ソロモンの歌 (トニ・モリスン・コレクション)

  • 早川書房
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本棚登録 : 43
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152078735

感想・レビュー・書評

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  • 主人公のミルクマンが自らのルーツをたどることになる南部の旅に出る歴史の旅物語。
    その旅が元はといえば自分探し、ルーツ探しの旅ではなかったということです。
    それは、自らの欲望を満たすため、自分ひとりだけが自由を得るために必要な「お金」を奪うことが目的の旅であった。

    長編物語であるので、なかなか時間がかかる。
    しかし読んだ後の達成感は気持ちよい。

    自分のルーツを辿る旅物語だが、主人公の内面の変化も描写されており、青年の冒険記である。

  • 黒人の世界のことなのに。どの登場人物も自分のことを言っているようだ。

    自分を透明にされ、こころを、過去を、これからを、今を覗かれているような気分に陥った。

    気の滅入る流れが基調だが、心からの喜びもある。人間がむき出しに出てくる。

    搾取し、搾取される、人間の本質。

    「飛ぶ」とはどういうことなのだ。死とも違う。逃げるのとも違うという。本源に「帰る」と言うことか。

  • とかくこの作品は、壮大です。
    そう、この作品は実は
    タブー要素、いわば黒人差別に
    ついてたくさん触れられているのです。

    それは日本人である私たちには
    容易に受け入れられるものではないでしょう。
    そう、黒人というだけで
    馬に踏みつけられて深手を負わされたり、
    白人と寝たのを認めないからといって
    殺される時代があったのですから。

    物語は
    ミルクマンの視点で進められていきます。
    彼は複雑な家族環境と
    ある出来事によってこの名前で
    呼ばれることとなります。

    時に彼は人を人なりに愛したりします。
    だけれどもその女性はどうやら
    相当嫉妬深かったらしく
    別れた女性に付きまとわれます。

    ちなみにメインとなるのは
    父親に金塊探しを
    依頼されるところからです。
    そこでミルクマンに悲劇が…

    壮大すぎて驚きます。
    だけれども少々難しいでしょう。

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著者プロフィール

1931-2019。アメリカ合衆国の作家。小説に、『青い眼がほしい』(1970)、『スーラ』(1973)、『ビラヴド』(1987)、『ジャズ』(1992)、『ホーム』(2012)など。彼女の長編小説はすべて日本語に翻訳されている。絵本に、スレイド・モリスンとの共著『子どもたちに自由を!』(1999、長田弘訳、みすず書房、2002)『どっちの勝ち?』(2007、鵜殿えりか・小泉泉訳、みすず書房、2020)、『いじわるな人たちの本』(2002)、『ピーナッツバター・ファッジ』(2009)、『小さい雲と風の女神』(2010)、『カメかウサギか』(2010)、『ほんをひらいて』(2014、さくまゆみこ訳、ほるぷ出版、2014)など。写真絵本『忘れないで――学校統合への道』(2004)はモリスンの単著。ノーベル文学賞(1993)のほかに、全米批評家協会賞、ピュリツァー賞、大統領自由勲章など数々の賞を受賞。プリンストン大学などで教鞭をとった。

「2020年 『どっちの勝ち?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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