フルハウス-生命の全容: 四割打者の絶滅と進化の逆説

  • 早川書房
3.21
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152081780

作品紹介・あらすじ

名著『ワンダフル・ライフ』で進化の偶然性を説いた著者が、今、進化は進歩であるという常識・価値観を覆し、生命の多様性のすばらしさを語るべく書き下ろした新たなる代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 生命進化について著書の多いグールドが「なぜ四割打者は絶滅したのか」について説明を試みる。

    打率が4割を超えたプレイヤーに注目するのではなく、全体を見ることで一般に言われている説明を論破していくところが面白いと思った。

    グールドは『ワンダフルライフ』以外はそれほど面白い本がないと思っていたが、『ワンダフルライフ』よりもおもしろかった。

  • 生物の進化に決まった方向はない。生物が次第に複雑さを増す方向に進化しているように見えるのは、最初の生物の構造が単純だったため、変異が起こるとすれば、複雑さを増す方向にしか起こりようがなかったからだ。統計にだまされないように気をつけないといけない。

  • 特別なことに思えることが、実は、多様化の一部にしか過ぎないことがある。
    なぜそれが、「代表」のように感じられるのか。
    なんで進化と野球やねんと思ったが、なるほど、そういうことか。
    外国人のそういう感覚は判り辛いのだが、これは読み易い。

  • 以前、ドーキンスの「利己的な遺伝子」を読み感銘を受けた。
    「ドーキンス VS グールド」という本を読む前に、
    グールドという人の見解を知っておこうと手に取った本。

    第一部の要約
    「平均や傾向などの統計データには要注意」
    第二部の要約
    「1本の枝を見て、木全体を見た気になるんじゃないよ」
    第三部の要約
    「最大値や最小値の変化よりも、(分布の)全容に注目せよ」
    第四部の要約
    「自然淘汰の歴史の一番の勝者は細菌」

    本全体としては
    全容[フルハウス]とは全体の分布を見るのが重要で、
    分布の広がりの変化には壁(制限)がある場合があり、
    その場合誤った傾向を見出してしまい、
    進化とは複雑な系統に進歩すると考えてしまいがち。
    でもそれは誤解です。
    非常に複雑な人間様は、
    最も進化(進歩)した結果を意味するのではなく、
    分布全容の端の方に偶然できたただの1枝です。

    本書は上記を、いろんな話を引き合いに出して説明する。
    内容としても、表現としても、私にはくどく感じて疲れた。

    読み終わってふと思った。
    ドーキンス派とグールド派に二分される理由は何!?
    2人の見解に、対立する点が見つけられないのだけど。。。

  • 統計で簡単に意識的に人を騙す事が出来る。って事を分かりにくく書いてある感じ。

  • 生命進化には複雑化の傾向などはない。複雑化する方向にしか可能性が開かれていないため、ランダムウォーク的な変異が複雑化の方向に向かうように見える、という主張。
    複雑化へのバイアスなどないという主張は面白いけど納得はしなかった。グールドが認めているように、本書のなかのいくつかの例だけで、複雑化へのバイアスがないことを証明はできない。いくつかの例で形態学的な複雑さが減少するように見えるとしても、たとえば行動はどうだろうか?あるいは、別個に発達してきた眼という器官の複雑性は?
    ダーウィンの生物間競争について、論拠をしめさず葬り去ることがなぜできるのかよく理解できなかった。軍拡競争的進化というのは、間違っているのだろうか?

    4割打者の絶滅についての論考は、議論が怪しいところもあるがまあ納得。だが、標準偏差の減少について満足な理由を与えれてないのではと感じた。

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