異端の数ゼロ: 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152085245

作品紹介・あらすじ

本書は、史上もっとも危険な概念-ゼロの"伝記"である。バビロニアに生まれたゼロは、そのなかに潜む"無"と"無限"ゆえ、人類の知的営為を揺るがしてきた。ゼロは、古代ギリシアの諸賢によって禁じられ、キリスト教世界では異端視された。パスカル、デカルト、ニュートンらの業績の裏には常にゼロの問題が潜んでいたが、その脅威は、科学が進歩を遂げた現代でも変わりはない。ゼロを追放しなければ、一般相対性理論の無限大問題は解決できないように。歴史を通じて排除の対象でありつづけたが、消えることはなかったゼロ。有用でありながら、多くの矛盾や論理の崩壊をもたらすこの概念の全貌を、まったく新しい切り口で描くポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • 確かに 0 (と ∞ ) という数値は特異で、でも実生活ではあまり特異とは意識されない。話題が多岐にわたっていてどれも面白いネタなのだけど、どうにも読みづらい。参考程度に読んでみてもいいかもしれないけど、詭弁のような言い回しも気になる。

  • 「人類が0を発見し、一旦それを拒否し(アリストテレスによる哲学で、ルネッサンスまでヨーロッパの思想を強く束縛)、それを受け入れ、克服し(ニュートン、ライプニッツによる微分、積分)、それによって。。。」などなどと、思想的、文化的、数学的、物理的など、さまざまな角度から、0や∞にこだわり、解説してある本はおそらくないだろう。すごく面白い。素人を受け入れないような複雑な数式は全く使っていないから、文系の人にもすんなり読めると思う。全人類にお勧めします。フェルマーの最終定理の解説本を書いたサイモン・シンもこの本を激賞しています。

  • <数理を愉しむ>シリーズ:数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念~世界の各地の古代文明が編み出した数体系と,無に対して抱いた恐れ。ゼロの発見を妨げたギリシアの数哲学。その一方,ゼロが東洋でいかにして生まれ,いかにしてヨーロッパに入ってきたか。教会はなぜゼロを異端視したのか。キリスト教哲学の土台をなすギリシアの思考と聖書の思考の間にある,無と無限をめぐる対立に神学者はどう対処したか。神秘主義者たちはどうしてゼロにとりつかれたのか。最終的にヨーロッパでどのようにゼロが受け入れられていったのか。微積分が考え出されたとき,それがゼロをめぐるどんな論理の飛躍を抱えていたか。そして,極限の概念によって,この問題がどのように解決したか(また,この概念によってゼノンのパラドックスがどのように解けるか)。さらに,ゼロが熱力学,相対性理論,量子力学でどのような形をとって現れ,現代物理学をどのように脅かしてきたか。ブラックホール,真空のエネルギー,万有の理論の探求をめぐる論争の核心にあるゼロ,物質の基本要素を○次元の粒子から一次元のひもに転換して,相対性理論と量子力学から生じる無限大を解消する,ひも理論を論じ,最後に宇宙のはじまりと終わりの問題に触れる~読み終えて,訳者後書きで「…か」と問われても,答えられないのが悲しい。ゼロはセム系の民族が考え出したが,アリストテレス哲学・キリスト教と相容れず,当然ローマに入ることもなく,インドで育まれてヨーロッパへ…てのは解ったよ!

  • 読書録「異端の数ゼロ」5

    著者 チャールズ・サイフェ
    訳 林大
    出版 早川書房

    p138より引用
    “微積分は、この二つの道具、微分と積分
    を一まとめにしたものである。ニュートンは、
    ゼロと無限大をもてあそぶことによって数学
    上の重要な規則を破ったが、微積分はあまり
    に強力だったので、どんな数学者もこれを斥
    けられなかった。”

    目次から抜粋引用
    “ゼロと無
     無からは何も生まれない
     無限なる、無の神
     無限の双子
     絶対的なゼロ”

     数学の修士号を持つサイエンスライターに
    よる、ゼロの歴史と世界への影響を記した一
    冊。
     バビロニアでのゼロの発生から宇宙の始ま
    りと終わりとの関係についてまで、普段何気
    なく接している数字に対する考えが改めさせ
    られます。

     上記の引用は、ニュートンが開発した微分
    法についての一節。
    多少ルールと外れてしまっても、実際に使え
    る道具や方法なら、世の中に広まってしまう
    ものなのですね。
     正直私には難しいので、よくわかっていな
    いのですが、ゼロという数字が大変なもので
    あるということは伝わってきました。
    あと、般若心経の「色即是空空即是色」の一
    節を思い出します。

    ーーーーー

  • ゼロ…空・虚無・消失点…日常生活ではあんまり考えないけど、ふと子供の算数の宿題を見てて、そういえば変な数字なんだよなーとこの本のことを思い出した。

    ゼロの起源はバビロニアの記数法。桁の空位を表す記号として生まれた。また、古代マヤ人は暦にもゼロを使っていた。ギリシア人やローマ人はゼロの概念も有用性も知っていたにもかかわらず、数の表記にゼロを使うのを拒んだ。ゼロは危険だからだ。数学や物理学において、ゼロは様々な理論に破綻と破滅をもたらした。ゼロと無限大という両極にあるふたつの数を無視することはできるのか。

    …という読み物としてたいへん面白い章から始まって、数学や物理学でゼロがいかに危ないかが興味を引く文章で綴られている。
    数学上でゼロ=無限大の証明をどう行ったかというあたりまではすごく面白かった。リーマン球面とかも図で丁寧に説明してあったからイメージとしても理解できたのだと思う。しかし、その後の熱力学と物理学にゼロが及ぼした混乱についてはもはや理解できず(笑)
    温度ゼロとはどういうことか。とか、物質がゼロの空間とは何かとかとか…
    ともかく、物理法則においては、ゼロは量子論と相対性理論をも崩壊させるらしい。それを打開するために追及された理論がひも理論?11次元とかいったいどう考えたらいいんだろう(汗)

  • 面白そう

  • ゼロという数に焦点を絞った数学史。文章もとても読みやすく、前提知識なしでも面白く読めた。数学の読み物としてかなりおすすめ。

  • 「0」に関する物語。こんなに多くの物語があるのかと驚かされる。

  • 科学や数学というカテゴリにすら収まらない。
    神学、哲学、史学…あらゆるものに影響をおよぼした数字ゼロ。
    なんだかゼロそのものが我々を形作っているように思えてくる。

  • 最後のほうの宇宙の始まりと終わりのあたりは難解だったが、微積分のところくらいまではとてもわかりやすかった。面白かった。

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