解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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制作 : 越前敏弥 
  • 早川書房 (2012年12月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151718540

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 確かに評判になるだけあると思う。読んでる時はすごく面白くて先が気になってどんどん捲った。このトーンも好み。でも読了した時にそこはかとなく物足りなさ……小説ってむずかしい。

  • 評判が良いのも納得のミステリで、スティーヴ・ハミルトンの才気を感じる秀作。或る事件から失語症となった少年が、図らずも金庫破りとして犯罪グループの一員となり、さまざまな経験を通して大人へと成長していくさまを鮮やかに描き出している。内的な台詞以外は少年が一切言葉を発しないという難しい設定でありながら、違和感なく物語を展開させる技倆は相当なものだ。或る障害を被ることで、芸術などの分野で特化した能力が生まれるという「天才」の創出は下手をすれば現実味の乏しい超人的なイメージへと陥るが、犯罪に加担する解錠師という特異な生業を与えることでヒーロー像を修正し、己の資質を闇の社会でしか活かせないジレンマを抱えた少年の孤独さを強く浮き立たせている。絵画を通してコミュニケーションを図る恋人とのプラトニックなやりとりも物語に深みを与えており、読後感も爽やかだ。特筆すべきは、やはり金庫破りのシーンで、カネや名誉のためではなく、不可能に挑戦する冒険心をストイックに表現している。

  • 過去と現在を行ったり来たりする手法で話は進められていくのですが、どちらの展開にも目が離せないので、一気に読んでしまいました!
    アメリアとの遣り取りがもうね…。ああ、絵って素晴らしいなとか!
    ちょっと最後があっさりしすぎな気がしましたが、
    最後のアメリアが送って来た漫画つうのがもう、グッと来ました!いろいろ伏線貼ってたんだなあとか。

  • 少し必然性が弱いところ(いわゆるツッコミどころ、というやつ)がいくつかあって、超一流のミステリとは言い難い気はしました。
    小説よりは、映画に向いている物語なのかなと思います。鍵をあけるときの緊張感なんかは映像の方が伝わりやすそう。

    これは単純に好みの問題ですが、アメリアが、女の私には全然魅力的に思えなくて、イライラしました。
    話せない、話したくない、と言っている主人公に、自分の都合だけで「話せ」と超シツコイ。
    男の趣味は悪いし(最初のボーイフレンドが…)、短気だし、美人っていうところしか良いところがない。まあ、男性にはそれで十分なのかもしれないけれど。

    あと、一流と言われている白のポケベルの犯罪グループが、最初から最後まで全然一流に見えず、メンバー全員、まったく魅力的でもなかったところが非常に残念でした。彼らのキャラと手口がもっと素敵で巧妙だったら、全然印象が違ってたかも。

    彼らに限らず、全般的に、キャラクター達の魅力が薄い。伯父さんとゴーストがかろうじて「いいな」と思うキャラだったのに、2人とも適当な理由で無理やり退場でガッカリでした。

    なあんて、いろいろとケチをつけてしまったけれど、読んでいる間はけっこう楽しんでました。

  • 全体的に起伏は低めで、淡々と主人公が悪い方向に流れていくさまを眺めるような話。アメリアのためアメリアのためといいつつも結局その場では何も行動に出ず、トラウマを差し引いてもちょっとどうなのだろうというくらい何もしない。10代だし、しかたないのかもしれないけれど、声が出ないというのもあるかもしれないけど、それにしたってもうすこしうまくできたような気がして、正直もやもやします。アメリアの気の長さに感服して、主人公よりそっちに敬意を表したいです。

  • 終幕はイマイチだが、まず読ませる青春もの。

  • なかなか、複雑な構成をしているけど、ぐいぐい読ませる本です。最後が多少あっけなかった感じはしますが、いい感じです。

  • 静かで、しっとりとした文章で物語は流れていく。


    幼い頃のトラウマで喋ることが出来なくなった男が
    現在刑務所で服役中であることがわかる。
    彼がなぜ刑務所に入ることになったのか、なぜ解錠師・
    金庫破り(Lock Artist)になったのかが並行して語られていく。

    錠に魅せられていく心象や、裏側の世界に入らず踏みとどまる
    ことができたであろう後悔が、彼女への想いと共に直接語られ、
    時には彼と彼女が書いた絵を描写することで物語は語られていく。

    並行して語られていた二つの物語が、彼女から刑務所にいる彼へ
    の手紙で一つに集約していき、過去の物語が現在を追い越し
    未来を見つめる視点に変わる。

    どうしようもない過去の体験でトラウマを抱え、流されるように
    犯罪に手を染めてきた彼の人生だが、一筋の光を感じさせる
    ほのかに暖かい読後感です。

  • 解錠を得意とする少年が、犯罪に巻き込まれていく、犯罪小説でもあり、青春小説。

    マイクルが解錠師になるまでの過程と、解錠師になってから服役に至るまでの話が交互に展開される様は、読んでいて大変だが、その繋がりを察するのが面白い。

    アメリアと漫画を通して会話するシーン、ポケベルを使って仕事に呼び出される、など設定がよく出来ていると思う。
    映画化されたら面白そう。

  • いささかまどろっこしい感じがした。
    主人公の輪郭がつかみきれないまま、終わってしまった。

  • 金庫破りの天才少年の物語。
    過去と現在が交互に語られる。
    少しずつ明らかにされていく少年の過去の出来事。
    そして愛の物語。

  • 回想シーンがたびたび入る事で 現在の出来事が浮き彫りになり 効果をアップさせている・・・とは思えなかった。

    どうしてこのタイミングでこのシーン?

    って気になり出したら 『またか』って感じてしまう。

    『言葉の話せない金庫破り少年の心の中』を知る事ができたのが唯一の収穫。

    翻訳物選びって難しいです。

  • 刑務所に入って10年を迎える20代の解錠師(金庫破り)の回想から始まる物語。なかなか読ませる内容だった。
    ただ、回想の部分が二重になっており、「少年時代から解錠師になるまで」と「解錠師になってから」の二つの回想が交互に語られており、やや解りにくい部分もあった。

    主人公マイクルは本編を通じて一言も話さない(もちろん心の中の描写はある)が、この辺りの着眼点は新鮮だった。子供のときの「ある事件」をキッカケに話す事を止めた(出来なくなった)主人公の青春物語でもある。

    恋人アメリアと漫画を描いて会話するシーンは、青春ドラマのような雰囲気。マイクルを応援したくなる描写だ。対象的に金庫破りのシーンは、緊迫感が満載。主人公マイクルの心の光と闇をよく描いてる。色違いのテープを貼った5個のポケベルなど、小物の使い方も洒落ていて好感。

    後半はスピード感が増し一気に読めてしまうけど、最期まで過去の二重の回想になっているため、ノリ切れない感じもある。
    いよいよ、これからどうなる?って所で、別な回想の章に行くために、トップスピードに乗ったところでギアを落とすような・・・。

    子供の時の言葉を無くすキッカケとなった事件とは何か?どのようにして解錠師になったのか?などの謎を描きながら物語は佳境へ・・・。
    主人公が子供の頃に住んでた家の壁に絵を描きながら、アメリアに過去の事件を説明するシーンは切ない・・・。翻訳モノにしては珍しく、ウルッときそうになったな。

    構成が自分には合わないから☆3個にしたけど、読んで損の無い内容。

    青春ハードボイルドと言うような小説。

    背表紙~
    八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に・・・・・・非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA章最優秀長編賞、CWA章スティール・ダガー章など世界のミステリ賞を獲得した話題作。

    作中、「釣り帽子」なる言葉が何度か出てくるんだが(わりと重要な役どころの人物のあだ名)、釣り帽子って何なのか、さっぱりイメージ出来なかった。釣り用の帽子って事なのかな?この辺りは、分かりやすく記述してほしいと訳者に要望(笑)

    ラストは未来に希望の持てるラストで良かった。
    心ならずも解錠師になったマイクルを応援したくなるラスト。
    けっこう厚い本書だけど、オススメできる一冊。

  • ある事件がきっかけで喋ることができなくなった主人公。しかし彼には絵を描くことと錠開けの才能があった。
    二つの時を行ったり来たりする構成で、はじめはそんなでもなかったが、後半加速度的に面白くなった。主人公が絵で少女と会話する場面は、映像が目に浮かぶようだった。

  • 海外小説に過去何度か挫折した経験が
    あるので。

    どうかなー?
    最後まで読み進められるかな…っと思いましたが。

    面白かったです。


    なぜ、マイクルは話せないのか。
    なぜ、少年が解錠師になったのか。

    過去を振り返る形で淡々と物語が
    すすみます。

  • いやぁ、おもしろかったよね。
    テンポがよくて読みやすいし、アメリア可愛いし、それはまぁええけど。
    この長さの海外小説読むの初めてなんすよね、読みにくさに耐え切れなくなることが数回あってね。まあ300ページまでのはいけるんやけど、それ以上になると……みたいなね。

    そんな僕が全部読める、いい小説です。

  • クライムサスペンスが主題であるが爽やかな青春小説ともとれる。とにかく主人公マイクが格好イイ。

    主人公マイクがどうして犯罪者になったのか……。
    どうして失語症になったのか……。
    幼少期に一体何が起こったのか。

    昔と現在を交互に差し挟みながらテンポよく進んでいきこうした謎が少しずつ解けていく様や緊迫した中での解錠シーンが爽快…。人によっては読み難い仕組みかも。

    金庫破りの犯罪少年でアンチ・ヒーローでありながら何となく応援したくなる。是非ともティーンエイジャーにお勧めしたい。

  • 作中、マイクルは何度も選択に直面している。
    より安全な方を選べば、刑務所に入るような人生も歩まなかっただろうが、彼はいつでもより悪い方の選択をしている(と、彼自身が回想している)。
    若く、他とは違う存在で、特別な才能を持っていて、エゴイストな主人公。若いゆえの危うさが魅力的。

    それにしても、伯父さんは無事なのだろうか。
    恩を仇で返す結果となったのは否めない、それがとても残念。

  • 過去の経験から失語症になってしまったマイクルは、ふとしたきっかけから錠を開けることに惹かれ、それが特技になってしまい、変な特技を持ったことから、次々とトラブルに巻き込まれていく。
    そっちを選択したら余計泥沼に嵌りそうというのが判りそうなものなのに、間違った方を選んでしまうことが多いのは、巻き込まれ型の主人公にありがちなところかな?
    大切な人を守るため犯罪に手を染めながら、何度も引き返すかどうか悩む主人公の姿には好感を持ちました。
    時間軸が交互に進み、中盤以降、時間軸が接近してからは展開が早くさくさくと読めた。

  • 長編推理小説です!見た目は厚いですが、抵抗感なく読めてしまう作品。主人公がタイトル通り、ピッキングの天才なのですがどのシーンもハラハラドキドキします!サスペンス・ミステリー洋画好きな方はぜひ読んでみて下さい!!

    http://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=255586

  • 主人公に魅力がある。 無駄がなくリアルがあった。口がきけない主人公に、ふいに憧れる瞬間があった。

  • 8歳で口がきけなくなり,17歳で錠破りとなり,19歳で刑務所へいくことになった主人公が,10年後の29歳でまもなく出所というときに,自分のこしかたを振り返る構成になっている。言い方は適切ではないが,主人公以上の悪党が沢山出てくること,子供が誘拐されて無理矢理,反政府軍の兵士にされるアフリカとある国のこと,そして金庫を開けるように強要された女子店員が,結局開けられなくて3人射殺された八王子の昔の事件のこと,等が想起されて,結構読むのが辛い。

    再読。ロジャーホッブズ「ゴーストマン時限紙幣」の違和感が氷解する。あちらは二番煎じだ。初めと終わりに服役中の現在を持ってきて,話の主題は逮捕された10年前の頃,そこに幼少時の事,聾唖者になったころの事をサンドイッチにする。鍵を開ける場面そのものがサスペンスフルで,恐怖と緊張の中で人間のとる行動の描写に長けていて,さすがこのミス1位になる出来栄え。八王子のスーパーナンペイを思い出させる場面はいつも辛い。服役後のマイクルとアメリアの将来が書かれないが,それが正解。ラスコーリニコフとソーニャがそうだったように。

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