探索者 (海外SFノヴェルズ)

  • 早川書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089700

感想・レビュー・書評

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  • SF界では著名な賞(日本文学で言うと直木賞や芥川賞に相当するのでしょうか?)であるネビュラ賞受賞作の本書。

    主人公達が古物商と美人のパイロットのコンビである小説です。

    物語はパイロットの1人称視点、つまり本書は彼女が書いた回顧録と言う形式をとっています。

    訳者の後書きを読んでこの小説はシリーズ物の3作品目と言う事を初めて知りましたが、話はそれぞれ独立しているらしく、実際、前作の2作を読んでいない私でも十分楽しめる内容でした。


    さて、本書の粗筋を簡単に紹介すると、

    古物商のアレックスとパイロットのチェイスが2人だけでやっているレインボウ・エンタープライズ社。
    この会社の業務内容は、銀河系において勢力圏の拡大と衰退を繰り返してきた人類の遺物を発掘、販売する事。

    金持ち連中には歓迎されている商売ですが、一方で墓場荒らしと批判する勢力も存在しています。

    そんな折、2人の元にかつて理想郷を創り上げようと当時の専制的な地球から脱出した後、消息を絶ったマーゴリア人達の遺物(具体的にはマグカップ)が持ち込まれます。

    伝説と化していたマーゴリア人の遺物。

    そこに巨大なビジネスチャンスを見つけ出したアレックスとチェイスが、他にマーゴリアの遺物が無いか探し始めますが・・・・

    と言った感じになりますね。


    遺物であるマグカップの由来の究明や2人のような古物商に賛成しかねているチェイスの旧友の存在。

    テレパシー能力を持ち、人類と緊張関係にある知的生命ミュート人の惑星への訪問。

    マーゴリアの謎に迫るにつれ、2人に迫る暗殺者の影。

    謎の影に更なる謎。


    これらの要素が組み合わさって読者の視点をダイナミックに移動させる小説です。

    (ちょっと話が脇にそれますが・・・)

    良い俳句とされるもの中には、視点がダイナミックな移動をしているものがあると以前聞いたことがあります。

    この小説もその条件を満たしており、またそれだけで無く読者の予想を覆す話の流れも十二分に楽しめました。

    SFにありがちな未来の社会や技術と言った舞台設定の説明も小説の流れの中で自然に理解できるように書かれていますし、(訳者の後書きから引用すれば)スペース版インディー・ジョーンズと言った感じです。

    本文が約370ページに上下2段、びっしりと印刷されてた文量の多い小説ですが、小説なので難しくて頭を悩ますという事は無く、読み始めると作品世界にグイグイと引き込まれます。

    一読されては如何でしょうか。

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