| ブログで紹介する» |
|
Check |
|
|
この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
-
われわれは学校の国語のクラスで、恋をしているひとたちの物語をいくつか読んだことがあるが、教師たちはいつも、これらの物語は非現実的だと言った。
― 107ページ -
州のIDカードをはじめてもらいにいったとき、用紙に目の色を書く欄があった。私は自分の目の色をすべて書こうとしたが、その欄にはそれだけのスペースがなかった。係員が“茶色”と書くようにと言ったので私は“茶色”と書いたが、それは私の目の唯一の色ではない。それはひとにそう見える色だ、なぜならひとは他人の目をよくよく見たりはしないのものだから。
― 98ページ -
「あなたは考えたことがありますか?」と彼は訊いた。「暗闇の速度はどのくらいか?」
― 119ページ
みんなの感想・レビュー・書評
設定は近未来。主人公は数学の天才であり、フェンシングを好み、1人暮らしをしながら製薬会社に勤務している。一つだけハンデを上げるとすれば、自閉症であること。でも、幼いころからの訓練と周りのサポートにより、健常者と変わらぬ生活を送っている。そんなある日、勤務先で自閉症の治験を半ば強制的に勧められる。完全に治るのか、ひどくなるのでは、治ったら今の自我はどうなるのか。いろんな事件も起こる中、主人公はどう答えを出すのか。進む光の先には暗闇があるから、暗闇にも速さがあると考える主人公の視点からの考えはなかなかに面白い。
ルウの一人称視点で描写される、
丁寧できめ細かい思考過程は新鮮な感覚。
汽水域にある陥穽に陥った時、
自己は何を拠り所に存在するのだろう。
メタファーとしての光と闇が脱構築される時、
読者の何かを共振させる名作。
2003 年 ネビュラ賞長篇小説部門受賞作品。
自閉症は幼児期であれば、治せる時代。30歳半ばであるルウは治療を受けられなかった最後の世代。 しかし彼は多少の困難は伴うものの通常の社会生活を送っており、友達と呼べる理解者にも恵まれている。 そんな中、幼児期でなくても自閉症治療が可能な技術が動物実験により為されるが、現状に明確な不満を抱いていない彼は、自分とノーマル(正常)との違いはなんなのかを問いながら治療を受けるか否かの結論を出すことにな... 続きを読む »
光はこの世界で最も速いものだという。しかし、光の先には必ず暗闇がある。では、暗闇の速さはどのくらいなんだろう? 35歳のルウは自閉症。感覚統合障害、聴覚処理障害、視覚処理障害、触角障害…。医師によってさまざまな診断を下されたものの、それでも自閉症に理解のある製薬会社に就職し、趣味であるフェンシングを通じてたくさんの人と知りあって暮らしていた。 自分が正常(ノーマル)とは違うことを... 続きを読む »
『光の速さが、秒速十八万六千マイルだとしたら、暗闇の速さはどのくらいなの?』
『暗闇に早さはないんだよ』
『でも光の先に常にくらやみがあるならば、くらやみの速さは光よりも早いはずだよ』
現代版『アルジャーノン』と言われているが、自閉症のお子さんを持った作者の嘘偽りを捨てた生々しい描写に竦む。
ちょっと訳がくどい、というのは頷けるが、私にとってはそれは何の障害にもならない。むしろもどかしさや溜めこそが作者の揺れ動く心を表現しているようで好ましいくらいだ。
打算のない言葉は美しく、けれど受け入れられない。
美談ではないが、私は上記の会話が本当に好きだ。
自閉症とはなんなのかという疑問に始まり、人の考え方、生き方について深く考えさせられる。現実でない小説の世界から伝わってくる独特なリアルが私たちに迫ってくる。
いったい私たちは何をもって障害とし、なにをもって改めよといえるのか。改めることが幸せなのか。
といったことを読んだ当時(中学生)は感じた記憶があり、出会えてよかった作品です。ただ今読んだら同じように深く考えるかというとそれは読んでみないと分かりません(笑)
ふう。詰まり詰まりしつつ読みました。
自閉症の青年ルウが主人公。
彼は非常に高い知能の持ち主です。向学心もハンパない。
彼の視点で物語が進みます。
「ふつう」ということはどういうことなのか、考えさせられました。
自閉症という先入観で、彼を自分より格下に扱う人も出て来ます。
人間に優劣はないと考えています。
しかしワタシにも人を蔑んでしまうことがあります。
例えば、学歴や出身や性別で人格を判断する人。
あと、学ぶことをしない人。
そういう人たちは劣っていると思ってしまいます。
いけないことでしょうか。
半分を過ぎたあたりから、結末はどっちなんだろうと思いながら読んだ。自閉症を治療された自分ははたして自分なのか。今の自分の感覚は新しい自分にも引き継がれるのか。作者の出した答えはちょっと皮肉だ。でも「病気」や「障害」をついイノセントなものと考えがちなセンチメンタルな(優しく無邪気なという意味で)傾向にたいして、これまたよくある露悪的な形からではないNOが突きつけられている。
アスペルガー症候群の治療の未来を描いた、現代のアルジャーノン。そうか、自閉症の息子さんがいるのか、この作家。
訳がちょっとくどいなと思ったけど、自閉症の細やかな心、また、治療をした後の最後の章がなんだか寂しい。
自閉症のルゥはその天才的数学の才能を生かして会社に勤めている。自閉症が幼児期の内に治療で治せるようになった時代。ルゥは治療が確立する前に大人になってしまった最後の世代なのだ。 でも彼はノーマルな人々と共にフェンシングをしたり、買い物にいったりもできる。恋もしている。ほんの少し他の人より不器用なだけ。ノーマルな人々にはなかなかそれが理解できないようだけど。だが、成人した自閉症者を健常者にすることが... 続きを読む »
自閉症の主人公が、日々の暮らしの中でどう思いどう感じているかをていねいに綴っていきます。ここまで書けるのは自閉症について深い理解があって初めて出来るものでしょう。切なさの残るラストもこの作品を印象深いものにしていると思いました。
「アルジャーノンに花束を」と似たような雰囲気を持つ本書。 自閉症の主人公の苦悩が細かく書かれている。 自閉症と言えば映画のレインマンくらいしか見たことがなく、人と喋る時に考えが回り過ぎて身動きができなくなってしまう人ぐらいの認識しかなかったけれど、この本を読んでその考えは一新された。 主人公のルウは自分のやり方、ルールを重んじているけれども、他の人の心情も汲みとることができ、普通... 続きを読む »
読み始めは主人公の純粋な感情が読んでて非常に刺激的でした。純粋に世の中を疑う、猜疑心の大切さを再確認させられました。
しかしそんな主人公の魅力的な思考回路も途中で飽きてしまいました。
「光の速さが、秒速十八万六千マイルだとしたら、暗闇の速さはどのくらいなの?」<BR>
ラストに向かっての盛り上がりではなく、その過程を楽しむという意味で秀作。自閉症の主人公ルウの世界観がとても好きだ。だからこそ「それにぼくはいつまでも彼女が好きです」の台詞に切なくなる。
「光の先に常にくらやみがあるならば、くらやみの速さは光よりも早いはず」
ちょっとこの時色々辛くて途中で挫折。いつかリベンジするのだ。
よく「アルジャーノンに花束を」と比されるけれど、こちらのほうが「普通」なのだと思う。
特別なことが起こらないという意味において。
自分と周囲の違和を冷静に語る視線が興味深い。
私が私自身であることは私を傷つけないが、私が私自身であることを理由に疎外されるとき、私は傷つく。という部分に共感。
だからこその、ラスト。
●おもしろかったです。 波瀾万丈、ではなく静謐に満ちた、 思考させられる面白さ。●主人公は、同じく自閉症である同僚たちとともに、それゆえの高い能力を発揮して現在の会社に職を得ている。日々の生活は充ち足りていて、さまざまな患者たちが集うセンターの他に、フェンシングクラブにも通ったり。そこには、好きな女性がいる。さて、会社に新しい上司が赴任した。その上司は、自閉症の彼らを優遇しすぎていると考え、外... 続きを読む »

えーと、これ・・・ハッピーエンドじゃないよね?
最終的に治療して自閉症じゃなくなって大学入って博士号とったからって、全然めでたしめでたしとは思えないんですけど!
いくらなんでも、もうちょっと治療後...





