謎のクィン氏 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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制作 : 嵯峨 静江 
  • 早川書房 (2004年11月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300530

謎のクィン氏 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 大好きな大好きな短編集。
    ミステリと幻想小説の間を揺れ動いている、
    あの独特の空気が好きだ。特に好きなのが
    「海から来た男」「ヘレンの顔」「世界の果て」。
    「ヘレンの顔」はほとんどバカミスな機械トリックと人間の深遠な謎が合致した不思議な佳品。
    このヘレンとは、トロイ戦争のヘレンのことです。
    「海から来た男」と「世界の果て」のテーマは「自殺救済」。
    どちらも大筋は似ているんですが、「世界の果て」は読んでほっとするお話です。
    一方「海から来た男」は、クリスティー得意の大甘メロドラマと、そんな現世の営みを遠いものとしてしか認識できないサタースウェイト氏の優しいあきらめが入り交じっていて、私は嬉しいんだか悲しいんだか、わけの分からない感情が無性に押し出てきてとまらなくなってしまいます。もしかしたらクリスティーの短編で一番好きかもしれない。
    新訳の嵯峨静江さんは題も大胆に変えていますね。ところで、超人が示唆して俗人が解くこのスタイル、
    意外と三毛猫ホームズに似ているような気がしませんか?

    旧版は(M)さんの匿名解説。(M)さんは相変らず手堅くまとめている。
    新版は川出正樹さん。丁寧な解説らしい解説ですし、『真夏の夜の夢』から『ブギーポップは笑わない』までを引用する大風呂敷も買いたい。
    新版の勝ちです。

  • クリスティーブーム、
    次なる作品は、短編の中にしか登場しない、
    クィン氏を扱ったもの。

    読むにつれ、どんどんクィン氏の登場の仕方や
    振る舞いなどが
    超常現象に近づいていく!

    一般人のサタースウェイト氏のまわりで、
    殺人が発生し過ぎる!
    (そう言うとミス・マープルもそうかしらん)

    「ルーレット係の魂」が、良かったな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    窓にうつる幽霊の影が目撃したもの。事件当日にメイドが大空に見た不吉な徴候。カジノのルーレット係が見せた奇怪な振る舞い。一枚の絵が語る自殺の真相―事件の陰にドラマあり。神秘の探偵ハーリ・クィン氏と、人生の観察者サタースウェイト氏の名コンビ登場!幻想味あふれる珠玉の連作短篇12篇、新訳決定版。

    ハーリ・クイン氏はこの世のものではない!?
    あとがき(解説?)を見る前に、不思議な感じはしていたのですがやっぱりそうなのか、と...

    この本の主役とも言えるサタースウェイト氏が、初めは傍観者だったのにだんだん自信をもって行動したり発言したりするようになる経緯がおもしろかったです。

    クイン氏に会うと嬉しそうな姿を見せる彼が、とてもかわいく見えたり^^

    「時間がたてば真実が見えてくる」とのクイン氏の言葉から、スリーピングマーダーものかなと思いきや、後編になるとその場で起こる殺人も出てきます。

    クリスティと言う人の才能に、改めて感服。

  • 何よりもかによりも、
    サタースウェイト氏の裕福な暮らしぶりが羨ましい\(^o^)/
    周りの方々も優雅で、
    幸せな時代に見える…

  • 久々に本棚奥からひっぱり出してきて何度目かわからない再再読。
    昔からアガサクリスティの中で1,2を争うぐらい気に入っていて、何度も読んでるわりによく無くすので3回ぐらい買いなおした気がします。

    内容的には安楽椅子探偵…とはちょっと違うけども色々なところを動いて回る感じでもない。
    またミステリのようだけれどもファンタジーのようでもありと言う雰囲気が全面に漂っている。

    突然現れる神秘的な人物ハーリ・クィン氏は、主人公たちの話を聞き、主人公たちから話を聞き、それを組み立て事実を話すが、決して答えを与えず主人公たちに答えを導き出させて、そして答えが出ると魔術のように消えて行く。
    そんな不思議な感じが個人的に気に入った部分なのかなと思う。

    正直、主人公サタースウェイト氏が人間観察好きの決してハンサムでも若くもない62歳のおじいちゃんと言うのも気に入っています。ものすごく。

  • 再読だか。再々読だか。。

    以前は良さがよくわかりませんでした
    ポワロほど派手ではなく、マープルほど
    緩急自在な訳でもなく。
    そもそも探偵役とワトソン役がぼやけて
    あいまいで

    しかしこの霧の中のようなファジィな感じが
    今は心地よいことに気づきました

    サタースウェイト氏も素敵なところもある反面
    厭らしいところももちあわせていて、
    クィン氏も優しいのかと安心していれば
    牙を見せつけてくるような怖さもあり
    炎がゆらめくと影が変わるような
    夢幻の暗い世界観です

    クリスティの小説に出てくる人物は
    たいてい類型的です。
    でもこの二人は例外です
    ミステリというより雰囲気を楽しむ短篇集

  • 140409-140622

  • 短編集で12の作品が収められています。
    人生の傍観者サタースウェイト氏が主人公といっていいのかなあ?
    謎解きのミステリーという訳ではないですし、名探偵が出てくる訳でもない。
    ただサタースウェイト氏とクィン氏が揃うと事実の中から真実が浮かんで
    くるという不思議な雰囲気をもった本です。

  • アガサ・クリスティー が生んだ「推理をしない名探偵」ハリー・クイン登場。ハリー・クインは(たぶん人間ではない)「死者の代理人・恋人たちを救う男」なので、推理しなくても最初から全てを知っている。そこでハリー・クインは、「他人の人生の傍観者」サタースウェイト老人にヒントや霊感を与え、彼に事件を解決させる。

    事件が解決し、ハッピーエンドで終わっても、ハリー・クインは悲しげに去ってゆくことが多い。その理由は、

    1.死んだ男が、生きている妻・恋人を救うため、「死者の代理人」ハリー・クインに仕事を依頼する。ハッピーエンドで終わっても、死んだ男の愛は、生きている妻・恋人に届かない。届いても、死んだ男が生き返ることはない。

    2.ハリー・クインには「死ぬと決まっている人間の運命」を変える力はない。最悪の場合、「死ぬと決まっている人間」に「幸せな夢」を見せてから死なせることがある。『道化師の小径』では、サタースウェイトを使わず、ハリー・クイン本人が「幸せな夢」を見せる仕事をした。

    ……こういう宿命を背負うハリー・クインは事件解決後、「その先に何もない断崖の端を目指して去ってゆく」、あるいは「いつの間にか消える」ことが多い。ハリー・クインという人名には「道化役者」という意味があり、普通の人間には一瞬、彼の姿が「仮装した道化役者」に見えることがある。

    本の題名通りハリー・クインは「謎の探偵」。なお、読んだ『謎のクイン氏』は石田英士先生が翻訳した古い本。

  • 傍観者、または観客であったサタースウェイト氏が、クィン氏と出会うことで、役者になることができた。氏にとってそれは新鮮な喜びだった。故に、氏はクィン氏と再会する度に思春期の若者のような無邪気な喜びを露わにした。けれど、思春期はいつしか終わる。
    それは、当人にとっては、絶望的であるかもしれない変化。
    氏が10代の若さを持っていれば、糧にすることもできるだろうが、彼は既に円熟していた。
    傍観者であるが故に初でもあったサタースウェイト氏にとって、この体験は残酷だった。

    これで続編がなければ、私も凹むとこだったけど、よかったよ!
    早速図書館行ってきます。

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