身代りの樹 (ハヤカワ・ミステリ文庫 レ 4-1)

  • 早川書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151700019

感想・レビュー・書評

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  • シングル・マザーの人気女流作家ベネット。馴染の薄い郊外に大きな家を買い、引っ越しをした矢先に、愛する息子ジェームスが急死してしまう。心の病を抱え、診療を受けるためにスペインから訪れていた彼女の母モプサは、悲嘆にくれる娘の元へ、「旅行中の面倒を知人から頼まれた」といって、ジェイと名乗る男の子を連れてくる。

    ジェイが、新聞で行方不明と騒がれだしたジェイソンとわかり、母モプサの誘拐が表沙汰にならないように、家族のもとへ返そうと考えるベネットだったが、気がつくと自分勝手な理屈をつけて、その時を先延ばしにし続けていた…

    ストーリーは、ベネットの揺れる心理を追う面とは別に、ジェイソン失踪を発端に巻き起こる家族や周辺の人々のごたごた、事件とは無関係の大胆な詐欺の計画という2つの劇も同時進行。最初はそれぞれ、全く違う舞台で展開されていた劇が、次第にリンクして、最後の思いがけないエンディングへと終結していきます。徐々にスピード感と緊張感を増していく終盤は、かなりスリリング。

    リンクを見せた3つの劇、最後にはそれぞれの結末が。ひとつは、サスペンスの常識を破った終りを見せて、驚くと同時に、よくぞ!と胸の中で拍手をしてしまった私です。レンデル作品の中で、かなり気に入っている1冊。

  • 幼子が死んでしまうという悲劇と、それと同時に登場するどうしようもない母親に読み進められなかった。


    1984発表
    1995.5.31発行 図書館

  • これはもはやミステリではなく普通小説だろう。
    しかし構成は巧みである。狂える母、モブサを設定した所でこの小説は勝ったも同然である。この母の存在があったからこそ、到底起こりえない出来事がごく自然に流れとして滑り込んでくる。
    そこから揺れ動く人々の心模様。そしてテレンス・ウォンドという小技が実に最後の最後で、絶妙な形で効いてくる。
    心情的にはこの小心者に勝利の美酒を与えたかったのだが。

    しかし珍しく実に爽やかな読後感だった。

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