ボリス・ヴィアン全集〈1〉アンダンの騒乱

  • 早川書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152002518

感想・レビュー・書評

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  • 最近謎にハードボイルドである。
    アニメのマスターキートンも観ているし。漫画が好きだったので懐かしい。パイナップルアーミーと合わせて。

    ハードボイルドといえば食事を噛まずに飲む人、と思い込んでいたけれど。知らせを受けた俺はサンドウィッチをコーヒーで流し込んだ。みたいな。どういう状況?

    ハードボイルドって殺しのライセンスなんですね。チャンドラーもだったけど。
    とりあえずびっくりするくらい人が死ぬ。百発百中心臓に命中してぱたぱたと不謹慎なくらいに。
    マジョールが善い人、伯爵が悪者とは思えないんですけど。

    解説が長くてびっくりですが、うたかたの日々しか知らなかったので新鮮でした。長身ハンサムな男の人が窓から外に出たり屋根を歩き回るなんて惚れる!!!
    20世紀の歴史の暗さに最近気づいてしまい、
    高校の世界史であんなに習ったはずなのに現実味がなかった、イサベル・アジェンデがきっかけだ、
    気持ちが落ち込んでしまうのですが、こんなに軽やかに自分勝手に、世間のことなんて気にもかけず、好きなことだけをやっていた人もいたなんて知って救いになりました。

    だから30代に入って世の中に関心を持つようになってからはさみしい。わたしも今までニュースだの政治だのに完全に無関心だったのですが、最近少し考えるようになってきてやばいかも。滅びの美学と正当化するのか。マキャベリズムくらい、今まで興味があったのは。

    マジョールは最後までマジョール。パーティーで女の子を口説き、うんと言わないと、それなら私は自殺してしまう、と窓から出たら本当に落っこちてしまったという。
    少佐って呼ぶの、素子さんみたい。

    最近読む物に冷戦ネタが多くてつらいのですが、解説の一言に救われました。
    マルクスは働かざるもの食うべからずと言う。
    ヴィアンは働かなくてもたらふく食ってしまうぞ。

    わたしは労働に見合った対価だけを受け取るべきと思う。もらいすぎてもいけない。少なすぎてもいけない。
    マルクスは暴力をもちだしたのがいけなかった。
    CIAも軍事力に頼ったのがいけなかった。
    ガンジーが先に生まれていればよかったのに。

  • 『アンダンの騒乱』といふ作品はボリス・ヴィアンの処女小説であります。1947年に執筆されてをりますが、発表は死後の1966年となってゐます。
    姉妹編たる『ヴェルコカンとプランクトン』は早々に世に問ふてゐるので、何らかの理由で発表を見合はせたのでせう。解説の伊東守男氏は、アルフレッド・ジャリの影響が濃く出過ぎてゐるのを嫌つたのではないかと推測してゐます。さういふもんかね。

    処女作といつても、既にヴィアン世界は完成してをり、キイワードの「すり切れ」も登場してゐます。読み始めはセラフィ―ニョなる男が主人公なのかな、と思ひましたが、結局謎のバルバランを求めて暗躍するのは『ヴェルコカンとプランクトン』にも登場する、少佐(マジョール)とアンティオッシュ・タンブルタンブルのコンビであります。少佐は実在の人物ですが、小説に負けない奇行の人らしい。しかしここでは、ヴィアン自身が投影されてゐます。

    本作の中盤から、探索の途中で発見した「原稿」なるものが登場し、親子二代にわたる抗争であつた事がわかります。いや、訳知り顔で「わかります」と言ひましたが、良く分かりません。難解な小説だなあ。
    結局最後はバルバランを手に入れるのですが、それによつて何を為すかといふ視点は皆無なのであります。

    本書で有難いのは、巻末に収録された訳者による「評伝」であります。堂々50頁の「作品」と申せませう。これを読めばヴィアン入門者も彼の概観をつかめることでせう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-787.html

  • 初ボリスヴィアン作品。
    途中から誰が誰だか分からんくなって取り敢えず読む、みたいな感じでつらつら流し読んだ感じ。
    しかも私の苦手な冒険モノ。

    次は日々の泡が読みたい。

  • 途中から登場人物が誰が誰だかわからなくなった。きっとフランス語で読まないとわからない言葉遊びがたくさん散りばめられているのだと思う。そんな小説を翻訳で読む意味があるのかどうかわからないけど、読んだ。

  • 「バルバラン」という謎の物体を巡る物語。
    ここで出てくる少佐(マジョール)は、噂のヴィアンの友達がモデルなのだろうか。
    処女作ということもあり、もちろんヴィアンらしい奇抜な設定はあるものの
    まだクセが少なく、かなり読みやすかった。
    小説もあまり長くなくて、本書の1/3くらいは、全集の第1巻目であるせいか
    解説に割かれていて、かなり読み応えもある。
    小説よりも解説のほうが私は楽しめたかな。

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著者プロフィール

(Boris Vian) 1920年、パリ郊外に生まれる。エンジニア、小説家、詩人、劇作家、翻訳家、作詞・作曲家、ジャズ・トランペッター、歌手、俳優、ジャズ評論家など、さまざまな分野で特異な才能を発揮した稀代のマルチ・アーチスト。第二次大戦直後、「実存主義的穴倉酒場」の流行とともに一躍パリの知的・文化的中心地となったサン=ジェルマン=デ=プレにおいて、「戦後」を体現する「華やかな同時代人」として人々の注目を集め、「サン=ジェルマン=デ=プレのプリンス」 とも称される。1946年に翻訳作品を装って発表した小説『墓に唾をかけろ』が「良俗を害する」として告発され、それ以後、正当な作家としての評価を得られぬまま、1959年6月23日、心臓発作により39歳でこの世を去る。生前に親交のあったサルトルやボーヴォワール、コクトー、クノーといった作家たちの支持もあり、死後数年してようやくその著作が再評価されはじめ、1960年代後半には若者たちの間で爆発的なヴィアン・ブームが起こる。

「2005年 『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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