アーサー・ミラー〈1〉セールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151400018

感想・レビュー・書評

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  • 舞台を観たことをきっかけに、本気で読みました。

    歳を重ねたせいか、ウィリーも、リンダも、ビフもハッビーも、なんだかまずいなあと思いながら読みました。ウィリー→ハッピー→リンダ→ビフの順にまずい…
    でも、若い頃はそのまずさに気づかなかったし、この話の深さがわからなかった。

    誰が悪いわけでもなく、現代にも通じる…
    セールスは、資本主義に必要だが、人として生きることをやめさせてしまう…
    そんな風に感じないで、セールスが天職の人もいるのでしょうが…

    追記
    ウィリーは本当はどうしたかったのか…
    リンダがビルの話に乗らなかったことは責められないけれど…
    こういう家族は今もあるでしょう。
    ところで、読む前は「サラリーマン」の話と思っていたふしがあり…バカです…

  • 冬木先生のお勧め本です。

    ひとの死に対して、なぜという感情は常に付きまとうものだと思う。
    なぜその人は死んだのか、という疑問なら簡単に解決できるけど。
    癌だったから。事故にあったから。自殺したから。

    でも、なぜその人が死なねばならなかったのか。なら話は少し変わる。
    なぜ、よりにもよってあの人が癌にかからなければならなかった。
    なぜ、よりにもよってあの人が事故にあわねばならなかった。
    なぜ、よりにもよってあの人が自殺しなきゃならなかった。
    なぜ、いったい何がそこまであの人を追い込んだ。

    主人公のウィリーを殺したのは肥大した自意識と現実との落差だったけど。
    なぜ途中で誰も気づかなかったのか。
    息子が、ウィリーが死ぬ直前に気づいたように気づくことだってできたはずなのに。
    ウィリーの葬式の後、妻は何度も繰り返す。
    「あたし、どうしても泣けないの。私にはわからない。なぜあんなことなさったの?」

    陰鬱な気持ちで本を閉じたら、そのとたんに知人が亡くなったという知らせがあった。
    妻の気持ちがとてもよくわかった。
    なぜ、と思っても思っても答えが返ってくることはない。
    だから泣けないんだ。

  • 段々ときつくなっていく…。正直、ウィリーを過去の栄光にしがみつく不甲斐ない男だと思ってしまった。現実にいたらそれこそ厄介なおじさんってかんじ。
    でもこうやって作品で昇華されると何ともやるせない。

    舞台上でみたいと思った。

  • 40代以上の勤め人には、文章が痛い程刺さる。
    特に混沌としたこの時代に相応しい内容ではないか。

  • 第二次世界大戦後のアメリカが舞台。60代なかばの父親がセールスマンのしごとを首になり、自分の息子に夢を全て託すも、息子は定食が定まらず女遊びにかまけている有様。成功した兄や幼かった息子の輝かしい未来を夢見ていた時代を幻覚し、独り言が耐えない。

    最後、自分の死の保険金を息子にやれば、自分の成功した息子という夢を潰さなくてすむと考え自殺する。

    辛いので読み返せない。胃が痛かった…。

    この本はタタール人の砂漠の感想で触れていたのがきっかけ。
    戯曲の台本なので小説よりも描写がすくない。そこは物足りない。

  • -

  • ある男の敗残の人生を酷く赤裸々に映した傑作戯曲(名作!)。読者は(あるいはその舞台の上に観客は)哀れで惨めな蝕まれたような主人公に、またはその息子たちに自分の似姿を見つけることだろう。苦々しい思いがこみ上げてくるのは突きつけられた現実(人生の無惨)を生々しく呼び起こさせるから、ごまかしを払って敗北の真実(ほんとう)を照らしだすから。

  • 初読

    うう。私の弱いやつ。
    「何者」にもなれなかった男達の物語。
    中年にこれはあかん、しみるわ。
    セールスマンじゃなくてもね。

    父と子、この境の曖昧さ。
    うん…凄く良く分かる。
    ビフとハッピーが分かつ感じもね。
    家族ってね…。そう、いい時もあったんだよ。

    でも、ほんの僅かに、ビフに希望を感じる読後感。

  • 2017/07/01

    舞台調で書かれた文章に、年老いた父親の幻覚が奇妙にマッチしていた。

  • 理想ばかり追い求め、現実をおざなりにしてきた家族の悲劇。
    後半になるにつれ息が詰まるようで、それなのにページをめくる手が止められなかった。
    すこし「下流の宴」に通じるところがあるかな、と思う。

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