現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ケ 5-4 現代短篇の名手たち 4)
- 早川書房 (2009年9月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151782541
感想・レビュー・書評
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なんと言っても「ステッピン・アウト、一九六八年の夏」が素晴らしい、素晴らしいほどに酷い。悪ガキ三人組が女を買いに出かける、ちょっとしたぼんくらな青春物語のはずが誰もが予想しなかった方向に転がり落ちていく様が圧巻。なんでこうなった。
こんなどうしようもない話がある一方でハリケーンによる高潮被害で壊滅したテキサスの街を舞台にその運命の日を群像劇風に描き、ラストではどこかしんみりとした不思議な余韻を残していく「審判の日」や自分の母親の思い出をストレートに書いたエッセイ「オリータ、思いでのかけら」などもあって侮れない。
あとやたらと下品と言われる事が多いランズデールだけど、「ババ・ホ・テップ」(映画『プレスリーVSミイラ男』の原作)を読んでようやくそれが間違ってないことを実感した。やあほんと下品だわ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編だからか展開が早いけどページ数以上のボリューム感があった。ランズデールは長編しか読んでなかったけど、短編もいいなあ。最初の3編は印象に残らなかったけど、そこから先は怒濤のクオリティで非常に楽しめた。アメリカ文学はよくわからないけど、ランズデールってマーク・トウェインの系譜にあるのかもなあ。
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肥溜め通り過ぎたら綺麗な海が広がってたみたい 審判の日の最後がとてもうつくしかった
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一見、飛んでいるとみせかけてきっちりとした話を作ってくる作家。最初は、乱暴で品のない言葉使いばかりで、これはどうもあまり好みに合わないなと思って、読むのを諦めかけたが、ハロルド・メイバーンのピアノみたいにがつがつとした語りで、結局、最後まで楽しく読み通せた。
あとがきの通り、「審判の日」が傑作。 -
はちゃめちゃでやんちゃでイカれてぶっ飛んでいる。ヴコウスキー、トム・ジョーンズ、エルロイあたりを彷彿とさせるが、このトンデモナイ着想や文章の巧さは彼らをも凌駕しているかもしれない。ランズデールを知ったことは大いなる収穫であり、人生の楽しみがひとつ増えたとすらいえる。いや~すげえわ。これ。自信をもっておすすめできます(笑)。
補足:本短篇集の中では「審判の日」が掛け値なしによい。マジなのかチャラけてるのか判然としない~であればこそ、腹を抱えて笑える~他の短編に混じって、これは紛れもない傑作だ。「このまま映画になるなぁ」と思ってたら、解説によれば「リドリー・スコットが息子の監督デビューを見込んで、すでに映画化権を取得している」とのこと。こっちも早く観てみたいね。息子と言わず、リドリー・スコットが自分でつくっちゃえばいいのに。 -
下品でバカでブラックで……、やりたい放題、B級テイスト満載な短篇集。型破りな設定、アレな登場人物たち、どれもがたまらなく愛おしい。
「ステッピン・アウト」、「草刈り機を持つ男」、「恐竜ボブのディズニーランド巡り」、「ゴジラの十二段階矯正プログラム」がお気に入り。 -
図書館で借りた。ギリギリ1月31日中に読めた。
初めて読んだが、馬鹿馬鹿しい話あり、ホラーあり、パロディーありと読んだ後で改めて面白い短編集だったなと感じた。
これは、手元に置いておいても良いかもしれない。ファンになりました。 -
アメリカの巨匠、ランズデールの12の掌編を収録した短編集。
ホラーテイストやミステリテイスト、エンタメテイストなど、幅広く、そして面白い。
ユーモアの聞いたやや下品な比喩表現がいい味を出している物語である。