ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 17-1)
- 早川書房 (2013年8月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151799518
感想・レビュー・書評
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トマス・H・クックは、一時期はまってよく読んでいた。『◯◯の記憶』っていうタイトルがやたら多かったのを覚えている。今からもう20年も前のことだ。
すでに起こった事件の真相を、関係者の記憶から事実だけを拾い集め、繋ぎ合わせることによって明らかにする。当時はそれがとても面白くて面白くてたまらなかった。今回読んだこの『ローラ・フェイとの最後の会話』もそんな感じだ。
歴史学者のルークは、講演のためにセントルイスを訪れた。その会場で再会した意外な人物、ローラ・フェイ・ギルロイ。彼女はルークの父親が死に至る原因になったとされていた女性だ。この約20年振りの再会は、もちろん偶然なんかじゃない。
なぜ今になって彼女がルークの元を訪れたのか。
ルークは不審に思いながらも、ホテルのレストランで酒を飲みながら昔話をする。
彼女の目的は一体何なのか。
ルークにはそれが分からないし、読んでいるわたしはもっと分からないまま、ずっと二人の会話に付き合わされる羽目になる。なんせこの三人(ルークとローラ•フェイとわたし)の中では、わたしが圧倒的に不利な状況だ。だって一番手持ちのカードが少ないんだから。
まさかこのままこのお店で、二人の会話のみでストーリーが進むんじゃなかろうかと嫌な予感がする。そして、その予感は的中してしまったのだけど、でも決して「嫌な」予感ではなかった。
結果的には面白かったからだ。
思わせぶりなローラ・フェイには何度も愛想を尽かしそうになったが、お終いまで読んでみれば、彼女がああいった方法で会話を続けるしかなかったことが分かる。
この世で最も絶望的なのは天災だと思う。
でも一番恐ろしいものは、人間の心から生まれる。
それは元々は全く違うものだったのに、もしかしたら美しいものだったかもしれないのに、いつの間にか変わってしまうこともある。わたしたちのこの心から生まれ、やがて手に負えない魔物になってしまう。
救いのある結末で本当によかった。
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母に勧められて読んだ本。回想シーンが何回も出てくるにもかかわらず、混乱することなく読むことができた。最後に主人公の偏った見方が覆されるシーンの描き方が見事だと思った。
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うーん。二人の会話だけで謎が明かされていくところはいいのだけれど。。。
すっきりしない。余韻漂うという感じでもない。
人の曖昧さ、思い込みがそのまま放り出されている様な感じ。