イノセント (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152077622

感想・レビュー・書評

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  • なんという恋愛小説...!無理やりジャンル分けすれば、スパイ小説になると思うけど、私にはこれは恋愛小説だなあ、それも普通じゃない。主人公レナードの数々の妄想シーンには、細部に渡る描写にたまに辟易しながらも、簡潔なまでに巧みな語りがそこの部分で一層際立つ。今月末の新作も、スパイ物らしいので、期待大です(しかし表紙がラノベ調というか、クレストっぽくない)。

    初期の変態よろずやみたいな小説も強いインパクがあったけれど、こちらは細部までがっちり組みたてられた小説世界に、最後まで読んでやはり「マキューアン...!」と呻きたくなった。

  • 初マキューアン!
    まったくの予備知識なしで手に取った本。壁ができる以前のベルリンを舞台としたル・カレばりのスパイ小説か、と思ったら、淡い恋愛小説…、え?そんな展開??? からの、きれいな着地!
    となかなか楽しませてくれた。
    25歳のイギリス青年の、歳上の女性に導かれての初体験、の初々しさが、なんとも甘酸っぱく、こちょばい感じがして素敵。
    さらりとした「友情」もね。

  • スパイ小説というよりも恋愛を主軸にしたサスペンスで、筆致はいかにも文学的。冷戦下ベルリンで東側基地の盗聴を目論み、西側からトンネルを掘り進めるという英米情報部の無謀な作戦を背景とする。物語に大きな起伏は無いのだが、若い技術者が一定期間体験する濃密な情景を、独特なレトリックを用いて描き、一種異様な緊張感に満ちている。本作で「話題」となった死体解体シーンよりも、その直後に主人公が陥る悪夢の如き時間の流れを追った重苦しい心理描写が記憶に残る。

  • 他のイアンマキューアン本と同じく、最初は詳細な説明ばかりで疲れて読み進めなかったが、恋愛関係が前進したあたりから一気に物語りは進み、最後まで息をつかせぬ展開の連続。読み終わったら、へとへとになってた。ありえないような状況に陥る主人公、でもそこに行き着くまでの過程が理解・共感できるので、驚くような状況もすんなり受け入れてしまえる。
    強烈でリアリティーがあって、心揺さぶられた。

  • 明るい日差しか差し込む部屋で
    切断しかけの死体が
    「蝶番のように」べろんちょと開いたシーン
    そこまでに至る解体の詳細
    実体験でもしたんだろうかというほど
    細かく、生々しかった

    読み始めたときはそんな展開になるとは思わなかった
    マキューアンにしては珍しく恋の行方にキュンとなったりしてたのに!!

    死体を処分するために彷徨い
    その重量に勝手に追いつめられて行く感じとか
    おもしろかったです

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著者プロフィール

イアン・マキューアン1948年英国ハンプシャー生まれ。75年デビュー作『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞受賞後、現代イギリス文学を代表する小説家として不動の地位を保つ。『セメント・ガーデン』『イノセント』、『アムステルダム』『贖罪』『恋するアダム』等邦訳多数。

「2023年 『夢みるピーターの七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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