ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 2)

  • 早川書房
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300028

感想・レビュー・書評

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  • 南米で財を成し、今はフランスに居を構える富豪のポール・ルノーから、身の危険を感じるので助けて欲しいとの手紙がポアロに届く。
    早速、ヘイスティングスと迎うが、時すでに遅し。
    敷地に隣接するゴルフ場のバンカー予定地で刺殺された姿が発見されたばかりだった。

    うーん、ちょっと混み入った話が過ぎたかな。
    単に誰がなんのために殺したのかわからない、みんな怪しいという構図だけならすっきり楽しめたと思うのだが、狂言疑惑?やら時間のトリック?やら過去のいわくつき事件との関係?やらでなにを巡る事件なのかの目眩しが凄まじい。

    一年ちょっと前、当時小6の娘に読ませた後に、なかなかクリスティを手に取らなくなってしまったのも何となく頷けた。
    ちょっと小学生には難しかったな。
    それでもこの間読ませた『そし誰』では、「この人、天才」と言っていたので、クリスティにしても波や相性はあるものだと再認識。

    そんな中でも、ポワロが人間猟犬と評すジロー刑事と顔を合わせる都度いちいち繰り広げる舌戦や、何と言っても恋多き男ヘイスティングスの迂闊さがやっぱり面白い。
    どうしていつも君は自分の思い込みでそんなことをやらかしてしまうんだい!?といい意味で呆れ果てさせられる。

    次は『アクロイド殺し』。

    • 111108さん
      fukayanegiさん♪

      こちらもおじゃまします。
      当時小6の娘さんに勧めるにはガチャガチャした話でしたね。『アクロイド』ならいいかも‥...
      fukayanegiさん♪

      こちらもおじゃまします。
      当時小6の娘さんに勧めるにはガチャガチャした話でしたね。『アクロイド』ならいいかも‥というより、お父さんの英才教育ぶりが微笑ましいですね♪
      2024/04/06
    • fukayanegiさん
      111108さん

      そうですねー。
      やっぱり、中身はちゃんと精査しないとですかね。
      娘は『アクロイド殺し』は少年少女版みたいなので読了済みな...
      111108さん

      そうですねー。
      やっぱり、中身はちゃんと精査しないとですかね。
      娘は『アクロイド殺し』は少年少女版みたいなので読了済みなので、『ビッグ4』をお届け済なのですが、ずっと積読状態です。。。
      2024/04/06
  • フランスが舞台のポアロ長編作。今まで読んだシリーズ中一番忙しい話だった。ポアロとパリ名刑事と捜査をめぐるバトルやヘイスティングズの恋話もあって異色作という印象。若い時代に書かれたものかなと思った。どんでん返しぶりはさすが。

  • ポアロシリーズ二作目の作品。
    非常に読みごたえのある作品でした。特に女性達の際立つ心情が印象的です。女性に翻弄されるヘイスティングズの活躍が面白い作品でもあります。

  • ポアロに助けを求める一通の手紙。急いで現地に向かうポアロとヘイスティングズだが、手紙の送り主はすでにゴルフ場で殺されていた。

    ポアロシリーズ第二作。ポアロの推理手法、ワトソン役ヘイスティングズのキャラクター紹介のような作品である。ワトソン役のわりには登場作品が多くないヘイスティングズだが、この作品では大活躍だ。

    犯罪すれすれで美女のために走り回る彼のキャラクターを好きになれるかどうかで評価はわかれそうだが、私は困った人(美女)をほっておけないお人好しのヘイスティングズが嫌いではないので、十分楽しめた。クリスティもヘイスティングズを書くのは楽しかったのではないだろうか。

    犯人につながる大きな謎が思ったより早く種明かしされるため、途中で犯人が推測できてしまうという欠点はあるが、トリック解明を重視していない読者であれば、ヘイスティングズの立場で事件の真相に考えを巡らし、ある程度推測できた時点で「さあ、ポアロがどのように犯人を追い詰めるのか」と予定調和を楽しむことができる。クリスティのしっかりとしたキャラクター造形のなせる技である。

    ただ、このタイトルはいかがなものか。ゴルフ場が事件に関係ないわけではないが、タイトルにするほどの重要性があるようにも思えない。タイトルで損している作品だと思う。

  • ポアロシリーズ第2作目。ムッシュ・ルノーから助けて欲しいという依頼。ポアロとヘイスティングスがルノーに会いに行くが既に殺害されている。さらに翌日隣のゴルフ場のバンカーで謎の男の死体が発見される。この作品では過去のベロルディ事件と様相が似ているところをポワロが気付き核心に迫っていく。犯人らしい人物が変わりまくる展開で目がまわるが、最後は動機が金であり、真の愛により犯人が除外される。ルノー夫妻、ルノーの息子とベラ、ヘイスティングスとシンデレラ、それぞれの真実の愛を見極めることが今回のポワロ作品の鍵だった。

  •  ポアロ長編を読むのは二作目(昔読んだような気がするがあまり覚えていないのでカウント対象外とする)。この前に読んだ『スタイルズ荘~』はオーディオブックだったので、じっくり「読む」のは一作目。まだまだポアロ(そしてクリスティ)初心者です。

     今回の捜査現場にはジロー刑事という別の探偵もいるのだが、地面を這いつくばって現場を調査するジロー刑事を徹底して冷笑するポアロ(というか、クリスティ?)の態度が面白い。なりふり構わず猟犬のように地面を嗅ぎ回るのは、ホームズでおなじみのザ・名探偵スタイルだが、そんな美しくないことはしないというポアロ(クリスティ?)のエレガントさ。とある事情で逃がしてしまった事件関係者を、慌てて追いかけるようなこともしない。どこにいるとも知れない人物を大声で呼ばわって探したりもしない。もちろん、そうしなくて済むように手を打ってあったり、そうする必要がないことがすでにわかっていたりするからである。
     そして身なりはいつでもきちんとしている。普段はカッコつけてるエラリーが、事件に没頭しすぎるあまり髪も乱れたままとか、裸同然の格好であったとか、そういった隙を見せて売っていく(買うなよ)ようなやり方とは違う。
     若者たちの、若さゆえの悩みや過ちに対しては、「このポアロおじさんに話してごらんなさい」と寛大で慈悲深い。そう言ってしっかり重要人物から重要な言質を引き出しているその手腕も見事だが、特に本作では年の離れた友人としてヘイスティングズに見せた愛情深い態度は、見逃せないポイントだった。

     以下、覚え書き。
    ・これまた込み入った真相だった。殺人事件自体がかすむほど各人の思惑の絡まり合いにドラマがある。
    ・「愛する人のために罪をかぶる」はまあよくあるパターンだけど、誠実な弁護士さんかわいそうだった。
    ・フランスの裁判は若い美人には極めて寛大とか言われている。
    ・解説は、テレビドラマでポアロの声を演じた熊倉一雄さんによる談話。読者であると同時に、演じた人(スーシェさん)の吹き替えという立場からの話、面白い。

    • 111108さん
      akikobbさん♪
      ポアロ物つい口出ししてごめんなさい!
      エラリーの「隙を見せて売っていくやり方」笑
      ギャップ萌えですな〜ポアロが髪振り乱...
      akikobbさん♪
      ポアロ物つい口出ししてごめんなさい!
      エラリーの「隙を見せて売っていくやり方」笑
      ギャップ萌えですな〜ポアロが髪振り乱したりしたらただのおじさんになっちゃうから。
      あと恋に突っ走るヘイスティングズに優しいのはいいですよね♪
      2024/04/06
    • akikobbさん
      111108さん
      とんでもない、コメント嬉しいです♪
      ギャップ萌えですなあ、チョロい客です。
      オーディオブックで聞いたときはポアロはかなり大...
      111108さん
      とんでもない、コメント嬉しいです♪
      ギャップ萌えですなあ、チョロい客です。
      オーディオブックで聞いたときはポアロはかなり大仰で、エキセントリック系な印象を受けたのですが、今回は品があって頼もしく優しい紳士に見えました。
      ヘイスティングズは毎回恋に落ちるのでしょうか^^; 彼とポアロは良い関係ですね。
      2024/04/06
  • ポアロもの。
    フランスに滞在する富豪のルノー氏から、助けを求める手紙を受け取ったポアロは、ヘイスティングズと共にルノー氏の滞在する邸へ向かいます。ところが、ルノー氏は既に殺害されていて・・・。
    事件解決に乗り出すポアロと同時に、パリ警察のジロー刑事も捜査を開始します。
    バチバチ火花を散らすポアロとジローですが、二人の目の付け所が対照的で、まあポアロ圧勝といったところです。
    ルノー氏の近所に暮らす美人母娘や、冒頭でヘイスティングズが出会った謎の娘、そして過去の事件も絡んできて二転三転する展開に目が離せません。
    後半では、ヘイスティングズの恋ゆえの暴挙もあり、タイトルは地味な本書ですが、何気に盛りだくさんな内容となっております。
    とりあえず、ポアロものを読むときは、ヘイスティングズに対して寛容な気持ちでいることが良いと思った次第です。ねぇ、モナミ。

  • シリーズ2作目。
    怪しい人がいっぱい出てくる。
    ヘイスティング本当に反省しろよ。
    なかなか本質がわからないように隠したトリックは見事。
    愛への忠誠。
    ジローも見事なかませ犬だった。
    過去は変えられない。

  • 今回は、登場人物のドロドロの人間模様がまざまざと描かれていました。

    ベラとジャック、そしてルノー夫妻、どちらも互いを深く愛していて、これはひょっとしてミステリじゃなくてメロドラマだったの?と錯覚してしまいそうでした。
    逆に、お金目当てに殺人まで犯すほど、冷酷になれるドーブルーユ親子は末恐ろしすぎますね…

    ヘイスティングスのロマンチストぶりも見ていて楽しく、読んでいてこちらが照れてしまうほどでした。

  • アガサクリスティのポアロ第二作。序盤からヘイスティングスのなぜそこまで軽い感じでのめり込めるかわからない恋ネタから始まり、第一、第二の殺人が起きる。最期の大どんでん返しは面白かった。綿密な構成で読者を見事に欺いた感じ。

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