格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略

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制作 : Paul Krugman  三上 義一 
  • 早川書房 (2008年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089311

格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略の感想・レビュー・書評

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  • 『格差はつくられた――保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略』(早川書房 2008)

    原題:The Conscience of a Liberal: Reclaiming America From The Right, 2007
    著者:Paul Krugman
    訳者:三上義一

    【目次】
    第01章 あの時代の追憶
    第02章 長期の金ぴか時代
    第03章 大圧縮の時代
    第04章 福祉国家の政治
    第05章 60年代騒然の中の繁栄
    第06章 「保守派ムーブメント」
    第07章 大格差社会
    第08章 格差拡大の政治力学
    第09章 大量破壊兵器
    第10章 平等で格差のない政治
    第11章 緊急を要する医療保険問題
    第12章 格差社会に立ち向かう
    第13章 リベラル派の良心

  • 3

  • 2008年6月20日初版
    拡大していった不平等と格差が共和党を右へと引き寄せたと考えられる。→因果関係が逆なのでは?

    2002年中間選挙 2004年大統領選挙→ブッシュの勝利にテロ事件、イラク戦争が有利に働く。

    ニューディール政策以前 21世紀初頭 富と権力の配分において非常に大きな格差社会

    経済歴史家 1920年代から50年代 所得格差の圧縮 The Great Compression

    サイモン・クズネッツ 1930年代 GDPの測定法 統計学

    ヨーロッパ 経営者のトップの給与はアメリカより遥かに少ない。

    保守派ムーブメント 投票の不正 2007年8月タッチスクリーンの電子投票機の使用を全面禁止

    保険会社 加入申請者を選別、保険金の支払いを避ける傾向→政府が保険会社として機能する国民皆医療保険制度

    ジョンソン大統領 メディケア制度に署名→就任から9カ月以内
    クリントン大統領→遅れ→政治的勢いを失う。

    トマス・ジェファーソン「小さな土地の所有者こそが国の最も重要な部分を成している」

    ディヴィッド・カード、アラン・クルーガー→最低賃金の上昇が、失業につながった事例はない。→ワシントン州とアイダホ州の境では、ワシントン州の方が雇用が多い。

    すべての問題の根源は、アメリカの人種差別問題にあるということである。…黒人解放運動に対する白人の反発があるからなのだ。

    日本のレーガン大統領のイメージ 減税、小さな政府→いかに言葉巧みに白人の人種差別意識に働きかけてきたかは、あまり知られていない。
    無言のメッセージ わざわざ肌の色についてふれる必要などなかった。
    自分たちが稼いだカネを黒人が食い物にしていると思いこんでいた白人の反発や猜疑心→人気を博すことができた。

    国民皆保険 黒人、ヒスパニック、アジア系を含むことになる。

    マイケル・ムーア監督「シッコ」 アメリカの医療がいかなる状況か知り、愕然とした人も多いはず。

    ☆日本の格差社会化は?
    人種差別はないが,近隣諸国出身者は?国民皆保険への加入状況要勉強

  • この本も現在の二極化の本質を理解するためには非常にためになる本だと思います。内容も理論整然としてわかりやすいですが、読むのには結構頭を使わされる本ですね。

  • ノーベル賞にも輝いた経済学者クルーグマンが
    アメリカ経済でなぜこの30年ほどの間に
    所得の格差が増大したのかを、明らかにしていく。

    原題は The Conscience of Liberal なので、
    直訳すると「リベラルの良心」となろうか。

    私は経済学に関する著者の本はほかに少しだけ読んだけれど
    こういうはっきりとした政治主張は初めて読んだ。

    要するに著者が言いたいことは、
    保守派富裕層が政治家をカネで懐柔し、彼らに有利な
    税制はじめ社会制度を作らせていることがあるのだが、
    それを押し通す原動因とも呼べるものが人種差別である、
    ということである。
    黒人やヒスパニックなどの移民層は低所得者が多く、
    ゆえに所得の再配分を手厚くする政策をとった場合に
    彼らに振り分けられる配分が増えることを、
    人種差別マインドを持つ人々をうまく刺激することで
    行わないようにする、まぁ実際には富豪への税金を減らさせる
    ことを目的としているということである。

    とはいえ、これだけなら他にもこういう本は山ほどありそうだが、
    クルーグマンたるところは、
    「時間軸」(タテ)や「他国の状況」(ヨコ)からしっかりと
    データを集め、いかに今日のアメリカの状況がおかしいかを
    的確に指摘している論の説得力の見事さであろう。

    タテでいえば、アメリカの第二次大戦後は
    格差が「大圧縮」された時代であったという。
    それは、戦争によって賃金上昇が抑えられたことが大きいと指摘する。
    そうすることで、戦後の「中流層が多く、大きく成長する社会」が
    実現したとみている。
    (大恐慌以前は「金ぴか社会」と呼ばれる大格差社会であった)

    日本なんかの左翼思想にありがちな「戦争絶対悪」のような
    筋の通らない感情論は持ち出さない。さすがである。
    戦争が望ましいなどとは全く著者も思っていないけれど、
    戦争によって結果もたらされた格差縮小は適切に評価している。

    また、ヨコでいえば、
    たとえば今日アメリカで(といっても本書が記された2007年は、
    オバマケア以前なので、その時点の話だが)は医療技術の進歩によって
    低所得者ほど医療負担が重くなる(なぜなら民間保険、無保険が多いから)
    事態は、フランスやドイツといった欧州先進国と比較して明らかに
    異常であり、それは決して大きくない財政負担で実現できることを
    明示している(なぜなら、それらの国ではできているからだ)。

    したがって、国民皆保険を導入しないようにしているのは
    「あきれた保守派のやり方」のせいであることがはっきりしてくる。

    ただし、著者は明るい未来を見ている。
    それは、WASPと呼ばれる白人の人口構成比率が下がり、それまで
    マイノリティとされていた人々の発言力が相対的に増していること、
    また白人層でも人種差別意識の薄い人々が増えていること、
    そして保守派のやり口のおかしさが露見してきていること、などを
    理由としている。

    実際に現実には、著者の「予言」するように、オバマ大統領が誕生し、
    オバマケアと呼ばれる皆保険が成立した。

    無茶苦茶な格差信奉者が跋扈し、宗教色が色濃い国家である一方で、
    著者のような「進歩派知識人」の卓見が、社会を公正にする影響力を
    もたらせる国家でもあるところが、アメリカのすごいところだと思う。
    民主主義国家というのは、そういうものすごい綱引きの上に成立している
    ものなんだと思わされる。

    少なくともそういう観点からすれば、日本とアメリカは全然違う。
    そのあたり、日本の経済政策を考える上ではよくかんがみる必要があると思った。

    2012年、オバマは大統領に再選された。
    ただし、相変わらず議会多数派は共和党が握っていたりする。
    来年以降のアメリカの民主主義と経済の進み方が、アメリカ国民も、世界も
    大きく左右しそうだ。

  • 南部州は、今でも他のアメリカとは多くの意味で異なるが、1950年代には全く別の国のようであった。人種隔離政策と差別はあからさまで、黒人の低い社会的地位は法律や公的政策によって明記され、暴力によって押し付けられていた。

    レーガンは共産主義の脅威に対する大衆の被害妄想をくすぐることにも成功している。

    戦後の急成長の最後の数年、規制されていた電話通信の独占企業を除けば、民間企業としてはGMがアメリカ最大の雇用主だった。
    現在はウォルマートが80万人を雇用しアメリカ最大の企業である。

  • 私も政治によって社会の仕組・経済の流れを変えることはかなり困難、という常識に捉われております。
    そのため、著者の主張はちょっとすると陰謀論すれすれのようにも聞こえますが、医療保険の問題など、面白く読めました。
    残念ながら本書は完全な翻訳ではなく、米国独特の風俗や事情などは割愛されているとのこと。
    読み易さを優先したのでしょうが、表層的な情報ではない、米国の事情はやはりこのような単行本で無いと知り得ないので、残念でした。
    そのため☆を一個減らして評価いたします。

  • この本はすごい。原題は "The Conscience of a Liberal (リベラル派の良心)" で、邦題とはずいぶんと違うのだが、日本ではリベラルと言われてもピン! と来ないし、邦題の方が内容を的確に表しているようにも思える。

    アメリカに住まない我々日本人にとって、共和党と民主党のイデオロギーの変移や、社会情勢、経済状況の移り変わりは肌感覚としてなかなか分からないのだが、ここ 100 年ほどの変化をこの一冊で読み取ることができる。

    2008 年にノーベル経済学賞を受賞しているポール・クルーグマン教授が本書で綴る驚きの真実は、経済格差は広がっていることと、それは技術革新やグローバリゼーションがもたらした結果ではないということ。では、経済格差の原因はどこにあるのか? それは人種差別という負の遺産の影響を活かし続けた共和党の戦略にある。すなわち、誤った政策のために "格差はつくられた" と。それが真実かどうかは、本書を読んで確認していただきたい。

    もっとも、ことはアメリカの事情である。ポール・クルーグマン教授は、国民皆保険の導入について,本書で多くのページを割いているのだが、既に国民皆保険が導入されている日本に住む我々にとって、本書から学べることは少ないような気もする。私が本書が綴る歴史から学んだことは、選挙の重要性だ。人種差別時代は選挙権を持たない多くの人たちの問題は解決されることがなかった。その後も根底に燻る人種差別意識をうまく利用し、投票を妨害するなどの戦略をもって、白人富裕層に有利な社会として発展を続けたのが大きな潮流とのことだが、これを投票率の低い日本に当てはめると、投票率の高い一部の人に有利な (そして全体としてはマイナスとなる) 方向に社会が傾倒しているであろうことが想像できる。経済学者ではない私には、ここまでの日本の状況を端的に語ることはできないのだが…。

    閑話休題。

    最後に、ポール・クルーグマン教授の著書は、その肩書きから想像するのとは違って、めちゃめちゃ読みやすいことを伝えておきたい。一般書だからということもあるのだろうが、マルクスだのなんだの…難しい経済学の常識を前提知識としていなことと、平易な文体であることが大きいと思う。もちろん、日本語で読んでいるので翻訳者の方の尽力のお陰でもある。どうやって "格差は作られた" のか? その謎に興味があったら、「経済なんて難しそうだし、まして教授が書いた本なんて…」というアレルギーは無用だ。遠慮なく手に取って、謎に迫っていただきたい。

  • 2010/1/8
     副島さんの本の薄めた野みたいだ​”

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ポール・クルーグマンの作品

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少数派の代弁者にすぎない共和党が、平等な中流社会を壊して格差社会を築き上げた驚くべき方法とは?世界が注目する経済学者が急遽打ち出したアメリカの病根への処方箋。

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