ・イシグロによる音楽にまつわる5つの短編。
    「老歌手」往年の名歌手とその妻に出会った、若きギタリストの不思議な交流。
    「降っても晴れても」学生時代の音楽愛好仲間と結婚した親友に再会し、うまくいかない夫婦関係とうまくいかない主人公の人生を嘆くような、コメディ
    「モールバンヒルズ」イギリスの田舎町でくすぶるギタリストと、彼が手伝う料理屋を訪れた正反対の性格を持つ音楽家夫婦の物語
    「夜想曲」タイトルの割りにすごいポップ。ひょんなことからスターと同じ病院に泊まり、一夜の冒険をすることになったサックス奏者の嘆きべくポップな物語
    「チェリスト」プロの道を歩き出した若きチェリストと、彼に指導を行うようになったアメリカ人女性の、不思議な師弟関係を描いた物語

    舞台はイタリアだったりアメリカだったりイギリスだったり。出てくる音楽家たちの楽器もギター、サックス、チェロなど。立場も成功者から夢見る若者、愛好者など様々。

    音楽って美術同様に成功する人が極端に少ないからか、なにかどの話も切ない。わずかなポップさに救われるんだけど、それもいつか終わる。音楽を聞いているみたいな読書でした。

  • 愛の夕暮れは、音楽のように響く。

    副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」とあるが、確かに、なんとなく、夕暮れの物語である。全体に漂うのは、寂しさ。どの短編にも愛の危機にある人々が出てくる。何か哀しみの予感がする。人生は甘いものばかりで出来ていない。カズオ・イシグロを読むと、いつもそう思う。

  • 是非、ジム・ジャームッシュ監督による映像化キボンヌ!な短編5つ。

    日常が醸成する(多かれ少なかれの)狂気。これを伝え、あるいは理解させることに特化した言語が音楽だとしたら。
    そんなテーマのもとに綴られる、どこか寂しい人たちの優しいストーリー。

  • 音楽にまつわる5つの短編集。
    「わたしを離さないで」から入ったからか、そこまでの衝撃や衝動を感じる事無く、淡々と読むことでできました。
    音楽や洋楽の知識があれば、もっと深い所まで楽しめたのかもしれません。
    私は、随所に出てくるアーティストの名前も分からないものが多く…。

    繊細な心の機微を、ゆるやかに静かに表現していて素敵なのですが、
    全体通して、穏やかなテンションで進んでいくので、少し物足りなかったところもあります。

  • 美しい夜想曲。関係ないけど、たまたまテタンジェのノクターンのことを考えていたので強いシンクロニシティを感じた。たまたまヘミングウェイを読後に読んだので、これでも説明「しすぎ」な印象を受けた。あれだけの文章の達人=イシグロをしても書きすぎと思わせるのだから、ヘミングウェイのそぎ落とし方がいかにすごいのか、と思った。あと、イシグロの短編は村上春樹を想起させますね。

  •  カズオ・イシグロの短編集。
     どれも<音楽>が関わってます。
     そして、物語はピンボールのようにそれぞれがつながっていきます。

     「夜想曲」が圧巻。
     整形するために、高級ホテルに滞在していたサックス奏者が、同じ理由で隣室に滞在していた有名ミュージシャンの元妻と知り合いになる。
     お互い、顔に包帯をまいてる状態で、ホテルの中という小さな世界で、二人は次々に冒険をする。
     少年少女のような、無垢がそこにある。

     が、それは<顔>というものがないから成立したことなのだろう。

     そして、そのことを二人は確実に知っている。
     そのことが、やるせない気持ちになるのである。

     うむ。どれも、切ない物語だった。

     「チェリスト」は、結局のところイシグロにとって<音楽>は、崇高なものでも救いでも何でもない、ただそこに存在するものであるという現れなのかもしれない。
     「わたしを離さないで」でも、音楽は大事な要素としてでてくる。が、そこに必然はない。主人公は、切実に音楽を求めているわけではない。
     「チェリスト」に出てくる大家は、結局何もなさなかった人なのだ。私は、そこにむしろ憎しみを覚える。
     <自分の才能を守らなければならない>と、教師を拒否して、ようするに何もやってこなかった彼女。
     それは、いわば音楽の否定に他ならないと思う。

     音楽を音楽たらしめるのに、テクニックは不可欠だ。
     その部分を完全否定して語る音楽は、所詮、絵空事でしかない。
     
     イシグロが描きたかったのは、むしろこの絵空事に気づかないで、小さい世界に閉じこもっていく彼女の哀れさだたのかもしれない。

     だとすれは、随分皮肉な話だ。

     音楽をテーマに描く話のほとんどは、音楽に対する強烈な愛情が根底にある。
     が、イシグロはその対極あるといっていいだろう。
     音楽への愛を叫ばない、音楽の短編集として、確かに新しい岸辺を臨んでいると思う。

  • ノリで買っちゃったもんね♪ 
    初めてのカズオさん。

    雰囲気が村上春樹っぽい?
    つまり、現代小説家なんですね。 

  • ■老歌手 ※往年の名歌手。老夫婦のそれぞれが愛し合っているにもかかわらず再起に賭けて別れる。
    ■降っても晴れても ※親友夫婦の間をとりもつ滑稽でダメなぼく。
    ■モールバンヒルズ ※夫婦のズレを目撃する、ミュージシャン志望の若者。
    ■夜想曲 ※整形手術を受けたサックス奏者と、隣室で知り合ったセレブが、トロフィーをめぐりドタバタ劇。
    ■チェリスト ※駆け出しのチェリストは、楽器を弾かない大家からレッスンを受ける。

    音楽と(人生の)夕暮れ、という副題が美しいほどにぴったり。
    最初から「書き下ろし短編集」として編まれた5題。
    重、軽、 重、軽、重、という構成もよい。

    ユーモアとペーソスをまぶされた、夫婦の黄昏れ。
    才能と継続。諦念。郷愁。転機。芸術と世俗。シビアでもコミカルでもある人生というもの。
    「愛し合っているのに……」「愛し合っているからこそ……」という男女の機微。
    これらはすべて年を重ねたからこそ味わえる滋味だ。
    長く生きれば必然として滓や澱のように溜まるものがある。
    ドタバタコメディでもある「降っても晴れても」や「夜想曲」の背後にも、それらはもちろん。
    解説で中島京子さん曰く「可笑しいんだか、悲しいんだか」。まさにこれ。

  • 2017年6月26日、再読。ケン・リュウ、テッド・チャンと続けて読んで、SF小説なので当たり前だが、どの話も必ずSFの形を取っていることに疲れを感じて、本棚をゴソゴソ探してきた。私の好きな音楽をテーマにしていることもあり、どの話も面白かった。プロどころか、今となってはアマチュア音楽家でもなくなってしまったが、それでもなお、まだ音楽に心をグッとつかまれて身悶えすることがある。それは私にとっては私だけの特別な感覚のような気がしていているのに、見事に言葉にしてしまう作者にすっと引き込まれてしまう。私にとって村上春樹と並んで特別な作家である。

  • けっこう前に読んだのに、ふとこの本で読んだ景色が思い浮かぶことがある。

  • 私は初めての作家を読む場合、短編から入るたちなので、この短編集も初めて読んだカズオ・イシグロ作品です。
    話の内容とか面白さ云々よりも、カズオ・イシグロはなんて心地良い文章を書くのだろう!と感じた記憶があります。(翻訳者のセンス良さもあると思いますが)
    中でも『老歌手』は雰囲気が良く、印象に残りましたし『夜想曲』は面白すぎで大笑いでした。

  • 著者初の短編集という事で期待していたが、不思議な味わいと独特の余韻はあるものの、面白いかというとそんなでもなかった。翻訳は良し。

  • いつものイシグロ。未来から純粋だった過去を振り返る、あるいは、今からくたびれた未来を想う。

  • 16/07/17、ブックオフで購入。

  • カズオイシグロの本を何冊か読んで気に入ったためこちらを手に取った。
    音楽に詳しければもっと楽しめただろう。
    どれも儚げな味わいがあり、ユーモアもある上質な短編集。短編なのでやや物足りない部分もあったが、それは致し方ない。個人的には夜想曲が面白くて好き。

  • ドラマが鮮烈な印象だったので、この作家の作品を読んでみたくなったが、短編集だったので、イメージが違っていた。やっぱりドラマの原作本を読もうと思った。

  • 素晴らしい短編を読んでいる最中とその読後は、わたしはいつも上機嫌だ。
    郷愁、旅情、人の生きる辛さやせつなさをそのままの言葉にせず、作家の言語で表している。

  • カズオ・イシグロは短編もいいなあ。

  • 再読。全く記憶に残っていませんでした。

全108件中 1 - 25件を表示

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)に関連する談話室の質問

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)の作品紹介

ベネチアのサンマルコ広場で演奏するギタリストが垣間見た、アメリカの大物シンガーとその妻の絆とは-ほろにがい出会いと別れを描いた「老歌手」をはじめ、うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルの特別階でセレブリティと過ごした数夜を回想する「夜想曲」など、音楽をテーマにした五篇を収録。人生の夕暮れに直面して心揺らす人々の姿を、切なくユーモラスに描きだしたブッカー賞作家初の短篇集。

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)の単行本

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)のKindle版

ツイートする