スーパー・エージェント (ハヤカワ・ミステリ文庫 コ 6-5)

  • 早川書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151709555

感想・レビュー・書評

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  •  新作の合間に古い未読の作品を読んでいる。本書もまた、20年以上も前に翻訳されていたのに、その時にはぼくは存在すら気にしていなかったシリーズ作品だ。今ではハーラン・コーベンは要チェック作家であり、彼の翻訳作品は過去に遡って全作読みたいと思っている。それほど気に入っているのが何なのかは、古い未読作品を手に取るたびによくわかる。

     文章。そう、語り口なのだ。本シリーズは、少しマイルド気味な語り口でありながらハードボイルドである。ハードボイルドの系譜を直系で受け継いでいるかと言われれば、実は一人称ではないこと、探偵というよりはプロスポーツのエージェントとしてたまたま担当スポーツ選手の関わる事件に出くわし、事件に関わってゆくという、いわば巻き込まれ型の主人公であることを思えば、やはり直系というよりは亜流と言われても仕方のない準ハードボイルド・シリーズであるのかもしれない。

     しかし、主人公の持つ騎士道精神、彼の盟友であり片腕とも言えるウィンという冷血で優雅な殺し屋の存在は、やはりネオ・ハードボイルドの世界では、お定まりの構図と言っていいのかもしれない。何よりも、事件に向き合い、敢えて関わろうとする主人公マイロン・ボライターの態度、生きる姿勢、洞察力等々は、ハードボイルドの直系と言っても過言ではないほどその騎士道精神に即したものであるように思う。

     さらにハードボイルドというジャンルが描く、一見、リッチで平穏と思われる世界に蠢く悪意や殺意や怨恨の深さ、等々は本シリーズでも正当に語り継がれる人間の弱さ、それがもたらす悲劇とも言える。

     本書では女子バスケットボール選手ブレンダに託す元バスケ選手主人公のマイロンの夢に始まり、それが意外な方向へそれてゆき、夢ではなく過酷でリアルな悲劇へと傾斜してゆく物語の悲しさのようなものが、マイロンの明るく強がりで優しい生き様に対比する。明確な構図なので読んでいながらマイロンへの協調感と言ったら半端なものではない。いつもながら。

     本シリーズのぼくにとっての未読翻訳作品はあと数作を数える。その後の翻訳の情報は今のところないようだ。さらに後日談である『WIN』が出版されたところで、本編に遡っての翻訳はあまり見込みがないだろう。シリーズ外新作でも安定した人気を見せているコーベン作品。是非、全作の翻訳が実現されることを心より願いたい。

  • 万能スポーツ・エージェントのマイロンでもボディガードはお断わりだ。が、予想外にも女子バスケ界の期待の新星ブレンダを脅迫者から守ると請け負ってしまった。一週間前、彼女の父親が失踪した直後から執拗な脅迫電話に悩まされているという。父親の行方を追う一方、マイロンは脅迫が20年前に姿を消したきりのブレンダの母親となにか関係があると確信するが…揺れる恋のなか、マイロンが見えない敵に敢然と挑む第5弾。

    やはり、ウィンとのコンビネーションがないと、このシリーズは盛り上がらない。

  • 図書館で。
    元からあまり好きとは言えない主人公だったけど、今回でさらに評価が下がったなぁ。初めてジェシカ以外に女性に惹かれたとか巻末のあらすじにありましたが、前作のゴルファーにも惹かれてましたよね?実際。
    後、毎回出てくるビックシンディの容姿に関するからかいというか、ワルグチというか、そういうのもあまり読んでいて気分の良いものではないなぁ。ま、この男が下種なだけと言えばそうなんだと思いますが。

    と言う訳で今回は狙われた女性バスケ選手の話。ボディガードと父親の行方を捜すなんて業務は、ぶっちゃけエージェントの仕事じゃないよね… 確かに彼が藪をつついて蛇を出して、結果はヒサンな状況になった訳ですが。でもなんか彼のヒーロー願望みたいな所というか自分は間違ったことをしていないというような正義感のようなところは鼻に付きます。
    ジェシカとのことも、いつまでも傷ついた悲劇のヒロインポジにいるなよって個人的には思いますけどね。

  • マイロンの考え方がいつも理解できない。内心、考え方に首をかしげながら読んでる。

  • 少しずつ崩壊していくマイロン、この先どうなってしまうんやろ。

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