サラミス

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152086143

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  • 紀元前480年、サラミスの海戦。ペルシャ軍の侵攻を、サラミスで迎え撃つギリシャの海軍。国王のもとに統一されているペルシャに対して、ギリシャはいくつもの小国の艦隊が集まっている。正確にはペルシャも一枚岩ではないし、ギリシャも小国なのか、地域なのかよくわからないけど。ギリシャ側では、艦隊の指揮官たちの合議によって、戦略が決定される。当然、自分の国に有利になるように考える指揮官もいる。最善の戦略は何かだけでなく、皆の同意を得るにはどうするか、あらゆる情報や手段を駆使して、サラミスで海戦を行うように画策するアテナイの指揮官。予備知識があれば、もっと良かったのだろうし、最初にある略地図がもう少しわかりやすければ良かったのだけど、それでも、面白かった。

  • 言わずと知れた、ペルシア戦争中の一大イベント、サラミスの海戦の話。塩野七生がローマ人と比較してさんざんけなしていたギリシア人の内紛好きを、佐藤哲也はあますところなく描き切る。政治家生命最大級の機会を迎え腹具合の悪いテミストクレスの深慮遠謀(腹黒さっぷり)は圧巻。ヘロドトス『歴史』最初の7巻は3ページで片付け、最後の第9巻を2ページにまとめる筆致はこの上なく小気味よい。

  • 1349.初、並、カバ小スレ、帯無し。

  • ヘロドトスが記したサラミスの海戦記

  • ●天才作家夫妻のご亭主の方。ああすごいや。
    佐藤亜紀さんも一人一ジャンルと言うか、似た小説を書く(書ける)人がいないけど、こちらもまたえらく独特。
    一風変わった小説です。

    ●さて、歴史に名高いサラミス。
    しかし、海戦そのものには、そう力点は置かれはていません。
    開戦に至るまで、ペロポネソス勢とアテナイ人の間でいかほどの駆け引き遣り取り心理戦が行われたか、その過程を描くことこそが、この小説の中心なのです。
    それにくらべれば、海戦の描写などむしろ刺身のツマといってもいいでしょう。
    それにしても、テミストクレスの我執と妄念と野心の強さには、あきれはて、感嘆さえさせられます。まったくもって英雄的ではありません。
    カロン、バットス、クレイニアス、エウリビアデス等々のギリシア人や、一瞬だけ登場するアレキサンドロスも、きわめてユニークな人物造型をほどこされています。
    皆、自分(と母国?)のためだけに物を考え、行動しようとするあまり、結局、テミストクレスにいいようにされていると言う説もありますが。
    そう言う執着をありのままに表わす彼らは、実に自由で、魅力的です。

    ●同じ読後感を起こさせうる本には、いまのところ思い当たるものなし。特異。

  • 〈読んで損なし〉
    昨年の『熱帯』のインパクトはでかかった。この作家のものを読んでいなかったことを恥じた。今作はBC5世紀のサラミス海戦という史実をギリシア側から大スペクタクルに描写したものだが、実はそんなこと全然知らなかった私でも、そのポップで仕掛け満載なのには大笑いしながら読めた。固有名詞覚えるのが面倒だけど。サトテツすごい。野田社長の元を離れてもすごい、ってそれはサトエリ(すごくないし?)。

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著者プロフィール

宮城教育大学教職教育総合学域発達教育部門 教授
主著『子ども観のグローバル・ヒストリー』(編著)原書房 2018年
  『子どもの心によりそう保育・教育課程論〔改訂版〕』(編者)福村出版 2018年
  『世界子ども学大事典』(共訳)原書房 2016年

「2021年 『「10の姿」をこえる保育実践のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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