- Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300233
感想・レビュー・書評
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改めてクリスティー面白い!と思った。またもやBSドラマで大筋を知っていたが、より細やかに感情と人間関係を描いており恋愛小説としても戦後「潮時に乗れなかった」者達の話としても読み応えあった。ポアロのちょっと上を行く推理が見事。
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ポアロもの。
大富豪ゴードン・クロードが死亡し、その莫大な財産は若き未亡人ロザリーンが相続しましたが、実質はロザリーンの“兄”・デイヴィッドのコントロール下にある状況です。
そして、ゴードンに経済的に依存しまくっていたクロード一族の人々は、“後ろ盾”がなくなってしまい、金銭的窮地に立たされてしまいます。
クロード一族と、ロザリーン&デイヴィッド兄妹の間に不穏な空気が流れる中、ある日村にロザリーンの前夫(ゴードンの前の夫)を知るという人物が現れて・・・。
解説にも本作品が「ドラマ重視」と書かれていましたが、確かに“事件”が起こるまでのヒリついた人間模様がしっかり描かれていますね。
そして、一応ヒロイン的ポジションのリンを巡る三角関係も並行していて、以前からの婚約者で朴訥な農夫・ローリィと、ロザリーンの兄で危険な魅力(?)を備えたデイヴィッドとの間で揺れるリンの心理描写にもご注目です。
(私からすれば、“どっちもどっち”という感じでしたが・・汗)
そんな人間ドラマの土台の上で展開するミステリ部分も秀逸で、ポアロ言うところの“まともでない”という表現の通り、“動機と犯行が合わない”という状況に翻弄されてしまいました。
思い返せば、あちこちにヒントが散りばめられてはいたのですけどね~。
(例えば、ポーター少佐の“あの台詞”に、“ん?”となったのは、私だけではないはず・・)
このように、人間ドラマとしてもミステリとしてもグイっと読ませる本作品。
ちょいと登場人物達のキャラが弱いかな・・と思わんでもないですが、個人的にはフランセスとケイシイが何気にいい味出していたかも。と思いました。 -
【記録】
満潮に乗って。
2017.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
残念です。
皆様のレビューを見て図書館に予約するが、字が小さくて読めず返却する。
アガサ・クリスティを読んでみたかったが残念。
※【記録】の説明は、プロフィール欄に書いて有ります。 -
事件はなかなか起きないのに飽きずに読める。
流石です。
一人の大富豪の死によって狼狽する一族の人間模様や彼らと関わりのある人物の描写が丁寧に書かれている。
関係性が整理しやすく、物語の構成としても面白い。
設定自体は地味だけれど、意外性のある展開や真相で楽しませてくれる。 -
物語自体は地味な印象。
だが、いつも通り仕掛けられた二重三重に仕掛けられた罠の方向性が、通常の作品と少し異なるベクトルを向いていて、意外性があってよかった。
クリスティのこの頃の作品らしく、人の心情を描くことに注力しているようで、物語の中盤まで殺人が起きないし、ポアロも出てこない。 -
ポアロシリーズではこれと「カーテン」を最後に残しておいたのは、タイトルがなんか惹かれなかったから。
でもこんなに面白い本、意図してないとはいえあとに残しといてよかった!
どんな予想も全て裏切られた。
オススメを聞かれたら間違いなくBEST5に入れます。
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アガサクリスティー。ポアロシリーズ。
お金持ちの未亡人とそれを取り巻く人々のお話。
お金を受け継いだ気弱な未亡人とその兄が今までそのお金に頼ってきた一族と対立する。その中で未亡人側の弱みを握った脅迫者が殺され、それをきっかけに第2、第3の死体があらわれる。
丁寧に作られているが、少し物語としては地味だと思う。
また無理に恋愛色を出す必要はないと思った。