- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152084491
感想・レビュー・書評
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中学のときにエクス・オペレ・オペラートを読んで、えらい衝撃を受けた覚えがある。長すぎて当時はそこまでしか読めなかったんだけど。
西洋史にSFを突っ込むという行き過ぎた妄想のような設定がまず目につくが、全体を通してのテーマは一貫している。宗教と科学。情報と真実。生と死。何度となく主人公が悩む、人間が抱える二律背反の矛盾はそのままわたしの悩みともなり、読了後はしばらく考え込んでしまった。
結局、生と死以外全て偽者なのではないかと思う。たとえば今使っている言語だって定理だって、言い出した人が真実であり、それら仮定(そう、あくまで仮定)に折り合いをつけて諦めて認めてきたのが歴史なのではないか。
文体が独特で濃いので、その言い回しに素直に感嘆するときもあれば、頭がごちゃごちゃしてる日にはただ読みにくく感じたり。でも一日で読みきってしまうには長さも内容も厚く、読み終わるのは正直大変だった。けれど読了後に陥る思考のループすら抜けてしまうと、不思議とその世界にハマっている自分もいる。一度は読んでみる価値あり。わたしは好きです、このクドさ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
架空の中世ヨーロッパを舞台にした一大叙事詩。「これでもか!」というほどのヨーロッパネタがつまった、濃厚かつ芳醇(話によっては貴腐のような)重量級ごった煮SFです。人物紹介を見ればそれは一目瞭然かと。
……でもその内面は「人とは」「世界とは」「知識とは」「信仰とは」という、人間の精神に共通する「何か」を求めようとする者たちの彷徨の詩であり、骨太の静かな福音書。 -
ほんとは架空の王国やヴァスラフのほうがすき