- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152086785
作品紹介・あらすじ
ブラックホール・カーリーの周囲に建造された人工降着円盤は、巨大なエネルギー転送システムとして太陽系社会を変革した。それから数十年が経過した西暦2181年、宇宙空間に適応したAADDの人間たちと地球側との対立は発火点を迎えようとしていた。地球艦隊の武力侵攻が噂されるなか、AADDの伝説的メンバーであるアグネスは天王星軌道上の人工降着円盤へと向かう。システム全体を崩壊させかねない異常振動の原因を解明するためだった。一方、太陽系辺境の観測施設シャンタク2世号では、AADDのウスールらが、未知の知性体ストリンガーとの交信を模索していた。相克と邂逅の果てに、人類社会を待ち受ける運命とは?-連作集『ウロボロスの波動』に続くシリーズ最新長篇。
感想・レビュー・書評
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宇宙を舞台に、進化とは何か、人類とは何かを考えさせてくれる物語。アグネスの振るまい方に、リーダーシップについても、少し考えさせられるところあった。
久しぶりにおもしろいSFを見つけた。しばらく林さんの著書を読み込もうと思う。
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古書購入
SFからしばらく離れていたゼロ年代のもの -
2005年11月ハヤカワSFシリーズJコレクション。書下ろし。シリーズ2作目。ファーストコンタクトと地球圏との闘争も興味深いが、何と言っても、AADの異常を解き明かしていく過程が、興味深く面白かった。ラストで、明らかにされる原因は、感動ものでした。
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私には、ハードSFは向かないようでした。前半、よく理解できないまま我慢して読んでいったら、そのまま終わってしまった感じです。
理解できないながら、AADDの人たちのいい人っぷりが、納得できませんでした。自らの本拠地を、核攻撃されているにもかかわらず、あっさり国連側の降伏を受け入れるとは、まるでバルカン星人なみの平和主義です。
もうこの一冊で十分満足しました。 -
『ウロボロスの波動』の続編。『ウロボロスの波動』とは異なり、連作短編集ではなく1つの長い話。前作より面白かった。ただ、前作をすっ飛ばして本書を読んでも話がよくわからないだろう。AADDと地球の軍事衝突、AADの球殻の異常振動の謎の解明、異星人(ストリンガー)とのファースト・コンタクトという3つの話が同時進行し、読者を飽きさせない。
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すばらしい。
知的生命体とのコンタクトを描いた作品。しかし、それも作者の大きな世話位の一部に過ぎないことは、この前作と後作で理解できる。私は後ろの作品の一部を読み、一番後ろを読み、最初に戻って、中間のこの作品を読んだ。この中間の作品は非常に素晴らしい。感動ものだ。実はすべてを理解できない作品は初めてだ。しかし、前後の作品で真実が想像できる。とにかく素晴らしい世界観だ。文章のうまい下手はある。しかし、世界観が素晴らしい。
ファースト・コンタクトを描いている。しかもそれは同時に2種類の知的生命体である。迎え撃つ人類も新旧2種類が存在し、その2者はコンタクト直前に武力抗争を引き起こす。加えて、人類文明の要であるブラックホール利用施設に異常が発生。その原因は、知的生命体および人類の歴史にその原因が帰属する。
複雑な因果関係をストーリーに乗せ、しかも難解な用語を解説なしで登場させる。絶対的にわかりにくい作品だ。しかしながら、その背景なり世界観が理解できると、スターウォーズ裸足のスペース・オペラが現出する。
ある意味でクラークを超えた世界である。ところどころに飛躍があると思うのだが、全体としてそれを感じさせない緻密さがある。この先、この世界がどのように展開されていくのか、どんな結末が待っているのかを知らないと死ねないほどの期待を心に残す数少ない作品だ。未来のノンフィクション。これが本作品に最も適切な評価であると思う。次の作品が楽しみでしょうがない。 -
ハードSFっていうのかな?
太陽フレア兵器なんていいよね。