霊応ゲーム (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
4.10
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本棚登録 : 509
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152082626

感想・レビュー・書評

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  • 心を揺れ動かす友情が、人ひとりとの関係が起こす波紋が、些細な選択の大きな意味合いが、少しずつ未来を大きく変えてゆく様が恐ろしかった。大抵の人が手に取った砂粒のひとつひとつの故郷を思い浮かべることをしないように、人との出会いの瞬間はいつも真っ白で、その瞬間から『ふたり』という新しい存在が生まれはじめる。ひとりの人間と人間との出会いというものがもつ力の大きさに、憧れと恐れと愛しさのようなものを感じた。

  • 誰にも関心を寄せなかった少年が、一人の少年と出会い、目覚めた狂気は加速していく。それは愛なのか執着か妄執か。もう、逃げられない。窒息しそうな閉鎖的空間で、生徒も教師も狂わされていく。周りを巻き込み、転がり落ちていく二人の行く末。映画化したら面白いだろうな。



    ネタバレです↓


    私は、どうしてもリチャードが悪いと思えず(狂っているといえば、狂っているが)、無暗に怖がり逃げようとするジョナサンに苛立った。リチャードにとって、ジョナサンは、母の代わりに庇護して慈しむ対象だった。それだけなのに。周りさえそっとしておけば済んだ事だけど、そこがあの年代、そして全寮制という特殊な境遇によって、最悪の結末となる。

    そして、リチャードを殺したモノは何だろう。悪魔なのか、強い思いなのか。

    しかし、先日読んだ「四龍海城」と比べてしまう。相手を強く想う気持ちは同じでも、その手段のなんという違いだろう。

  • ブクログに限らず、他の人が感想としているようなリチャードはヤンデレだとする感想の意味は最後まで分からなかったです。
    ただし後味は凄く悪い! 誰も彼もが救われなく、そこがまたリアリティーとして読者に衝撃を与えているような気がしました。

    リチャード=ジョナサンに対しての凄まじい執着(ヤンデレ)と捉える人が多いみたいですが、私の感想は違いました。単に最後まで自分を見てくれなかった母の代用品を彼に求めただけのような気がしてなりません。もっといえば、彼は誰かのためにしか生きられない、そういう生き方しか知らないのだと感じます。
    最終的にジョナサンに図星をつかれ、カッとなって手を出してしまったような印象を受けましたし。

    ヤンデレとか一般にも浸透していてお手軽な感想言葉として使われたのかな? と事の顛末を知ってから思いました。
    しかしリチャード怖いよ!
    どこで聞きつけたのかヘンリー・アッカーリーの事件を調べ上げたり、状況証拠と自己満足にも似た推理でアラン・スチュアートを自殺にまで追い詰めたり。行動的だなと、変なところで関心してしまいました。
    これが思春期特有のとりあえず自分の考えは正しいんだという、自己の正当化と戦後という特殊な状況がもたらす排他主義なのかと、言いようのない恐ろしさがあります。
    英国でも社会問題ともなっているイジメが根本のテーマとなっているせいか、終始文体は「イジメなんてしてると、ろくな事にならないぞ」と訴えかけてくるような重たさがありますが、読む価値はあります。

    本作をどうしても読みたくて、アマゾンのマーケットプレイスで定価以上の値段で購入しただけの価値はありました。普段はこういった後気味悪い作品は敬遠するのですが、緻密かつ繊細なプロットに引き込まれました。
    気がつけば徹夜していて、起床時刻を過ぎていることを読み終わってから知らされるほどに。今日が休みで良かった…。

  • ハリーポッターの寄宿舎生活の中で、

    こっくりさんが始まった・・・という感じだった。

    少年の心理描写、そしてあの年頃特有の悩み、嫉妬がリアル。

    どんどん引き込まれる。

    少年たちの最初と最後の友情関係性が全然違ってきて

    それが自然に描かれていて

    気が付いた時には、別人レベルに達している・・・。笑

    人間の狂気や、すれ違いのほうが、お化けより怖いということが身に染みる。

    いやー怖かった!

    けどなんかツボ!

  • ロンドンのジャーナリストの家に、一人の男が訪ねてきた。その男は45年前に起きた痛ましい事件について、真相をおもむろに語り始めた……。1954年、ノーフォーク州の全寮制パブリック・スクール、カークストン・アベイ校。14歳の生徒ジョナサンは同級生ばかりか教師にもいじめられ、つらい日々を送っていた。だが、そんな彼に新しい友人ができた。友人の名はリチャード。勉強はできたが、一匹狼的な男だった。クラスを支配するグループのボス、ジェームズはリチャードを仲間にしたいと願っていたが、ジョナサンと親しくなったため、ジョナサンに対して残酷ないじめを開始する。そんなジョナサンをリチャードがかばい、二人の仲はより親密になっていく。が、それと時を同じくしてグループのメンバーが大怪我を負ったり、事故死する事件が立て続けに起き、教師たちも奇怪な事件の犠牲になっていく。そして、この事件の裏には、ジョナサンとリチャードの秘密の儀式が……!少年の歪んだ心が引き起こす恐怖と戦慄の事件。イギリスでベストセラーを記録したゴシック・スリラーの新たな傑作。

  • 「ぼくにとってこの世で大切なのはきみだけなんだ。きみに手出しをしようなんてやつは、だれもいないさ。そんなことをしようとするやつはだれだって、このぼくが殺してやるからな」<br>
    リチャード・・・!

  • 登場人物の多くが耐え難き闇を抱えていて重苦しかったです。最初に語り出したのが誰なのかは後半までわかりませんでした。次々と人が死んでいくのにはカラクリがあるはずと踏んでいたので、いったいどうやって?!とワクワクしていたので呪いとわかった時は推理小説ではなかったんだ!と愕然としました。

  • 舞台は1954年、イギリスの名門パブリックスクール。
    いじめられっ子のジョナサンは、一匹狼リチャードと仲良くなるが、彼らの周りでは次々と不可解な事件が起きていく。
    ヤンデレでブロマンスなホラーと聞いて、こわごわ手に取ったが、ホラー要素はさほど強くない。
    キャラの思いが絡み合っていく様や、後半の畳み掛ける展開には引き込まるが、推理小説のような構成なのに、急にファンタジー要素が絡んでくるような印象を受け、少し戸惑った。

  • これは珍しい、50年代イギリスのパブリックスクールを舞台にした……うーん、ホラー小説でいいんだろうなぁ。舞台設定が舞台設定なので、背徳っぽい雰囲気もちゃんとあり、でもやっぱりラストは血みどろ。 でも全体的には「ぼくはお城の王様だ」とか「蠅の王」的な雰囲気。ちょっと弱めの主人公少年には感情移入できるし、謎めいた美少年にはそれなりにときめくんだけど……でもホラー。ホラーになっちゃうのは性根の悪い人間がいて、心の弱い人間がいるから。友情で救われないところがまたイギリスかな。

  • 好きな設定なはずだが、疲れた!また気が向いたら読み直そうか。

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