夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫 イ 1-7)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200632

感想・レビュー・書評

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  • 文学ラジオ空飛び猫たち第63回。 音楽と才能、人生の夕暮れに直面した人々の姿、夫婦の危機といったことをユーモアたっぷりに描く大人な短編集です。副題は「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。 この短編集でもカズオ・イシグロ作品に共通して言える、自分は何者かというアイデンティティの問題が含まれていて、短いながらも彼の作品の魅力を味わうことができます。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/63-e1ajupc

  • なんかこう切ない雰囲気がとても好き。

    イシグロさんって、淡々と進む情景描写に、綺麗な色の哀愁を乗せるのがとても上手な作家なんだと思う。たぶん、情景と感情の絵をいつも思い描いている人。うまく色が溶け合わさせて、読者を癒してくれる。
    この本はそれがすごく出てる。

    サンマルコでいつかこんな音楽家に会えますように。

  • とてもロマンチックな内容でした。
    夕暮れと音楽がテーマになっていますが、人情もののように感じました。
    消化不良気味はきっと読み手の想像力を誘うんだろうなあ。
    旅に出たくなり、次に読む時は、ジャズやクラシックを聴きながら読みたいです。
    見知らぬ土地へ放浪する音楽家たちの、優しい物語です。

  • 是非、ジム・ジャームッシュ監督による映像化キボンヌ!な短編5つ。

    日常が醸成する(多かれ少なかれの)狂気。これを伝え、あるいは理解させることに特化した言語が音楽だとしたら。
    そんなテーマのもとに綴られる、どこか寂しい人たちの優しいストーリー。

  • 短編集。笑って、しみじみして、唸って、ため息ついてまた笑って。
    一番好きなのは「降っても晴れても」。
    どれもラストは僕好みだった。

  • カズオ・イシグロ(1954-)は、『日の名残り』(1989年)で、イギリスで最も権威ある賞「ブッカー賞」を受賞した、世界的作家。長崎県長崎市で、日本人の両親の元に生まれましたが、5歳でイギリスに移住。成人までは日本国籍、その後、イギリスに帰化しています。2010年に映画化された『わたしを離さないで』で、また、2012年4月に、NHKで「カズオ・イシグロを探して」と題したドキュメンタリーが放送され、日本でもより知られるようになりました。
    『夜想曲集』(2009年)は、「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題が付いた、初の短編連作集。どの物語も、人生の後半や終盤にある人物が、自らの過去(=夕暮れ)を、ジャズ、クラシック、ポピュラーなどの音楽とともに振り返ります。
    この連作短編集を読んで私は、自分が若い頃にこの本に出会ったならば、今とは違い、ストーリーの展開や場面設定の巧妙さにばかり感嘆しただろうと思います。しかし、人生も優に半ばを過ぎ、振り返る時間が堆積した今、私がこの短編集から読み得たのは、感情の渦に巻かれ、愚かしい選択を繰り返してきた人間の、それでも肯定する他ない人生への愛着でした。
    いずれにせよ、これが私の人生だった。そしてこれからもそれは同じ――。作家と出身地を同じくする私は、身勝手にも、遠いイギリスからそんな激励をもらった気持ちなのです。(K)

    「紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉」2012年1月号より。

  • 夜想曲集:音楽とゆうぐれをめぐる五つの物語

  • カズオ・イシグロの短編集。音楽、夕暮れ、男と女。間違いなく傑作。

  • 音楽と色々な人生の黄昏時が淡く書かれてる。説明とか不粋な事は一切しない。イシグロブシ痺れるぜ。

  • 過ぎ去りし時代の音楽は知らない曲ばかり、YouTubeで探し聴きながら読んだ。格調高い文章は行間に時間の狭間が織り込まれる。情景を空想し登場人物に自分を重ね合わせて読む。すると今日一日疲れた体、心が癒される、不思議な文体である。

著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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