アイオーン (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 86
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152084491

感想・レビュー・書評

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  • 中学のときにエクス・オペレ・オペラートを読んで、えらい衝撃を受けた覚えがある。長すぎて当時はそこまでしか読めなかったんだけど。
    西洋史にSFを突っ込むという行き過ぎた妄想のような設定がまず目につくが、全体を通してのテーマは一貫している。宗教と科学。情報と真実。生と死。何度となく主人公が悩む、人間が抱える二律背反の矛盾はそのままわたしの悩みともなり、読了後はしばらく考え込んでしまった。
    結局、生と死以外全て偽者なのではないかと思う。たとえば今使っている言語だって定理だって、言い出した人が真実であり、それら仮定(そう、あくまで仮定)に折り合いをつけて諦めて認めてきたのが歴史なのではないか。

    文体が独特で濃いので、その言い回しに素直に感嘆するときもあれば、頭がごちゃごちゃしてる日にはただ読みにくく感じたり。でも一日で読みきってしまうには長さも内容も厚く、読み終わるのは正直大変だった。けれど読了後に陥る思考のループすら抜けてしまうと、不思議とその世界にハマっている自分もいる。一度は読んでみる価値あり。わたしは好きです、このクドさ。

  • 架空の中世ヨーロッパを舞台にした一大叙事詩。「これでもか!」というほどのヨーロッパネタがつまった、濃厚かつ芳醇(話によっては貴腐のような)重量級ごった煮SFです。人物紹介を見ればそれは一目瞭然かと。
    ……でもその内面は「人とは」「世界とは」「知識とは」「信仰とは」という、人間の精神に共通する「何か」を求めようとする者たちの彷徨の詩であり、骨太の静かな福音書。

  • ほんとは架空の王国やヴァスラフのほうがすき

著者プロフィール

1966年茨城県生まれ。茨城大学卒業。
お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。著書に『アイオーン』、『赤い星』など。編書に『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)がある。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞を受賞。ほかの著書に『翼竜館の宝石商人』などがある。

「2022年 『大天使はミモザの香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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