NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300486

感想・レビュー・書評

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  • みんな大好きトミー&タペンスの第三作
    英国文学史上最強の『おしどり探偵』も46歳、『秘密機関』で運命の再会をした時は「ふたり合わせても45歳になっていなかった」のにね〜

    双子の息子と娘も成人していて、世間も子供たちもふたりを完全に年寄り扱い
    46歳なんてまだまだ現役だろうが!むしろ働き盛りだわ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
    って思うのは今の日本だからかな
    第二次大戦真っ只中のイギリスではそうなんかな?
    まぁ太平洋戦争時の日本も戦地に行ったのは若者ばかりだったからね
    当時の日本人男性の平均寿命か23歳9ヶ月というんだからたいへんな時代です
    あ、またしてもめっちゃ横道に逸れてしまった
    横道逸造(誰や!)

    はい、『NかMか』ね
    まぁ簡単に言うとトミー&タペンスがナチのスパイを見つけるために〈無憂荘〉というゲストハウス(日本で言う下宿屋?)に潜入するという冒険小説です

    まぁ、もうあからさまにぜんぜん違う筋追ってるじゃん!とイライラしっぱなしでした
    もうアホか!と
    分かりそうなもんだろ!
    最初からこいつが怪しいだろ!
    しかしこれは私がすごいのではなく、再読なのでなんとなく覚えてただけの可能性大ですw

    そんでなんかあれが実はあれでみたいな、本作の肝の部分の設定って他の小説でも読んだ記憶がある

    しょうがないよ
    斬新な設定思いついた!ってなっても「それもう似たようなことクリスティがやってます」てなるもん
    もう「いえいえオマージュです」って言うしかないよね

    オマージュ海老(ひどい締め)

    • 1Q84O1さん
      もう調べなくていいでしょw
      いないでしょ!
      逸三も逸像も逸増も逸雑も逸臓も!
      もう調べなくていいでしょw
      いないでしょ!
      逸三も逸像も逸増も逸雑も逸臓も!
      2023/09/30
    • ひまわりめろんさん
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      ご、ごめんなさい横路だったかも…
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      ご、ごめんなさい横路だったかも…
      2023/09/30
    • 1Q84O1さん
      もう、ええわ!w
      もう、ええわ!w
      2023/09/30
  • クリスティーが描く冒険小説との相性がバッチリだったようで『秘密機関』があまりにも面白く、シリーズの長篇2作目となるこちらも続けて読んでみた。

    まず驚いたのが時はぐーんと進み1940年第二次世界大戦の戦時中という設定。『秘密機関』は第一次世界大戦終結直後の頃で、トミーとタペンスもふたり合わせて45歳と若かった。ところが長篇2作目でいきなりトミーひとりで46歳だという…、ちょっぴりショック。

    1922年1月、クリスティー31歳の頃に長篇『秘密機関』が出版される。1929年に発表された短篇集『おしどり探偵』を挟み、長篇2作目となる本書『NかMか』は、『秘密機関』から19年という長い年月を経て1941年6月、クリスティー50歳の頃に出版された。
    その長い空白期間に、トミーとタペンスもクリスティーとともに年齢を重ねていったというわけだ。加えてそれは、トミーとタペンスとの再会を長年心待ちにしていた読者とも、小説には書かれなかった歳月をともに過ごしてきたことにもなる。
    クリスティーがトミーとタペンスに自分と同じように年齢を重ねさせたのには、きっとふたりには何かしらの特別な思い入れがあったからなんだと思う。それはわざわざ表立って言葉にするようなことではなくて。自分さえわかっていればいい、そんな秘密に彩られたときめきなのかもしれないな。

    さて、『秘密機関』ではまだ結婚していなかったトミーとタペンスも本作ではすっかり仲良し夫婦となっている。
    とはいえ、時代は重苦しい第二次世界大戦の最中。彼らのような中年世代はすでに社会ではお呼びでない様子。当然情報機関からの仕事ももらえず、トミーは仕事を探しつづけ、タペンスは編み物をして時間を潰すしかない。

    そんなある日、やっとトミーに情報局から秘密任務の依頼が入る。
    情報機関員が「NかM」「ソング・スージー」という2つのダイイング・メッセージを残して殺された。〈NとM〉は英国に侵入したナチのスパイで〈N〉は男、〈M〉は女。〈ソング・スージー〉はリーハンプトンという保養地にあるゲストハウス〈無憂荘〉であることまでは判明したという。
    そこでトミーが〈無憂荘〉に滞在し〈NとM〉の正体を探るのだ。
    ただし、このミッションはタペンスにも内密に、トミーひとりで遂行すること。

    トミーはタペンスにスコットランドにある軍需支部の事務仕事だと偽り、何も知らないタペンスは一緒に行きたいと願うものの、彼にそこはたとえ家族であろうと関係者以外は立ち入り禁止なのだと説明されて諦めることに。
    私はこのときのタペンスのキレ方が彼女らしい洒落気もあって好きなのだ。

    “「まあなににしてもさ」と、トミーは弱々しく、「きみには編み物ってものがあるんだから、な?」
    「編み物? 編み物ですって?」
    編みかけのバラクラバ帽をつかむなり、タペンスはそれを床にたたきつけた。
    「カーキ色の毛糸なんて、大っ嫌い。ついでにネイビーブルーの毛糸も、空軍のブルーの毛糸も、どれもみんな嫌い。わたしはね、マゼンタ色のものが編みたいのよ!」
    「なるほど、マゼンタか。勇ましいね。電撃作戦すら連想させるくらいだ」” (P28)

    やっぱりタペンスはこれくらい元気がなくっちゃね。トミーは優しいのでタペンスに嘘をつくことに心が痛んでるんだけど、でもねぇ、ふたりは協力しあってやってきた名コンビなんだから、どちらかが欠けるなんてあり得ないわぁ。

    それでもトミーは寂しそうなタペンスの姿に後ろ髪を引かれながら、ひとりリーハンプトンの保養地にある〈無憂荘〉に向かう。
    メドウズという偽名を使用し滞在することになったトミーは〈無憂荘〉の主人ベレナ夫人に他の滞在者を紹介され、そこで思わぬ人物と再会を果たした……

    私としてはあの若々しく軽やかに飛び回っていたふたりが、身も心もすっかり落ち着いた夫婦になっていたとしたら、それはそれはとてもがっかりだ。けれでも、そんな杞憂は読みはじめてすぐに吹き飛ばされる。彼らの冒険心は何一つ変わっていなかったのだから!
    とくに読みはじめて早々、タペンスのひらめきと行動力が予想もしなかった場面でいきなり発揮されたときには、思わず飲んでたコーヒーを吹き出してしまうほどだった。あー、驚いた。

    あとアルバートね。『秘密機関』ではまだ少年で、ポケットにミステリ小説を突っ込んでいたホテルのボーイだった。彼もタペンスたちとともに冒険をしたものだった。そんなアルバートが今回も登場したのは嬉しかった。ほんとにまあ、ナイスアシストだったよ。

    でも今回はなんといってもタペンスね、タペンスはやっぱりこうでなくっちゃ。情報機関も舌を巻く、あっと驚くことをやってのけるタペンスが私はお気に入りなんだもの。クライマックスにかけて私も見事にタペンスに騙された、あちゃ。

    やっぱりトミーひとりでは盛り上がりにかけるんじゃない?
    タペンスとふたり揃ってこそハラハラドキドキ感も最高潮。だってトミー&タペンスは〈おしどり探偵〉なんですから。

    • 111108さん
      地球っこさん

      確かにあっという間に消化しちゃいそう笑

      地球っこさんのときめいた人ってあの人?かっこいい人にご用心というのはクリスティーあ...
      地球っこさん

      確かにあっという間に消化しちゃいそう笑

      地球っこさんのときめいた人ってあの人?かっこいい人にご用心というのはクリスティーあるあるかもです(^^;)
      2022/11/21
    • 地球っこさん
      111108さん

      「かっこいい人ご用心」あるあるなんですねーー!
      これで益々クリスティーに興味津々です。
      キュン情報ありがとうございまーす...
      111108さん

      「かっこいい人ご用心」あるあるなんですねーー!
      これで益々クリスティーに興味津々です。
      キュン情報ありがとうございまーす。

      『秘密機関』はブラウンでした。
      このお話はN自身ではなくてムニャムニャムニャ……(’-’*)♪
      2022/11/21
    • 111108さん
      地球っこさん

      キュン情報⁈
      これからもお届けしま〜す(^^)
      地球っこさん

      キュン情報⁈
      これからもお届けしま〜す(^^)
      2022/11/21
  • 1941年 原題”N or M?”
    『秘密機関』の若かったトミー&タペンスは時を経て今や中年夫婦。あまり顔を知られていないという理由から戦争のスパイを探る極秘の任務に指名され秘密裡に動き出すことに。

    ちょうど第二次世界大戦が始まった頃。文中からもイギリスとドイツとの緊迫した関係がひしひしと感じられますが、クリスティーはどんな心境だったんでしょうね。

    自国にも敵に協力する人々がいる。
    その状況をグラントに語らせる。
    「そいつ(敵国)は人間の内なるなにか、力への欲望ないし願望といったものに働きかけてくる。彼らが唯々諾々と祖国を裏切ることに同意するのは、金銭のためじゃない。一種の誇大妄想的な自負—この自分が、自分たちだけが、祖国の名を挙げ、世界に覇を唱えることができる、という自負からなのだ。どこの国でも、いつの時代でも、これは変わらない」
    クリスティーは、戦争という異常な状況が生み出すその怖さを冷静に見ていたのかもしれません。

    年齢は重ねても、トミーの実直さ、いざという時の判断力、タペンスの機敏な行動力、聡明さは変わらず。やっぱり最後まで悪者見抜けず、存分に楽しませてもらいました!

  • トミーとタペンスシリーズ第二弾。『秘密機関』の2人が中年になってる事にショックを受けたが、前作同様敢えて危険に身を晒しながらも楽しんでるのが痛快。タペンス格好いい!大人になったアルバートのいい働きぶり。子供達とのやりとりも素敵。

  • トミー&タペンスシリーズ。今回の話し、タペンスやりすぎ~。ドイツ・ヒトラーの進行、それに伴う恐怖。イギリスでもその恐怖が蔓延る。内容はイギリスにドイツのスパイ(NとM)がいるのではないか?それをトミーとタペンスが「無憂荘」に潜入捜査する。怪しい住人が複数。トミーとタペンスが住人から話しを聞き、色々トラップを仕掛ける。住人の幼女誘拐、トミーが拉致されるなどドキドキの展開。そこで犯人予想。Mを完全に当てた!久しぶりにクリスティーに勝利。戦時中ならではの暗い内容だが、トミー&タペンスの温かい夫婦に癒された。

  • トミー&タペンスもの

    まず、トミーとタペンスが40代になっているのに驚き。時の流れの速さを感じます。
    さて、ナチのスパイを探り出す密命を受けたトミーが、タペンスには内緒で指定されたゲストハウスを訪れたところ、“ブレンキンソップ夫人”という偽名で、タペンスが何食わぬ顔で既に滞在しているのにはびっくり。さすがタペンス!この辺の掴みもバッチリですね。
    というわけで、いつも通り協力し合いながら探索に励む2人。年をとっても仲の良さは相変わらずで、ドキドキの冒険サスペンスを堪能させてくれます。
    中盤で、ゲストハウスに滞在中のベティーちゃんという女の子が誘拐されてしまう場面があるのですが、物語の終盤に、その誘拐の真相が解った時は胸が痛みました。本当、戦争は悲しみしか生まないですね。
    因みに、あのアルバート青年も結婚してパブの亭主になっていましたが、トミーの危機を救うため、ちょっぴりですが登場してます。

  • クリスティー作品の有名な主人公といえば、ポワロとミス・マープルになるだろうけど、その二つのシリーズとはまた違った楽しみが見いだせるのがトミー&タペンスシリーズのいいところかなと思います。愛嬌ある夫妻のやりとりやキャラクターもそうだし、事件のスケールや展開もひと味違って面白い。

    この本の事件の舞台となるのは第二次大戦中。ナチスのスパイを秘密裏にとらえるため、半ば引退状態となり暇と退屈を持て余していたトミー&タペンス夫妻が活躍するミステリーとなります。

    ポアロとかミス・マープルは年齢とか本人の性格も相まって、ちょっと落ち着いた印象があるのだけど、トミー&タペンスは中年の年齢になってもまだまだ血気盛んなのが良いし、何より愛らしいなあと思います。特にタペンスが自分だけ蚊帳の外に置かれそうになると見るやいなやの行動力とか、笑ってしまう。

    構成としてはクリスティーらしい緻密さや人物描写、日常描写、会話劇が光る。容疑者たちの書き分け、特徴、個性、そういったものを少しずつ読者に見せ、イメージを形作っていき後半の展開につなげる。前半の伏線というか、雰囲気作りがあるからこその後半の展開は特に面白い。容疑者の子どもの誘拐から始まり、トミーとタペンスに迫る影と危機、そして明かされるスパイの正体。こうした展開、見せ方はクリスティーの真骨頂かな、と思います。

    トミー&タペンスものだとクリスティーのキャリアといっしょに、二人も同様に年を重ねていくのも味を出しています。前作「秘密機関」では、この「NかMか」以上に冒険ものの印象が強かったけど、それも時代の違い、二人の年齢の違いも大きいのかな、と思います。

    作中で二人も話しているけど、戦争に対する考え方がだいぶ変わっているのが興味深いところでもあります。二人が子どもを抱える親になったということもあるだろうし、クリスティー自身も年齢を重ねて、エンタメとしてのミステリーから、考えるところが増えたのかもしれない。そういうところを思いつつ読んでみるのもまた一興のように思います。

  • 前回から思った以上に月日が経っててビックリでした。前は再開して、結婚するのか!ってトコロで終わってたのに、今回はもう子供が成人してる…
    内容はドイツにスパイ行為をしてる人間を見つける任務。前回ほどのハラハラドキドキ感はありませんが、私はこれくらいのドキドキ感が好きです。

  • トミー&タペンス、今度は大物スパイの正体を暴く!

    いつのまにか双子が大人になっていても、トミーとタペンスは相変わらず国際的陰謀に首を突っ込んでいる。とはいえ、冒頭で二人は、自分たちがまだまだ役立ているはずなのに、必要としてくれない社会に不満をこぼしている。舞台は第二次世界大戦のイギリス、1940年の春といえば、なかなかに厳しい状況である。パリが落ちるかもしれない、ロンドンも直接攻撃されるかもしれない。そんな不安の中の話である。サスペンスというよりもアドベンチャー寄りのトミー&タペンスも、どことなく緊迫感を帯びている。それでも、トミーがタペンスにしてやられるところは面白いし、冗談を言いながらもお互いのことを思いやる二人の姿に心がくすぐられる。トミーが踏み込みすぎて生命の危機に陥るのも、単独行動のタペンスが勇気を示して大きな成果を得るのも、このシリーズのお約束。

    舞台となる〈無憂荘〉は高級賄い付き下宿、ゲストハウスということで、管理人も含めここに滞在している人の中に大物スパイ〈NとM〉がいるらしい。この時代の典型的イギリス人とか様々な国の人々のステレオタイプをあまり知らない私でも、どの人の怪しく、その姿は演技ではないかと疑い、誰が祖国を売る卑劣なスパイなのかわからないまま、はやる思いでページをめくった。

    近所の〈密輸団の巣窟〉という建物に住むヘイドック海軍中佐は、パターンでいうと、ちょっとブラウン氏に似ていて、信頼できる人と思っていたのに実は、という展開。トミーに関して、切り抜けた、と油断したところでやられるのは、ちょっと見えていたかも。

    スプロット夫人に関しては、タペンス同様、子ども連れでスパイ活動はないだろう、という前提を崩せずにいたので、銃撃の腕には絶対素人じゃないと引っかかりを覚えたのに活かせなかった。言われてみれば、ぼろぼろの絵本に重要な機密を隠すってありそうな手だ。誘拐犯を撃てた理由は、そちらが本当の母親で、ベティは実の子ではなかったから。タペンスが母親の愛情を強調していて、それこそ証明はないけど諸々のことに対して雄弁な理由づけになると思っていたけど、こういう形で出てくるか。でも、顔が似ているって小説では示しにくい伏線では。それともどこかにそういう描写があったのかな。

    私はこの第二次世界大戦の結末を知ってこの話を読んでいる。コピーライトが1941年とあるので、まだ大戦中に、クリスティーはこの話を発表したということだ。戦争批判ともとれるし、政府への批判と読まれそうなところもあるし、愛国心についての台詞もあるのが、なかなかロックだなと思った。この話が封じられる世界でなくてよかった。

  • クリスティーらしいスパイ・スリラー……
    というのは珍しいんです、案外と。

    いつものスパイ・スリラーでは
    大風呂敷を広げすぎる彼女ですが、
    今回は舞台を「閉じられた環」に限定。

    (一見平凡な下宿≪無憂荘≫ に潜む
     大物スパイは誰だ?というもの)

    おしゃべりの裏のサスペンス、
    うまいこと読者の目をそらすスケープゴートたち、
    持ち味をうまく発揮できました。
    なんでほかのスパイ・スリラーでは
    この手を使わなかったのか、不思議でなりません。

    とにかく会話がうまい。
    「まあまあ、主人がこの話を聞いたらなんと申しますやら」
    「ヒルという姓は三ページにわたっていてよ」
    そして「があがあがちょうのお出ましだ!」

    クリスティーの単純な愛国心はよく批判の種になりますが、
    書かれたのは戦争中ですから、割り引いて考えます。
    敵は日本じゃなくドイツなんであまり複雑な感情は湧かないし。
    (本当はそれじゃいけないんだろうけど……)

    「敵国人のスパイには敬意を払うが、
    祖国を売る裏切り者は軽蔑する」
    というのが、作者の基本的な立場。
    グリーンの『ヒューマン・ファクター』のような境地は
    分からなかっただろうな、と思うのですが、
    意外とそうでもなかったかもしれない……と、
    これはまた別の話。

    そして、本書はトミーとタペンスの
    「四十八歳の抵抗」でもあります。
    (トミーは46歳だけど)
    二人を動かすのは、若い者に負けてたまるか、という対抗心。
    アガサ・ミラー嬢も、もう五十代だしね。実感こもってます。
    しかしアイルランド独立運動への無理解はひどいね。

    成人した二人の子供、デリクとデボラも登場。
    (十二年前にはまだお腹の中にいたはずだけど…)
    この時点では若者に信頼を寄せています。

    旧版は(T)さんの匿名解説。
    夫妻探偵の嚆矢は、クイーンによると
    (と、わざわざ断っている)
    マクドネル・ボトキンのポール・ベックとドーラ・マール。
    30年代のアメリカで夫婦探偵が増えたのは
    ハメット原作の映画「影の男」が大ヒットしたから。
    天才的な名探偵には独身が多いが、
    地道な捜査活動には暖かい家庭が必要なのだろう――。
    簡にして要を得た夫婦探偵の説明。
    『ノース夫妻殺人に会う』とか『黄色いスミレ』とか、
    聞いたこともない本が次々に出てきて面白い。

    新版は渡辺武信さんの解説。
    前半は「トリックではなくプロット重視だからいい」というもの。
    つまりクイーンやカーをトリック派とみなしているわけですが、
    でもクイーンも中期からは物語的要素が強くなるし、
    カーの語り口のうまさは、瀬戸川猛資さんが熱弁していたところ。
    この手の比較は、ちょっと単純すぎるんじゃないでしょうか。
    後半はあらすじ。
    旧版の勝ちです。

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