ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 17-1)
- 早川書房 (2013年8月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151799518
感想・レビュー・書評
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会話しながら過去や現在をいったりきたりして、ローラフェイと主人公の間の誤解やわだかまりを解いていく不思議な話。見事な作品だと思った。
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以前は読む本といえば海外ミステリーばかりだったのに、年をとるとともにカタカナの名前が覚えづらくなり(笑)、ほぼ日本の作品ばかりに。これは登場人物が少なくて、そんな私でも大丈夫。
アラバマの田舎町を出て20年、冴えない歴史学者ルークは、ある日の講演会場で同郷のローラ・フェイから声をかけられる。彼女はかつてルークの父親の愛人と噂され、ルークの家庭に悲劇をもたらした張本人。嫉妬に駆られた彼女の夫ウディが、ルークの父親を銃殺したうえ、自殺したのだから。嫌な予感を抱きつつもしばし彼女と語らうことに。
無感覚もひとつの感情。心の芯まで麻痺していたルークが感情を取り戻す過程を見守っている気分です。ルークとローラ・フェイの会話と、その間のルークの回想が描かれているだけなのに、すべてのシーンが想像できます。
父親の、母親の、人生最後で最大の希望は何だったのか。そしてそれを知ったルーク自身の希望が形になるとき。
派手さはまったくないのに、ちっとも眠くなりません。これぞ至福の読み物。 -
大学教授のルーカスは、自分の新著の宣伝のためにセントルイスで講演を行う。聴衆に20年前に逃げ捨ててきた故郷グレンヴェルの親父の店の従業員のローラ・フェイの姿を見つける。なぜ彼女がここに?彼女は講義の後のギフトショップのサイン会に現れ、誘われてホテルで2人の会話が始まる。故郷での2つの殺人事件にまつわる自分を含むさまざまな人間の愛憎と誤解。特にルーカスの父に対するエディプスコンプレックスから来る誤解は彼と周りの人の人生を変える。会話は、最後まで緊迫感に溢れ、惹きつける。ルーカスの抱き続けてきた誤解と疑問がほどけてゆき、真実が見えてきた後には何をすべきなのか?