マーブル・アーチの風 (プラチナ・ファンタジイ)

  • 早川書房
3.57
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本棚登録 : 177
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089588

作品紹介・あらすじ

毎年恒例の大会(カンファレンス)に参加するため、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。ロンドン地下鉄道をこよなく愛するトムは、旧友との再会を楽しみに地下鉄で大会会場へと向かうが、駅の構内で突然の爆風に襲われる。爆弾テロか毒ガスかと瞬間的に思うが、風は一瞬にしてやんでしまう。どうやら周囲の誰もこの風を感じなかったらしい。ようやく到着した会場では、病気や離婚といった話題ばかりを友人たちが口にしているのを耳にする。そして、ホテルに帰るため、地下鉄に戻ったトムは、ふたたび暴力的な"風"に見舞われるのだった。20年前と明らかになにかが変わってしまったロンドンで、トムは"風"の謎を追って地下鉄を巡る…。やがて誰にでも訪れる人生のその時を、迫真の筆致で描いた表題作(ヒューゴー賞受賞)。ベヴァリーヒルズのセレブを相手に、いんちきチャネリングで荒稼ぎする女霊媒師に、ある人物の霊が憑依する。その人物とは、オカルト詐欺やニセ科学を批判しつづけた実在のジャーナリスト、H・L・メンケンその人だった…。サイキック商売を題材に描く傑作ユーモア中篇「インサイダー疑惑」(ヒューゴー賞受賞)。クリスマスが近づくなか、街では少しだけおかしなこと(みんなが動く歩道の片側をきちんと空けて立つ、帽子をかぶる人が急に増えた)が起こり始める…。侵略SFコメディ「ニュースレター」(ローカス賞受賞)。ユーモア、コメディからシリアス短篇まで、SF界を代表する小説の達人の傑作5篇を厳選。物語を読む愉しみにあふれた日本オリジナル作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作を含む5編からなる短編集。
    温かい余韻を残しているお話が多い素敵な一冊。
    『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』と『インサイダー疑惑』がお気に入りです。
    ラブコメ要素を含むこの2作品は、テンポ良く面白く爽やかに描かれています。
    恋愛小説はあまり好きではないのですが、読後感がとても良かったです。
    翻訳者さんの上手さもあると思いました。

  • コニー・ウィリスは私にとってかなり上位の作家に押し上げられました。まず、とても読みやすい。そして、読後感の爽やかさが抜群。ロマンス・コメディ・ミステリ・SFがさりげなくちりばめられ、どれも強調せず誇張されず、一体となって物語が織り上げられる感じがすばらしい。
    この本は短編集でしたが、「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」が個人的にすごくよいラブロマンスで、大満足でした。

  • 2008年9月日本オリジナル編集のコニー・ウィリスの中短編集。
    アメリカSFの女王ともいうべき存在なので、受賞歴のある作品が並びます。
    奇抜な着想や不思議な展開だけではなく、読者を楽しませようという精神に溢れています。
    大学教育の現場が混乱する様を皮肉った「白亜紀後期にて」、クリスマスに出す習慣のあるニュースレターを題材に、性格が妙にいい方へ変わるのが宇宙人の侵略ではないかと疑うユーモラスなSF「ニュースレター」、「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」はクリスマスの飾り付けや催しをプロが請け負うのが普通になったという設定で起こる大混乱を描くロマンス系。
    表題作は毎年恒例の大会が今年はロンドンで行われるために20年ぶりに訪れたキャスとトムの夫妻。
    地下鉄好きなトムは路線を調べつつ複雑なスケジュールを地下鉄で移動するが、ある時きなくさい異様な爆風にさらされ、周りが気づいていない様子に驚く。爆風の正体を突き止めようと何度も地下鉄に乗るが…
    「インサイダー疑惑」はインチキを暴く雑誌を発行しているロブは元女優の美女キルディと共に、女霊媒師のアリオーラがチャネリングする現場に潜り込む。インチキを罵倒する男性が憑依した様子になり、その正体がなんとH.L.メンケンらしい…ロブはそれも偽装と疑うが…ヒューゴー賞受賞作。
    この前の短編集「最後のウィネベーゴ」ほどはインパクトはありませんが、なるほどコニー・ウィリスだなという納得の味わい。

  • 大森望編纂、日本オリジナル短篇集。
    いつもながら主人公たちは忙しげで、あっち行ったりこっち行ったり。噛み合わない会話をしかけてくる同僚をいなし、解決しなくてはいけない問題は宙に浮き・・・。そんなせわしなさも、思いっきり楽しめてしまう。ウィリス作品の主人公たちに共通しているのは皆、真っ当であること。真っ当だけれど、鼻白むほどではないところが、とてもいい。後味の良さも格別で、コニー・ウィリスは、楽しかった〜、読んでよかった〜といつも思わせてくれる作家の一人。
    映画への言及が多いところもいつも通りで、「白亜紀後期にて」の、日和見教師アルバートスン博士の“今を生きる”の再現には、思わず吹き出してしまった。「ニュースレター」は、この前読んだスタージョンの「三の法則」の別バージョンみたいで、楽しめた。ベタなラブコメと評されている「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」も、いかにもクリスマスにふさわしいエンディングが素敵。学生時代、小池滋氏のE.M.フォスターの講義を受けたけれど、「機械が止まる」という作品は知らなかった。今度読んでみよう。
    死と老いという、作中唯一シリアスなテーマの表題作は、最後に吹く風に感動。やっぱりそうこなくっちゃ。

     <収録作品>
    「白亜紀後期にて」 In the Late Cretaceous
    「ニュースレター」 Newsletter
    「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」 deck.halls@boughs/holly
    「マーブル・アーチの風」 The Winds of Marble Arch
    「インサイダー疑惑」 Inside Job

    ――The Winds of Marble Arch and Other Stories by Connie Willis

  • 《目次》
    ・「白亜紀後期にて」
    ・「ニュースレター」
    ・「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」
    ・「マーブル・アーチの風」
    ・「インサイダー疑惑」

  • コニー苦手

     なぜかあわない。文体かなぁ。不思議とおもしろいと思わずに全部読まずにリタイヤしちゃう。

     今回の短編も同じ。大学が舞台の白亜紀もニュースレターが舞台の侵略物も、なにがおもしろいのかわからない。残念。

  • 中短編5話。
    かなりおもしろい。長編もそろそろ読もっかな。

  • [ 内容 ]
    毎年恒例の大会(カンファレンス)に参加するため、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。
    ロンドン地下鉄道をこよなく愛するトムは、旧友との再会を楽しみに地下鉄で大会会場へと向かうが、駅の構内で突然の爆風に襲われる。
    爆弾テロか毒ガスかと瞬間的に思うが、風は一瞬にしてやんでしまう。
    どうやら周囲の誰もこの風を感じなかったらしい。
    ようやく到着した会場では、病気や離婚といった話題ばかりを友人たちが口にしているのを耳にする。
    そして、ホテルに帰るため、地下鉄に戻ったトムは、ふたたび暴力的な“風”に見舞われるのだった。
    20年前と明らかになにかが変わってしまったロンドンで、トムは“風”の謎を追って地下鉄を巡る…。
    やがて誰にでも訪れる人生のその時を、迫真の筆致で描いた表題作(ヒューゴー賞受賞)。
    ベヴァリーヒルズのセレブを相手に、いんちきチャネリングで荒稼ぎする女霊媒師に、ある人物の霊が憑依する。
    その人物とは、オカルト詐欺やニセ科学を批判しつづけた実在のジャーナリスト、H・L・メンケンその人だった…。
    サイキック商売を題材に描く傑作ユーモア中篇「インサイダー疑惑」(ヒューゴー賞受賞)。
    クリスマスが近づくなか、街では少しだけおかしなこと(みんなが動く歩道の片側をきちんと空けて立つ、帽子をかぶる人が急に増えた)が起こり始める…。
    侵略SFコメディ「ニュースレター」(ローカス賞受賞)。
    ユーモア、コメディからシリアス短篇まで、SF界を代表する小説の達人の傑作5篇を厳選。
    物語を読む愉しみにあふれた日本オリジナル作品集。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • それぞれに面白い短篇集だが,表題作は聊か退屈だったようだ.主人公は私と同年輩の初老で,感情移入し易い筈なのだけど,タイプが違いすぎるからなのか.
    ロンドンの駅名に寄り掛かりすぎてるのも没入を妨げてるかもしれない.描写が弱いので,知らないとただの記号にしか感じないので.

  • 後半の中篇二作「マーブル・アーチの風」「インサイダー疑惑」が良かったなあ。コニー・ウィリスらしい温かみにあふれていた。「マーブル~」はロンドンの地下鉄が舞台で、「ブラックアウト」「オールクリア」へと連なる作者の思いが感じられて、感慨深かった。このヒューマンな持ち味がとても好きだ。

    その大好きな作者の短篇集をなんで今まで読んでなかったかというと、前半の短篇三作はSFマガジンに載ったとき読んでて、実はあんまり面白いと思わなかったのだ。特に「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」で駆使される、コニー・ウィリスお得意のドタバタユーモアが私はどうも苦手。くどいというか、しつこいというか。長篇でもこれはしばしば登場するのだが、まあ長篇だと「彩り」のような感じで、あんまり気にならず、お約束的繰り返しで笑えたりもするんだけど…。

    最近出た「混沌ホテル」も紹介に「ユーモア系」ってあるんだよね。うーん、どうしよう、とりあえずこっちから読むか、と思って手に取ったら、よけいに迷ってしまうことになった。まあ、きっと読むんだろうけどね。

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