わたしを離さないで

  • 早川書房
3.91
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152087195

作品紹介・あらすじ

自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々がたどった数奇で皮肉な運命に…。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく-英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』に比肩すると評されたイシグロ文学の最高到達点。アレックス賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物が魅力的なだけに救いがなく、心が重くなる。若者達の微妙な心理や出来事は事細かに描かれているのに、あえてなのか五感に訴える表現がほとんどなく、それがこの抑制された表現になっているのだろう

  • 2023/9/30
    ヘールシャム。

  • 切ない・・

  • ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。
    感情の描写が直接的じゃなくて、わかりにくい部分もあるけどその分情景の描写が丁寧。
    必要以上に何かを書こうとせず、何気ない日常の出来事やそのシーンを克明に描いてそこに何かを語らせる。
    どちらかと言えば小説というより、映画などの映像作品に近いのかも、と思った。
    悲しいし、切ないけれど、読み進めていく中で自分の心の中が静かになっていく感じがした。雨の日、家に篭っている時に読みたい本。

  • ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。謎めいた前半と徐々に真実が語られる後半。巧みなストーリーテリングは圧倒的です。そして、ラストは涙で視界がぼやけます。クローン人間という点で80年代のSF映画「ブレードランナー」を想起させますが、ノスタルジックなイギリスの田園風景を舞台にこれを描くというのがすごいと思う。3.11直後の不安な生活の中で出会った忘れられない1冊。原題と同じタイトルのナッキン・コールの歌(小説とは直接関係ないのですが…)これもしみじみといいです。

  • 2022年12月3日
    介護人、提供者、使命を終える
    重い意味を持つ言葉だった。
    エミリー先生やマダムの実験(と敢えていう)はキャシーやトミー、ルースのためになったのだろうか?
    実験が無ければ、どう過ごしていたのだろうか?
    中途半端な人道主義がむしろ残酷とも言える。

  • 読んでいる途中に読んだことがあると気づいたくらい記憶に残らない作品。

  • エミリ先生の言ったこともなんとなく分かるけど幸せな時間があった分後々のことが余計に辛いよね…とも思う。でも他の提供者はヘールシャムを羨んでいたし…やっぱり一時だけでも、結末が酷なことだとしても幸せな時間があるっていうのは少し救いなのかなとも思うし…どっちが良いとは簡単に言えないかもしれない。

    ルースが出てくるたびにギスギスしそうで心配したし(大体ギスギスした)本当に友達かこれ??って思っちゃった。色々なことがあっても友達続けられるのすごいよ…。

    すごく後になっちゃったけどトミーとキャシーがちゃんと一緒になれて良かったと思った。

    これが初めてのカズオイシグロ作品だったけど他のも読んでみたいな。

  • いまやフライパンはテフロン加工があたり前になってしまいましたね

    昔ながらのフライパンは登山家のキャンプ用具か職人気質の料理人が営む洋食屋の厨房でしか見かけなくなりました(そんなわけないだろ)
    もちろんあっという間に淘汰されてしまったのはテフロン加工が圧倒的に使いやすいからですよね
    焦げつきが少なく手入れも簡単
    ですが注意しなければいけないこともあります
    最初のころは自分もよく奥さんに怒られました

    『たわしで擦らないで』なんちて

    さて『わたしを離さないで』です

    前々からカズオ・イシグロの作品は読んでみたかったんです
    なにしろノーベル賞作家ですからね

    で、実際に読んでみて思ったのは
    凄い「したたか」だな〜ってことです
    ちょっと言葉悪いかもしれませんが、このお話し設定が凄い突飛なのにずっと普通の顔してるんですよ

    こちらが「こんなん現実にはありえないよ!倫理的にもおかしいし!」と声高に叫んでも逆にぽか〜んとされちゃうような感じ
    え?いやいやそんなこと言われましても…みたいな
    で特に説明もされずに当たり前に進んで行きます
    最後にはあれ今のイギリスってこんな感じなん?みたいなね
    あ、なんか自分の方が間違ってたんかな
    なんかすみませんでしたっていう

    完全に詐欺師のやり口w

    私は単に同じ施設に育った男女3人の恋や悩み、希望、秘密そして別れを描いただけですよ
    そちらがどう感じるかは自由ですよ

    そして自分はまんまとそれが現実のような気がしてしまったのです

    そしてそしていつかそんなことが本当に現実になって
    その現実を世界が普通に受け入れて特になにも感じない
    そんな日がきたら
    それはかなり嫌だな〜と思いました

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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