ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト―最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅

  • 早川書房
3.68
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089557

作品紹介・あらすじ

私たちヒトの、生物としての歴史を知りたければ、魚に訊くのがいちばんだ。なぜって、私たちの体のなかには「内なる魚」がいるのだから…「魚が海から陸に上がっていったという学説にとって重要な、ミッシングリンクの発見である」と世界を沸かせた、ひじがあって腕立て伏せのできる魚、ティクターリクの化石を発見した著者が、古生物学から進化発達生物学(エボデボ)、ゲノムサイエンス、解剖学にいたるまでの成果を縦横に駆使し、生命進化の謎を探究する営みのスリリングかつ意外性に満ちた面白さを明かす、極上のポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • コノドントの歯列

  • かなり読みやすかったです!

    からだのつくりを考えていけば、魚からヒトまでいつ分岐して進化したか推測できる、という内容です。
    著者の体験も含まれていて、楽しい読み物でした!

  • https://www.youtube.com/results?search_query=neil+shubin

    ティクターリク
    https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF

    命はみんな繋がっていると思える。こういう本、大好き!

    魚は、薄いけれど強い、とてもしなやかな皮の中に、肉や骨や内臓、血や神経が詰まってる。
    魚をさばく時私はいつも、人も魚もそう違いはしないと思っていた。
    人も魚も、それぞれの形をした皮袋の中でいろんなものがごちゃごちゃとしていて、どういう訳か命になってる。
    そう思う時、私は命を頂くことのありがたさを感じる。

    私が食べるこの魚には何の落ち度もない。でも死んで、私に食べられる。
    この魚ももしかしたら、人を食べたことがあったかも知れない。海で死んだ人や、海に撒かれた人の灰がこの魚の糧になったこともあったかも知れない。そういう人たちだって、別に落ち度があった訳じゃないだろう。

    生まれるのも生きるのも死ぬのも、一体どういうわけなんだ?
    完全に理解したり、把握するのが難しくても、ただ生きることならできるかも。

    なんでこんな事を書いてるんだ?私はただ、「人も魚も大して違わないな」と魚をさばきながら思っていたことが、ただの個人的な妄想ではなかったのが嬉しかっただけだ。

    人と魚の遺伝子は70%も共通している。
    背骨を持つ生きものは全て、人間の身体をより単純にした仕組みになっている。
    あるいは、高度な進化を遂げた魚類が霊長類であり、ヒトなのだ。

    とはいえ魚を食べる時は、違っている方の30%に目をやることにする。

    http://www.ucmp.berkeley.edu/
    http://scienceblogs.com/loom/
    http://www.tolweb.org/tree/

  •  地球上の動物はパッと見の形こそ千差万別であっても、体の基本となるレシピを共有するお仲間さんなんだ、ということが程よく詳しく分かった。

     単細胞生物から始まって、DNAのレシピを少しずつ書き換えながら、綿々と繋げられていく生命の系統樹。
     元は同じだったものを、違う機能に流用してきたとわかる記録が体に残っていて面白い。

     地道な発掘作業の末に、四肢をもつ動物の先駆けとなる「肩・肘・手首の関節をもつ魚」を発見する過程では、百の議論に勝る決定的な証拠を提示する「古生物学」の意義と、それに携わるものとしての誇りが感じられた。

  • 10月新着
    先任の教授が亡くなって、自分が解剖学を教えることになった著者は狼狽した―だって、著者は魚を研究する古生物学者だったから。
    が、それをキッカケに、人と魚を結ぶつながりについて、深く考えるようになったから、人生何が起こるかわからないものである。
    人体を知るために、他の動物の体を知る、それが理解を深め、早めるというのは、多くの人が同意するかもしれない。当館にも犬と人の体を比較する解剖学の本がある。が、本書は化石の発掘作業も含む「研究ドキュメント」でもあって、解剖学に興味がない方でも楽しめそうだ。
    いや、解剖学というのは、誰でもある意味興味が持てる題材である(なんといっても、ネタは人体だ)。イラストはほとんどなく、字で埋め尽くされる本書なので、読みでは満タン、内容にノッてくるまでは、けっこうキツイかもしれない。化石好きにはウケそう。
    巻末の参考文献一覧もたいへん力が入っており、力作。

  • 人間の身体の土台は、魚や両生類から始まる。けっこう無理してる。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:467.5//Sh99

  • 水から陸へ。生物の進化の過程の重要なミッシング・リンクとなる生物「ティクターリク」の化石を発見した古代生物学者による、ポピュラー・サイエンス。魚から両生類、爬虫類、哺乳類という進化の過程における痕跡が、私たちの体内に見られることは非常に興味深い。生物の身体というのは非可逆的にできており、いったんできたパーツを半ば強引に使い回した結果が現在の姿なのである。したがって人類の体内にも妙なものがたくさんある。魚のえらの痕跡、聴覚をささえるサメの顎の骨に由来する中耳骨など、見事なまでに元々の姿からかけ離れたパーツとなって役立っている。遺伝子の研究も進み、その部位を発生させる遺伝子の位置は魚類どころかショウジョウバエなどの昆虫とも共通していて、生物種というものがバラバラに発生したものではなく、おそらく同じ祖先をもつ生命体であることを裏付けている。筆者の軽妙でシニカルな文体を楽しみながら知的な探求を味わえるのがうれしい。

  • 生物同士の際ではなく共通点を探して進化を探る。

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著者プロフィール

(Neil Shubin)
古生物学者、進化生物学者。ハーバード大学で博士号を取得。現在、シカゴ大学教授。動物の解剖学的な特徴がどのように進化したかについて研究している。グリーンランド、中国、カナダ、南極、北米やアフリカでフィールドワークを行う。魚類と陸棲動物の特徴を併せ持つ生物「ティクターリク・ロゼアエ(Tiktaalik roseae)」の発見者の1人として知られる。著作に『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』(早川書房、2008年)『あなたの中の宇宙』(早川書房、2014年)がある。

「2021年 『進化の技法 転用と盗用と争いの40億年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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