ボリス・ヴィアン全集〈2〉ヴェルコカンとプランクトン

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152002525

感想・レビュー・書評

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  • ボリス・ヴィアンの実質的な処女作といはれてゐます。主人公の少佐(マジョール)とは、ヴィアンの親友がモデルで、実際に少佐と呼ばれてゐたさうです。義眼であることも事実で、ヴィアンよりも年少ながら、中中刺激的な言動で、ヴィアンに少なからぬ影響を与へました。

    例によつてストオリイは有つて無いやうなものですが、一応は少佐の恋愛が中心であります。
    少佐は自分の誕生日に、お祭り騒ぎのパアティを開かんと企画します。その段取は、少佐の右腕のアンティオッシュ・タンブルタンブルに一任されました。
    そのパアティには、フロマンタル・ド・ヴェルコカンといふ男が連れてきたジザニイ・ド・ラ・ウスピニョールなる娘が参加しました。少佐はジザニイに一目惚れし、ヴェルコカンから彼女を奪ひます。ジザニイも少佐を憎からず思ひ、結婚の許可を得る為に、彼女の後見人たる叔父のレオン・シャルル・ミケ(技師長補)に面会を試みます。

    ところが実にくだらない理由で、中中ミケに会へません。それどころか、成り行きで少佐は彼の会社で働くことになります。
    仕事とは、「ノトン計画」といふ、これまた意味の無いプロジェクトで、少佐はミケの信頼を得る為に「ノトン計画」にエネルギイを傾注いたします。その甲斐あつてか、ジザニイとの結婚許可を取り付けますが......

    本書では、ザズーと呼ばれる少佐たち若者の乱痴気騒ぎをユウモラスに、摩訶不思議に描いてゐます。おそらく当時のパリの大人たちから、眉を顰めて否定的に呼ばれてゐたのでせう。しかしザズーたちは、勝手にいくさをして負けた大人たちに対して、不信感が拭へなかつたのでせう。太宰治か。

    そして最後はもう何でもありの馬鹿騒ぎ。無茶苦茶なオチに、読者は口をポカンと開け、「いやあ、やつぱりヴィアンだ」と満足するのでした。万人向けぢやないけどね。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-758.html

  • ストーリーを把握できれば小説は読みやすくなる。そこで起こっていることは荒唐無稽な超現実だけど、自分が何を読んでいるのかはわかっていた。そしてボリス・ヴィアンの世界はやはりおもしろい。

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著者プロフィール

(Boris Vian) 1920年、パリ郊外に生まれる。エンジニア、小説家、詩人、劇作家、翻訳家、作詞・作曲家、ジャズ・トランペッター、歌手、俳優、ジャズ評論家など、さまざまな分野で特異な才能を発揮した稀代のマルチ・アーチスト。第二次大戦直後、「実存主義的穴倉酒場」の流行とともに一躍パリの知的・文化的中心地となったサン=ジェルマン=デ=プレにおいて、「戦後」を体現する「華やかな同時代人」として人々の注目を集め、「サン=ジェルマン=デ=プレのプリンス」 とも称される。1946年に翻訳作品を装って発表した小説『墓に唾をかけろ』が「良俗を害する」として告発され、それ以後、正当な作家としての評価を得られぬまま、1959年6月23日、心臓発作により39歳でこの世を去る。生前に親交のあったサルトルやボーヴォワール、コクトー、クノーといった作家たちの支持もあり、死後数年してようやくその著作が再評価されはじめ、1960年代後半には若者たちの間で爆発的なヴィアン・ブームが起こる。

「2005年 『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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