攻防900日 下: 包囲されたレニングラード (Hayakawa Nonfiction MASTERPIECES)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152086938

作品紹介・あらすじ

なぜ、レニングラードはなすすべなく包囲されてしまったのか?予兆はあった。侵攻の半年以上前からドイツによるソ連領空侵犯、国境付近への戦車部隊集結などが報告されていた。諸外国からは、切迫した独ソ情勢について警告が寄せられた。にもかかわらず、ソ連政府は不可侵条約が破られることはないと確信し、対策を怠った。その結果、領土はナチスに蹂躙され、150万ものレニングラード市民の命が失われたのだ。戦後、スターリンの独裁下、当時を知る関係者は粛清の名のもとに処刑され、この失策も闇に葬り去られようとしていた…。解放直後から市内に潜入した著者の丹念かつ慎重な取材により、凄惨なレニングラード包囲戦の全貌が明かされた第二次世界大戦戦記の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻からの続きて、読んだが、上下巻で、1000ページで大変だった。下巻まで、読んだが、レニングラードは、包囲されて100万人ほどが、死亡したということである。特に、41年から42年の冬の餓死が悲惨であった。このような悲惨な状況も驚きであるが、なんと、当時のソビエトは、この状況を正確に書いて出版すると発禁処分にして、また、公式の文書にも入れなかった。また、レニングラードの劇、脚本にも真実を隠すように修正を強制し、発表したものは、シベリアに送られたみたいである。私は、レニングラードがこのような悲惨な状況だったとは知らなかった。驚きである。戦後になってもソビエトは、このような状況を発表しようとしなくて、さらに、公表も妨害していたみたいである。そのような状況で、著者は、よく、このように描くことが、あるいは、当時の状況を集めることができたと思う。でも、このような包囲された状況でも、レニングラードは、戦車を生産して、モスクワに送っていたとは、驚きである。ラドガ湖経由で、細々と輸送されていたとはいえ、ドイツは、直接にレニングラードを攻撃するよりも、しっかりと包囲を完成させてフィンランド軍と手をつなげていれば、また、話が違ったと思った。ドイツも甘かったが、包囲されたレニングラードもわずかのラドガ湖経由の補給路を整備していくところが、すごいと思った。でも、包囲を突破される状況をもう少し詳しく書いてくれればなおよかったと思った。また、レニングラードを守り切ったジダーノフらをソビエトは、失敗を隠すために、戦後に粛清して、消し去るところも凄いというか、ソビエトらしいと思った。

  • 「ある日、軍に納品されるT28型戦車の検査中、ボルトが抜けていることが発見された」(上巻176p)上からは「“手抜き工事をした敵”をひっぱり出せ」(同ページ)との命令がくる。工場長のオッツは「これは一人の機械工がボルトを打ち込むのをわすれただけのことだ」(同ページ)と訴えた。その結果「工場内の党員の粛正が行われ、数百人が姿を消した」(同ページ)。こんな風にソ連という国はタコが自分の足を食べるみたいに国民を殺戮し続けた。ドイツに攻められている渦中にもそれは滞りなく行われた。想像を絶する狂気!

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