地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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制作 : 上野 元美 
  • 早川書房 (2016年6月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151819513

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 賞をとる小説かな?あんまりすんなり読めなかったのが正直な感想。
    小惑星衝突があっての話だがSF度はほとんどない。では、普通の現代ものの警察小説かというと滅亡までカウントダウンという設定で人物の行動が左右されている。でも携帯電話などがメンテナンスがされないか何かで繋がりにくいのに電力の問題は無さそう。みたいにどうも滅亡までカウントダウンの状況がSF好きにはピンと来ない作品でした。

  • 世評は概ね高いが、私は最後まで退屈で仕方なかった。半年後に小惑星が衝突し人類が滅びるという設定は、フィクションとしては手垢のついたものだが、それを加味したミステリとして意識しつつ読み終えても、さほどの新鮮味は感じなかった。本作は三部作の第一弾で、最終作では絶滅まで後一週間となっている。極めて異常な状況下で、極めて平凡な刑事を主人公に、極めて凡庸なミステリが展開する。幾らでも面白くなる要素はあるのだが、第一作を読んだ限りでは、〝敢えて〟奇をてらうことを避け、絶望と退廃感が徐々に人心を蝕んでいく情景/エピソードが抑え気味に語られる。これが果たしてリアリティに富むものかどうかは読者の受け止め方次第だが、仮にこのような事態になれば、政府による完全な統制は為されず、管理抑制された理性の効く社会とは真逆となり、半狂乱の地獄絵図さながらに終焉していくだろう。物語は、保険会社の男の自殺に疑念を抱いた新米刑事が、荒んでいく街の中で地道な捜査を続けた末に真相に辿り着くという展開だが、主人公が事件に執着する動機付けに乏しく、頻発してるであろう他の犯罪などに殆ど触れていかない。絶望の中に僅かな希望を見出し、高尚なるヒューマニズム賛歌として読み取ることは可能だが、残された時間の中で一介の刑事が為すことの不条理さばかりが際立つと感じた。

  • 3度のメシより好きなネタ。となれば読まずにいらりょうか。

    カタストロフ小説としては、期待に違わぬ出来。人間心理というソフト面のみならず、ハード面での「破局」を描いてみせるさまは圧巻だ。それも大戦争だの大暴動だのではなく、唯一雇用(=給料の支払い)が続いている治安維持職に志願者が殺到するとか、レミングよろしき一斉行動ではなく、ぽつぽつと歯が抜けるように退職したり自殺したりしていく人々とか、メンテが行なわれなくなることで少しずつ、少しずつほころびていく通信網(この設定でクローズド・サークルやれるんじゃね?)とか。それらのささやかな、あるいは「せこい」破滅ぶりは、実に今この時代のリアルに合っているように思う。

    一方、ミステリとしては可もなく不可もなく。主人公が「おれはなんてとんまなんだ」とぼやきながら、事実いろいろな人物に出し抜かれるのに延々付き合わされる。といっても、主人公が特別抜けているというわけではなく、話の展開がそうなっているということだ。確かに、神のごとき名探偵では本作の世界観に合わないだろうが、靴裏すり減らし系ミステリがあまり好みでない私は次第にまどろっこしくなってしまった。
    とはいえ、本作において「ミステリ部分はおまけ」では絶対にいけなかったと思うので、長のおつきあいもやむをえまい。

    何よりすばらしいことに、本作には続篇があるという。「私たちすべての終わり」を単なる雰囲気づくりではなく、最後まで描ききろうという著者の意欲に乾杯したい。

    2016/9/12~9/14読了

  • 静かに絶望に満ちた世界で、淡々とコツコツと己の仕事をする主人公。読みながらそっと応援をしてしまう。

  • 半年後には、地球への小惑星の衝突によって、人類が滅亡すると明らかになった世界で、刑事になりたてのヘンリー・パレスは、一人の男の自殺に見える死について捜査します。
    絶望的な状況を悲観して、ある者は仕事を辞め「死ぬまでにやりたいことリスト」の実現に注力し、ある者は自殺するなどが当たり前になった世界。
    周囲の誰もが男の死を自殺と見る中で、ヘンリーはひたすらに殺人の可能性を見据えて捜査を続けます。

    読んでいて、何度も考えさせられるのは、もちろん「なんで、彼はこの状況で、こんなに刑事らしく捜査を続けてられるんやろう」ってことです。
    数少なくなった同僚の中にも、状況に怯え人生を悲観するものがいるというのに…事件を解決したって絶望的な未来が変わるわけではないのに…

    彼の両親に関するある出来事が、その理由のようにも思えるのですが、最後まで読み切っても確信にはいたりませんでした。

    でも一つ確かなのは、そんな彼が地味ではあるものの、間違いなく「カッコいい」ってことです。
    タイトルからイメージするとおりの、彼の矜持とその揺るぎなさは、読者全員を惹きつけるのではないかなぁ。

    ラストでは、事件の本筋はもちろん、それとは別のもう一つ、いやもう二つくらいの衝撃が用意されていて「いまからどうなるの!?」と驚いていたら、何と三部作の第一作目なんですね。

    すでに、ハヤカワ・ミステリでは完結しているようですが、続巻の文庫化を楽しみに待ちます。

  • 面白いけど、いま終末ものを読みたい気分ではなかった(>人<;)

  • 巨大隕石が地球に衝突する約半年前に発生した殺人事件を追う刑事ヘンリー・パレス。遺体の発見状況からみて自殺と判断されそうな事件であるが、パレス刑事は殺人事件として捜査する。あと半年で人類が滅亡するかもしれないときに、そんな面倒な仕事をしなくてもいいのではと思うが、きっちりとした性格の被害者に報いるようにパレスも粛々と捜査をする。そして真相にたどり着く。

    本書の舞台のような極限状態で、人類がどのように振る舞えるかを問われた作品だ。このような状態では群衆が勝手し放題となり秩序なき世界に移りながら最後を迎えそうであるが、まだ落ち着いていららるくらいの聡明さは残っているようだ。きっと作者が人類はこうであってほしいとの願いもあるのかもしれない。殺人の動機も泣かせるものだ。人間の弱さと強さと優しさが出ている。自分だったらどう行動するだろうかと常に考えながら読み進めた。考えすぎると気が重くなるので注意。

    本作品は三部作の最初の作品だ。次の作品「カウトダウン・シティ」や三作目の「世界の終わりの七日間」も読んでみたいと思う。人類がどんどん滅亡に向かって時が過ぎるなか、パレスがどのような行動をとるのか楽しみである。

  • 佐々木敦さんがこの本の著者であるベンHの三部作を最近読んだといっていたのですが、PKディックの文学賞とやらも受賞したことがあるという、賞はともかくひさびさにかのSF文学者の名前を聞いてひさびさにSFを読みたくなり読んだ次第。

    スマホいじる時間あったら、こういう本をもっと読めよ、オレ。

  • 「みんなそう言うけど、それはーーそんな考えは傲慢だよ。そういうものなんだから」(略)「二つの天体は、別個に宇宙を動いているが、軌道が重なりあっている。そして今回、その二つは、おなじ時間におなじ場所にいあわせる。"おれたちの頭の上に落ちてくる"わけじゃない。そういうものなんだよ。わかった?」p.155

    半年後に小惑星が地球に衝突し、人類は壊滅する。株式が暴落してマクドナルドは倒産し、保守点検の人員がおらず電話もネットもたまにしか繋がらない。多くの人が仕事をやめて「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化しにゆき、首吊り自殺が珍しくなくなり、薬物が蔓延する。諦観と自暴自棄で崩壊しつつある社会。
    ファストフード店のトイレで死んだ男も自殺に見えた。新人刑事パレスは些細な違和感から他殺を疑い、捜査を始める。

    「世界の終わりまであと半年」という設定が絶妙。インフラが死につつあるので現代的な捜査が出来ず/結果がわかるまで時間がかかり、昔風の探偵小説の趣もある。些細な違和感を執拗に追いかける地道な捜査。

    主人公は刑事になって数ヶ月の新人で、「自分の役割を全うする」ことに価値を見出している人間として描写され、世界の終わりを目前に地道な捜査活動をする人間として説得力がある。
    念願かなって刑事に昇進したけど思っていたのと違うという失望があった。そんな中で遭遇した殺人事件。被害者の上司に事情聴取していて「まさか、だれかに殺されたと考えているんじゃないでしょうね」と聞かれた主人公が、やりがいのある仕事に「ついに出会えたのかも」と内心高揚するシーンが印象的。

  • あっさりもっさり。

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